毎日読書など日記・3213日目

2024年6月25日火曜日・曇り・風・やや温

朝TV「きょうのわんこ」「虎に翼」見る。『蹲る骨』(イアン・ランキン)読まず。

連載小説『芭蕉はがまんできない おくのほそ道随行記2』(関口尚、『青春と読書』9月号2023年、集英社)をもう一度読み終える。ページ数は14ページと少なめに見えるが、文字量が多い、つまり情報量が多い。語り手たる弟子の曾良自身のことと師匠の芭蕉についてのことがたっぷりある。同時並行で『奥の細道』そのものも少しずつ開いていくという読み方をしてみようかなとも思う。それぐらい意欲的にしてくれる面白さがある。遅れて始まった川﨑秋子さんの連載『父が牛飼いになった理由』も読みごたえがある。『青春と読書』は『すばる』を越えているかもしれない。

『冬に子供が生まれる』(佐藤正午、小学館2024年2月)、ひとまず読み終える。小説中の語り手が誰なのか。この作品を書いている人物は作者たる佐藤正午さんだ。しかし、作中の「わたし」は佐藤さんではない。登場人物の一人だ。その「わたし」が自分が登場する、自分の物語を概ねは客観的に描き出し、折に触れて自分の感情を吐露し、物語を不安定なものにする。ある意味、信頼できない語り手による興趣尽きない物語だ。ある抱えきれない悲しみを抱いている者がその悲しみの元になった出来事を物語として表現することによって悲しみと向きあおうとして書き続けている小説を、この本の読者は読まされていると言う設定なのだろうか。新たな作品を読むたびに佐藤正午さんには驚かされるが、今回は最高だった。

卓球をしない日。

終わり

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