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直近の医師国家試験:乳腺

乳癌 ☆☆☆☆

診察⇨エコー+マンモ(X線)⇨病理の流れがよく出ます。
・診察:早期乳癌の発見は困難。しこり(硬くて辺縁不整で可動性に乏しい)、橙皮様皮膚、えくぼ徴候などが特徴的。
・マンモグラフィー:区域性の微細石灰化spiculaが特徴的。
・エコー:乳腺内の血流の評価が可能。限局性の低エコー域を探します。
・その他画像:CTは遠隔転移の有無、MRIは癌の広がりや多発病巣の有無、血流描出などに有用です。
・病理:穿刺吸引細胞診経皮的針生検を行います。

検診:40歳以上で2年に1度、マンモグラフィーを行います。
≪注≫若年者では乳癌の有病率が低く、またマンモで正常乳腺が高濃度に映るため評価が困難になります。

・治療:手術可能ならば手術です。条件次第ですが乳房温存も選択肢の1つです。薬物療法としてタモキシフェン、GnRHアゴニスト(閉経前)、アロマターゼ阻害薬(閉経後)、トラスツズマブ(HER2陽性例で、心毒性注意)など様々です。
・術後にインプラント再建も可能です(cf.インプラント関連リンパ腫の報告も)
・乳房温存の条件:多発していない、広範囲じゃない、妊娠など放射線療法できない場合(乳房温存術後は放射線必須)など。

115A22
77歳の女性。肺がん検診の低線量 CT で左乳房腫瘤を指摘されたため受診した。 マンモグラム(A)及び乳房超音波像(B)を示す。
次に行うのはどれか。 
a 造影 CT
b 造影 MRI
c 経皮的針生検
d FDG-PET/CT
e 骨シンチグラフィ

正解はcです。マンモでspicula、エコーで低エコー域を認めます。乳癌疑いです。

114B9
女性の乳房腫瘤で乳癌を最も示唆するのはどれか。
a 随伴する疼痛
b 乳頭部の熱感
c 平滑な腫瘤表面
d 白色の乳頭分泌物
e 大胸筋前面での可動性低下

正解はeです。癌の由来が岩であるように、岩のように硬くて可動性低いです。

114D65
60歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。胸部の触診で右乳房に径3cmの腫瘤を触知する。両側のマンモグラムを別に示す。
まず行う検査として適切なのはどれか。
a PET/CT
b 造影CT
c 造影MRI
d 乳管造影検査
e 超音波ガイド下針生検

正解はeです。マンモでspiculaがあります。エコーはされていませんが乳癌疑いです。

114E35
A 42-year-old woman came to your clinic,anxious about a mass in her left breast.On physical examination,the mass was hard and fixed neither to skin nor to muscle.No axillary lymph nodes were palpated on either side.Mammography showed a 2.5-cm lesion with spiculae.Histo-pathological findings from the biopsy showed an invasive ductal carcinoma.No metastases were detected on chest/abdominal CT or on bone scintigraphy.
What is the most appropriate plan at present?
a Breast surgery
b Estrogen adminis
c NSAID administration
d Observation
e Whole body irradiation

正解はaです。mammogramでspiculaがあり、生検(biopsy)した組織(histo)で、invasive ductal carcinoma(浸潤性乳管癌)の診断です。CTや骨シンチで転移(metastasis)を認めないため、治療は手術です。

113A54
65 歳の女性。検診のマンモグラフィで異常陰影を指摘され来院した。右乳房に長径 2cm の腫瘤を触知する。腫瘤は円形、弾性硬で、可動性は良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。マンモグラムを別に示す。乳房超音波検査で辺縁不整な低エコー腫瘤像を認める。
次に行うべき検査はどれか。
a 乳管造影
b 穿刺細胞診
c 腹部造影 CT
d 腫瘍マーカー測定
e 血中エストラジオール測定

正解はbです。マンモとエコーで癌疑いのため、次は細胞診や生検です。

112A71
64 歳の女性。乳がん検診のマンモグラフイで異常を指摘され来院した。左乳房に長径約 2cm の腫瘤を触知する。腫瘤は境界不明瞭で硬く圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。マンモグラムを別に示す。
次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。
a 血管造影
b 乳管造影
c 経皮的針生検
d 乳房超音波検査
e 骨シンチグラフイ

正解はcdです。

参考
115F16:リスクファクターの組み合わせ問題
a 乳癌 ー 多産 ⇨誤りです。多産でリスクは下がります。

乳腺葉状腫瘍 ☆☆

中高年好発。増大傾向あり。乳癌ほど増大は急ではありません。
外科的切除を第1選択に。

113D58
50 歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。2 年前から右乳房の 2cm 大の腫瘤に気付いていたが、あまり変化がないため医療機関を受診していなかった。4 か月前から増大し痛みを伴ってきたため心配になり受診した。右乳房腫瘤は長径 17cm で、弾性軟、胸壁への固定を認めない。皮膚には発赤や腫瘤の浸潤を認めない。腋窩リンパ節を触知しない。胸部 CT を別に示す。
最も可能性が高いのはどれか。
a 乳腺炎
b 乳腺症
c 乳腺線維腺腫
d 乳腺葉状腫瘍
e 乳管内乳頭腫

正解はdです。

112D49
74 歳の女性。左乳房のしこりを主訴に来院した。30 年前に左乳房にゴルフボール大のしこりがあるのに気付いていたが、大きさに変化がないためそのままにしていた。先日、入浴時にしこりの増大に気付き心配になり受診した。乳房に色調の変化やひきつれを認めない。表面平滑で弾性硬、可動性良好な径 3cmの腫瘤を触知する。腋窩リンパ節を触知しない。左乳房のマンモグラム(A)と胸部 CT(B)とを別に示す。考えられる診断はどれか。
a 乳癌
b 乳腺炎
c 乳腺症
d Paget 病
e 乳腺葉状腫瘍

正解はeです。可動性良好、30年の経過からは乳癌よりも葉状腫瘍を考えます。

参考
110D2:外科的切除が標準治療となるのは⇨乳腺葉状腫瘍

乳腺線維腺腫

・線維腺腫:若い女性に多い、良性腫瘍(片側)、境界明瞭で弾性硬、圧痛なし
・対応は経過観察。ただし葉状腫瘍を否定できない場合に切除することも。

112D22
22歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。右乳房に長径約2cmの卵形の腫瘤を触知する。腫瘤は表面平滑で弾性硬、可動性は良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。乳房超音波像を別に示す最も考えられるのはどれか。
a 乳癌
b 乳腺症
c Mondor病
d 乳管内乳頭腫
e 乳腺線維腺腫

正解はeです。22歳という若年者で、良性腫瘍を思わせる所見(表面平滑、可動性良好、分泌なし)から線維腺腫を考えます。

乳腺症

・エストロゲンが過剰⇨乳房が腫脹(両側)
・30代以降(閉経前)に好発します。
・乳癌のように疼痛、マンモグラフィで石灰化、(ときに血性)の乳汁分泌、境界不明瞭な硬結を認めることもあります。
・痛みにはホルモン療法が有効です。NSAIDは無効です。

111A1
両側乳房の疼痛を主訴とする乳腺疾患で最も頻度が高いのはどれか。
a乳癌
b乳腺症
c線維腺腫
d葉状腫瘍
e乳管内乳頭腫

乳管内乳頭腫

・中高年好発の良性腫瘍。血性分泌あり。
・血性分泌物があるも腫瘍を同定できない場合には乳管造影を行います。
・中枢型と末梢型があります。

・中枢型なら悪性化は稀のため経過観察でOKです。

110I33
左乳頭直下の母指頭大の腫瘤を主訴とする患者で、腫瘤を指で圧迫したところ乳頭から分泌物を認めた。そのときの乳房の写真を次に示す(示しません)。
考えられるのはどれか。2つ選べ。
a 乳癌
b 乳腺症
c 乳腺線維腺腫
d 乳腺乳管内乳頭腫
e プロラクチノーマ

正解はadです。
年齢は不明ですが、血性分泌がある場合には乳癌と乳管内乳頭腫は考える必要があります。


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