生涯最も愛する映画 Top.100 2022
今年もやってきました。
オールタイムベストムービーのお時間だぜ。
※この記事は2022年の大晦日に執筆しております。
早いもので今年も終わりですねえ。
感覚としては「2018年の10月くらい」のままなんですが、現実は2022年も暮れってことで、「時の経過」の圧倒的な不可逆性に腰を抜かし、歯をガチガチ鳴らしながら部屋の隅でガタガタ震え、その振動を活かして大地を揺らし、町全体を心地良い「ゆりかご状態」にすることで、ほら、あの爺さんも、あの子供たちも、すっかりウトウトしているよ。
さて、今年は仕事が楽しくも忙しく、なかなか愉快な一年でした。
Seiya Asanoとしては、短編ドキュメンタリーの撮影・編集に着手しており、実は予告も公開しちゃったんだ。
芸術のみならず、笑顔で挨拶したり、ゴミを拾ったり、傷付いた友人の傍にいてあげることだったり、そういった意志の表出は全て「表現」だと言えます。
僕にとっては映画やオタクライフの発信、子供達と一緒に飛び跳ねたりだとかがそれに該当します。
ささやかな表現たちの一つ一つは小さくも確実に波及し、連鎖し、いつかきっと大きな輝きとなって、この世界の影や悲しみに光を照らすと信じています。
このTop 100も、ささやかな表現であれば良いなと。
お決まりの台詞ですが、オールタイムベストとは「俺はこれが好きなんだ!俺はこういう人間だ!」ということです。さて、始めましょう。
子供に夢を、大人にロマンを。そして皆に愛を!
100~81.
100. The Return of Ringo / 続・荒野の1ドル銀貨 (1965)
今年はマカロニ・ウェスタンで開幕だ!
テッサリ監督・ジェンマ出演作の中で最大のお気に入り。
99. The Prowler (1981)
鬼に金棒、殺人鬼にサイレージフォーク!
グサッ!ブスッ!ブシュー!
98 .The Punk Syndrome / パンク・シンドローム (2012)
「生き様」を掻き鳴らし、「俺」を叫ぶんだ。
97.Dirty Mary, Crazy Larry (1974)
誰も見向きしない負け犬なりに、盛大に死んでやろうじゃねえの。
96 .Poultrygeist: Night of the Chicken Dead (2006)
もうすっかりお馴染み。グロ汚くて超面白い。
95 . Blindman / 盲目ガンマン (1971)
如何にもマカロニ・ウェスタン末期のプロットなんですが、まぁこれが渋いんだ。フェルディナンド・バルディも夢中になった監督の一人。
94 . Le Trou / 穴 (1960)
スリルと絶望が隣り合わせってことを、
フィクションでは忘れがちなんだよね。
93 .La Chinoise / 中国女 (1967)
本作同様、鋭敏であり続けた映画の革命家。
安らかに。
92 . RAW (2016)
視覚表現を越えた、生身・現存感の提示。
デュクルノー監督作品はリアルタイムで劇場鑑賞するでしょうね、今後。
91 . Dead & Buried / ゾンゲリア (1981)
ゾゾゾゾゾゾゾーッ!
すげえ緊張感と寒気が充満する。
90 . Hot Fuzz (2007)
帰ろうよ、少年時代に。
ワクワクと、ミナギルユウキ。
89 . Cleo from 5 to 7 / 5時から7時までのクレオ (1962)
映画と観客の両者を包括しうる劇場において、「時間」こそが平等です。
88 . Navajo Joe / さすらいのガンマン (1966)
レオーネ、ソリーマ、ガローネ、マルティーノetc、今回最初に登場するセルジオは、
我らがコルブッチ御大。
87. Four Flies on Grey Velvet / 4匹の蝿 (1971)
アルジェント映画はどれ観ても面白い。『Deep Red』は毎年ランクインしていたので、今年は敢えて別の作品を入れています。
86. Asparagus (1979)
『Joy Street』も好きですが、衝撃的だったのはこちら。カルトであるということは、強大な客体であるということかもしれない。
85. What Ever Happened to Baby Jane? / 何がジェーンに起ったか? (1962)
表も裏も、前後も緊迫感が張り詰めててさ。
でもね、本当凄いんだこの人達。
84. Chelsea Girls (1966)
アンダーグラウンドアートの記念碑的映画。
83. Hellbound: Hellraiser II (1988)
あらゆる「2」の中でも最強の「2」
82. Flesh for Frankenstein / 悪魔のはらわた (1973)
生首目ギョロギョロシーンから始まるカルトシンフォニー。だーい好き!
81. Phantom of the Paradise (1974)
シネフィルの教典、観る麻薬。
80 ~ 61
80.Black Mama White Mama (1973)
エクスプロイテーションの鬼才、エディ・ロメロ師匠の痛快バディアクション。
79.Mutual Appreciation (2005)
マンブルコアという表現運動は、モバイル化された創作手段とその自在性に大きな影響を齎した、と思います。
78 . Kill, Baby,Kill / 呪いの館 (1966)
『知りすぎていた少女』とか、『モデル連続殺人!』とか、『白い肌に狂う鞭』とか、
いちいち全部入れてらんないじゃん?
ま、あと2作品ランクインしてんだけどね。
77 . Crip Camp (2020)
青春の全てが詰まったあの場所から、
僕たちは自由を目指して走り始めた。
76. 牯嶺街少年殺人事件 (1991)
儚くと尊い記憶の中に、懸命さと過ちと。
75. The Honeymoon Killers (1970)
今年のランキング、色々とキーワードがありますが1つは「アウトロー」です。
74. Opera (1987)
忘れられない大好きな場面の数の多さ。
73. Compañeros / ガンマン大連合 (1970)
カンパニャーーローーーッ!!!
72. Daisies / ひなぎく (1966)
濃密なのに澄んでいて、
何てカッコいい映画なんだろう。
71. Drive (2011)
体に稲妻走ったかと思いましたわ、
っていう程痺れる映画。
70. Johnny Guitar / 大砂塵 (1954)
映画というか、クロウフォードの迫力に呑まれてしまう。
69. Django Kill... If You Live, Shoot!/ 情無用のジャンゴ (1967)
凄惨なまでの暴力の連鎖。
68 . Opening Night (1977)
「芝居」それ自体を考えさせられる。
67. Na srebrnym globie / シルバー・グローブ/銀の惑星 (1988)
壮大な洞察を伴うその世界は、
「創世」の域に達した。
66.The Big Sleep / 三つ数えろ (1946)
映画における脚本は読み物ではなく、
やはり視覚・映像で語る芸術。
ハワード・ホークスはこの分野で如何に天才的な表現を成し遂げ、映画作家のフィールドに水を与えたか。
65. Braindead (1992)
グロ界のスイパラ。
64 . Cross of Iron / 戦争のはらわた(1977)
説明不要の、銃火器大洪水。
63. Mamma Roma /マンマ・ローマ (1962)
僕は好きな俳優としてアンナ・マニャーニの名前を挙げることが多いですが、彼女の怪演とパゾリーニの勢いに満ちた脚本の調和として、本作は非常に重要です。
62. Salvatore Giuliano / シシリーの黒い霧 (1962)
均衡が崩壊する瞬間。
61. Thriller: A Cruel Picture (1973)
許せるわけ無いんだから、
とっとと地獄行の荷造り頼むワヨ。
60 ~ 41.
60 . The Beyond (1981)
フルチ映画最高傑作、熱狂するぜえ。
59. King of Hearts / まぼろしの市街戦 (1966)
この平穏な空間には、
銃じゃなくて蝋燭に火が灯るんだ。
58. Gun Crazy / 拳銃魔 (1950)
暴力は、初めから貴方に憑りついていた。
反権力のアティチュードを剥き出しにして。
57. The Irishman / アイリッシュマン (2019)
スコセッシの総決算・集大成、
それを以てしてオーケストラ。
56.Three Colours: Blue (1993)
生きる希望を失い、死ぬ機会も失った。
その狭間で
運命は何を選び取るか。
55. All the Colors of the Dark (1972)
殺戮の色に染まったフィルムを
リールに巻いて。
54. The Wild Bunch (1969)
説明不要の鉄と血の暴力神話。
53. Pickpocket / スリ (1959)
ミニマルな演出によるソリッドな心理。
52. AMY (2015)
純粋に愛情を求めた天才は、
音色とキャメルの香りを残して
この世を去った。
51. The Night Comes for Us (2018)
正義とか、算段じゃない。
ただ、あの子を守るって、決めたんだ。
50 . 堕落天使 / 天使の涙 (1995)
2022年は劇場でウォン監督作品4Kリマスター上映祭がありましたが、皆さん行かれましたか?もうね、あまりの感激でさ。
はぐれ者達の浪漫と、粋と、めちゃくちゃ感動した。
49. Mary & Max (2009)
君を想って、不器用ながらも
一つ一つ紡いだ言葉。
48. Diary of a Country Priest / 田舎司祭の日記 (1951)
制約と静寂が生み出す迫力と、
研ぎ澄まされた空間。
47. The Inglorious Bastards / 地獄のバスターズ (1978)
ならず者恩赦映画代表。
46. Alice,Sweet Alice (1976)
不信を斬り刻む。それを信じた者の、狂気。
45. Baby Driver (2017)
この愛さえ信じていれば、俺が命を賭ける
ことに理屈なんていらねえだろ。
44 . Black Sunday / 血ぬられた墓標 (1960)
ホラー映画の発展はバーヴァ監督抜きには
語れない。
その決定的な一作です。
43. Memories of Underdevelopment / 低開発の記憶 メモリアス(1968)
創作の衝動に駆られる。
42. La battaglia di Algeri / アルジェの戦い (1966)
この抑圧された民衆を、
どれだけ客観しても世界は変わらない。
41. I clowns / フェリーニの道化師 (1970)
フェリーニから今年は本作を。
物凄く寂しくて、なぜか懐かしくて。
40 ~ 21
40 . Django (1966)
これぞコルブッチ。腹黒いユーモアが常に横たわって、でもカッコ良くて。
アクション映画界のパンクロックみたいな監督だと思う。
39. Paris Is Burning / パリ、夜は眠らない。(1990)
蛹と一緒に過去を脱いじゃった。
愛され、輝いて、美しいワタシが羽ばたいているでしょう?
38. Faces (1968)
感情が迸る、シネマトグラフとモンタージュ。ジャズだ。
37. Ms. 45 / 天使の復讐 (1981)
命乞いなんて無意味ヨ。
このハジキが吹く火であんたの醜顔を、
照らしてあげるワ。
36. Out of the Blue (1980)
下り坂を全速力で走った様な、
運命の転がり方。それも、自分の脚で。
36. Suspiria (1977)
贅沢な殺戮、高級流血三昧。
35. Ali: Fear Eats the Soul / 不安は魂を食いつくす(1974)
俺はこんな恋愛したことないですけど、
何でそんなに純粋なんだろうって。
何でこんなに寂しいんだろうって。
34.Black Girl / 黒人女 (1966)
故郷と、ワタシに、さようなら。
33. Scarface / 暗黒街の顔役 (1932)
成り上がった先には、
枯木の様な、自分が待っていた。
32. Rolling Thunder (1977)
復讐の手段にしたって、暴力が必然になってしまうことの虚しさは、悲痛なだけ。
31. A Bay of Blood / 血みどろの入江 (1971)
これを観ないと年越せねえや。
30. Coffy / コフィー (1973)
アンチ弱いもの虐め。
29. La Belle Noiseuse / 美しき諍い女 (1991)
創作の場における
相克・魂の溶解・矜持の表出。
その過程すら、芸術。
28. Le cercle rouge / 仁義 (1970)
え!?『仁義』を観たことない?
羨ましいいいい!!少なくとも1つは、楽しみ待ってんじゃん!
27. Vampyr (1932)
イメージ=映像として、最高のホラー映画。
26. Sawdust and Tinsel / 道化師の夜(1953)
悲しみ・虚無を認知する主体を滑稽だと嘲笑うなら、それでいい。そんな喜劇を、私がピエロになって演じましょう。
25. I Am Cuba (1964)
フィルムの魔法と、民衆の叫び。
全体に帰属する個人ではなく、個人が集まって全体になるのです。
24. My Life in Pink / ぼくのバラ色の人生 (1997)
ファンタジーで誤魔化さない。
子供達の未来への、約束さ。
23. The Great Silence / 殺しが静かにやって来る (1968)
英雄幻想を破滅に追い込んだ、もう一つの
「最後の西部劇」。
22. Masculin Féminin / 男性・女性 (1966)
若さは理想主義と思想を膨らませ、
編集という文脈の構成で、肖像化される。
21.The Trial of Joan of Arc / ジャンヌ・ダルク裁判 (1962)
ブレッソンも、この過ちに立ち向かった。
21. Duck, You Sucker! / 夕陽のギャングたち (1971)
灼熱の地、地獄の業火をお見舞いだ!
改題を強いられた作品でもありますが、
この原題めっちゃ好きなんですよね。
20 ~ HOF
20 . Scarface (1983)
シャブも、殺しも、やるしかねえんだ。
俺が俺であるために。
19. Hiroshima mon amour : 二十四時間の情事 (1959)
最初から最後まで圧倒的。
18. Le Samouraï / サムライ(1967)
あらゆる場面・要素が大好きなんですが、
マジでカッコいいなあアラン・ドロン。
17. The Florida Project (2017)
あの夏に信じた宝物は、今も胸の中。
16. Badlands / 地獄の逃避行 (1973)
破滅的で瑞々しい、アウトローの物語。
安易な邦題は論外。
15. Diary of a Lost Girl / 淪落の女の日記 (1929)
オスドルフ伯爵の最後の一言に尽きます。
僕のアイドルの一人、ルイーズ・ブルックスに捧げます。
14. The Naked Kiss / 裸のキッス (1964)
過去や世間が何と言おうと、
目の前の子供を抱きしめる優しさが、
真の強さなんです。
13. Once Upon a Time in The West (1968)
西部劇の完成形であり、最高到達点。
12. The Ascent / 処刑の丘 (1977)
決して溶けることのない雪が、
彼らの悲鳴を覆い隠す。
11. L'Argent / ラルジャン (1983)
今年は特にブレッソン作品に夢中だった。
最大の敬意。
10. Once Upon a Time in America (1984)
壮大で美しい追憶は、光も影も駆け抜ける、
いつだって僕等はドラマの中にいた。
恋をする甘さも、仲間が撃たれる悲しみも、
未来のどこかで、誰かが語ってくれるだろう。
9. Bande à part / はなればなれに (1964)
はぐれ者たちのアイコン、永遠に。
8.The Passion of Joan of Arc / 裁かるるジャンヌ (1928)
僕の好きな詩人A.アルトー出演作でもあるわけですが、彼の本作に対する言説が芸術の意味・本質の全てだと思います。長いですが、引用させてください。
7. Shock Corridor / ショック集団 (1963)
フラー監督の映画はまず
不条理・犠牲の実在感があって、
シネマを通した表現はその対抗である。
6. Taxi Driver (1976)
何度観ても震えるほど素晴らしくて、
情熱的で、確かで。
人生におけるモニュメント。
5. The Good, the Bad and the Ugly / 続 夕陽のガンマン (1966)
アクション映画の革命。
最もカッコいい。
4. Tangerine (2015)
ワガママでトラブルメーカーな自分。
そりゃイケてんだけど、嫌になるの。
でも、アンタが側にいることの確かさは、
誇れるかもね。
3. Jeanne Dielman, 23 Commerce Quay, 1080 Brussels (1975)
「展開する永遠」という時間性を提示して、
実存的本質の恒久性に観客を従わす。
身動き取れなくなった映画の一つ。
3. Shadows / アメリカの影 (1959)
インディペンデントであるということ。
映画という表現を信じていること。
情熱は正直だ。
2. Иваново детство / 僕の村は戦場だった (1962)
この歴史において、
犠牲者は勝者よりも遥かに多く、
絶望が希望を凌いできた。
だから、光も、笑顔も、夢も忘れちゃいけない。歌わなくちゃいけない。
1. Eyes Without a Face / 顔のない眼(1960)
擁立は立ち塞がる壁となって真の自由を阻む。
振り切って、歩みを進めて、初めて
「自分」という生を自らに授ける。
とうとう、1位に選出。
Hall of Film
Låt den rätte komma in / ぼくのエリ (2008)
芸術としての道標、尊厳と愛の指標。
僕にとって、
本作との出会い自体が人生で起きた
奇跡の一つ。
はい、今年はここまで!
またお会いしましょう。
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