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「キカクの図書室」をつくる【企画メシ2021自分の企画】

わたしはどんな企画をする人になるか。

半年間通ったオンライン講座企画メシも次回でいよいよ最終回。
最後の課題は「あなたはどんな企画をする人になりますか?」

この問いへのわたしの答えは
「自分と身近な人が機嫌良く日々を過ごすための企画をする人になる」
です。

かなり漠然としていますので、少し説明させてください。

これまで自分は「顔の見える関係」の人たちのために働きたいと思ってきました。それが今の地方公務員という仕事選びにもつながっています。自分の周りにいる人の毎日が、劇的には変わらなくても、ちょっとでも愉快で生きやすいものになれば、そんなに嬉しいことはないと考えてきました。

ところで、自分にとっていちばん身近なのは誰か、と考えてみると、それは自分なのです。なんだか禅問答のようになってしまいました。
まずは自分が機嫌良く過ごせるようになりたいと、企画メシで学んだこの半年間で思うようになりました。

解釈代理店と阿部さんのイベントでも相談させてもらいましたが、わたしは自分が住んでいるまちのことが好きではありません。でも、そのときにもらったアドバイスで、自分が住む家を面白い空間にすることだって出来るんだと気付かされました。

どこかで阿部さんが「『今日の夕飯なに食べる?』だって企画」と言っておられたのが、わたしにはとてもしっくりきました。
ささやかなことでもいいから、自分と身近な人が毎日(なるべく)機嫌良く暮らせるような企画を考えていきます。

身近な人=企画生のためにできることはないか

今のわたしにとって、企画生のみなさんはもう「身近な人」です(一方的な思い込みかもしれませんが…)。で、なにかできることはないかと考えたのですが、企画生のための図書室を作るのはどうだろうかと思いつきました。

その図書室に並ぶのは、わたしが選んだ企画生それぞれへのおすすめ本とゲスト講師の著書や関連書籍、企画生から聴いたおすすめ本などです。出来るかぎり集めます。

東京からも遠く離れた岐阜の郊外ですので、なかなか実際に来てもらうのは難しいかもしれません。でも、いつか足を運んでもらう日のために、頭と手を動かして形にします。

選書とひと言

図書室づくりへの第一歩として、企画生のみなさんに本を選びました。なかなかお話できなかった方も多くて、見当違いな選書をしているかもしれませんが、ここからみなさんのことをもっと知っていければうれしいです。

01秋田真梨子さん
『植田正治の世界』植田正治事務所(平凡社)
秋田さんといえば「砂丘とうなぎ」のイメージ(わたしだけですか…?)。鳥取砂丘を舞台に作品を撮り続けた写真家植田正治さんの本をおすすめします。

02阿南藍子さん
『Hot Drinks around the World 世界のホットドリンク』プチグラパブリッシング
MOTTO RADIOでの香辛料トークが印象的だった阿南さんには世界のホットドリンクを集めた一冊をおすすめしたいです。そういえば、ラジオ聴いてからハリッサ買いました。

03天野豪紀さん
『考える練習』保坂和志(大和書房)

「本の企画」の企画案で書いていた「わからないけどすごくいい」という言葉が響きました。「わからないままでいることのおもしろさ」を伝える保坂さんの本をぜひ読んでみてほしいです。

04荒井珠美さん
『いま生きているという冒険』石川直樹(新曜社)

MOTTO RADIOでの印象なのか、勝手に「冒険家」として認識してます。石川さんのこの本は大好きで、世界を股に掛けるたまちゃんにぜひ読んでほしいです。

05池田かすみさん
『ことばになりたい』一倉宏(毎日新聞社)

身の回りの「ことばになりたい」ものたちの声を拾い集めて形にしていく。半年間池田さんの企画をとおして、コピーライターの仕事を拝見させてもらった思いです。『女の園の星』についてもいつかお話ししたいです。

06石川駿介さん
『おもろい以外いらんねん』大前栗生(河出書房新社)

若手芸人とその友人の10年間を描いたこの作品は「ただ面白かった!」っていうだけじゃなくて、笑いについていろんなことを考えるきっかけをくれました。イシコさんがどんな感想をもたれるか気になります。

07石川寛之さん
『ディスイズザデイ』津村記久子(朝日新聞出版)

サッカー好きの石川さんに。サッカーを描いた小説ってたくさんあるかと思いますが、サポーター目線で描いたもの(しかも2部)ってあんまりないと思います。実際にスタジアムに行きたくなりました。

08石田剛さん
『ゲストハウスガイド100』前田有佳利(ワニブックス)

宿泊業で働かれていると書いてあったので、全国のゲストハウスを紹介した1冊をおすすめします。石田さんの方が詳しいと思うのでおこがましいかと思いつつ。むしろ、おすすめのゲストハウスを教えてほしいです。

09一倉莉奈さん
『14歳からの仕事道』玄田有史(イーストプレス)

以前お話を聴いた時には一倉さんのアツい思いに圧倒されました。就職支援の活動にこの本が役立つといいなあと思ってます。玄田さんの著書では『希望のつくり方』もおすすめです。

10伊藤美月さん
『本のお茶』川口葉子(角川書店)

岡倉天心の『茶の本』をベースにしたビジュアルブックです。お茶の文化的な側面を知ることが、伊藤さんの「お茶畑を守りたい」という思いの一助になればうれしいです。

11稲田万里さん
『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社)

突き抜けた感性を持つコスモ・オナンさんにはいっそ独立国家をつくってほしいという思いです。坂口さんは九龍さんとも親交が深くて、伝統の企画で九龍さんに絶賛されてたオナンさんとつながるところがあるんじゃないかと考えました。

12井上胡桃さん
『モテとか愛され以外の恋愛の全て』桃山商事、イーストプレス

ラジオの企画で同棲事情を話されていて、いわば恋愛のB面的なところにスポットライトをあてていた(お金のこととか、PayPay送金は笑いました)のが印象的でした。この本がまさにそんな感じで、きっと共感してもらえるのではないかと。

13井村桃子さん
『本当の勇気は弱さを認めること』ブレネー・ブラウン(サンマーク出版
おすすめしてもらった本とつながる部分があるのではないかと思い紹介しました。「弱さ」は乗り越えるのではなく、受け入れるものではないか。そんなことを考えています。

14榎本彩花さん
『よう知らんけど日記』柴崎友香(京阪神Lマガジン)

東京に暮らす大阪出身の作家さんのエッセイです。巻末に(この方も関西出身の)漫画家サライネスさんとの対談が載ってますが、関西出身ではない自分も面白く読めたので、きっと榎本さんならもっと面白いんではないかと。あと、よう知らんけど、っていい言葉ですね。

15大澤ゆかりさん
『平成日本の音楽の教科書』大谷能生(新曜社)

大澤さんの音楽の守備範囲の広さに驚嘆しました。この本は音楽家大谷能生さんによる「音楽の教科書」についての本です。わたしたちと音楽との関わりかたってもっと自由でいいんじゃないかと思ます。

16岡崎菜波さん
『愛を想う』東直子(ポプラ社)

音声配信界のaikoこと岡崎さんには、歌人の東直子さんとイラストレーターの木内達朗さんによる美しい本をおすすめしたいです。短歌を詠みあげるラジオ、いかがでしょうか。

18加渡万紀子さん
『他者の靴を履く』ブレイディみかこ(文藝春秋)

ラジオの企画での靴磨きのおじさんとのエピソードがめっちゃいい、と思いました。完全に「靴」だけのつながりですが、加渡さんの感性ならこの本をどう読むだろうか、と考えてしまいました。

19賀野壮一朗さん
『にょっ記』穂村弘(文藝春秋)

知る本市でも紹介しましたが、ラジオの企画で賀野さんが日記について配信されていたのでこの本をおすすめしたいです。話はそれますが、知る本市のおかげで企画メシがかなり面白くなりました。ありがとうございました。

20河合道雄さん
『「利他」とはなにか』伊藤亜紗編(集英社)

講師の方に質問されるときや交流会での河合さんの姿勢、というかふるまいに勝手に尊敬の念を抱いています。これはお勤め先からの安直な連想ですが、いつか「利他」について河合さんとお話ししたいです。

21橘川洋人さん
『北欧デザイン1〜3』渡部千春(プチグラパブリッシング)

スウェーデンの本屋さんの写真ありがとうございました!スウェーデンで過ごされていることがただただ羨ましいと思いつつ、北欧デザインの本を最近読んでいます。

22木下美幸さん
『たのしい写真』ホンマタカシ(平凡社)

写真をとるのが下手、とよく言われます。でも、いわゆる「写真をうまく撮る方法!」みたいな本を手に取るのが嫌で読んだ一冊です。相変わらず写真は下手なままなので、木下さんに教えを乞いたいです。

23木村聡さん
『自殺』末井昭(朝日出版社)

本の企画で「辞世の句」についての企画を提出されていたので、こじつけですが「自殺」についての本を選びました。自殺をテーマにしたエッセイですが、読むと明るい気持ちになれるのが面白いと思います。

24草間さゆりさん
『1122』渡辺ペコ(講談社)

ラジオの企画、ご夫婦で「結婚」をテーマに配信されていることが面白かったです。「夫婦」ってなんだろうなあと考えさせられました。
この漫画もぜひご夫婦で読んでほしいです。

25暮石亮さん
『いろんな気持ちが本当の気持ち』長嶋有(筑摩書房)

暮石さん、いろんな気持ちが本当の気持ちなんです(くどい)。だから悩んでもいいし、矛盾しててもいいと思います。いつでも話聴きます。

26小松碧さん
『ブルーピリオド』山口つばさ、講談社

美大を目指す高校生の青春を描いた漫画です。「エネルギーの放出」という小松さんの言葉から連想しました。あと、「碧」さんという名前からも…
読むとエネルギーの補充になります。

27榊原彩歌さん
『こども文様ずかん』下中菜穂(平凡社)

榊原さんの切り絵、めっちゃいいやんって思ってました。この本は家紋の図鑑なんですが巻末に切り絵の型が載っているので、切り絵制作のアクセントになるのではないかと思って選びました。

28佐藤真帆さん
『月影ベイベ』小玉ユキ(小学館)

「よさこい」と「おわら」ってだいぶ違うかもしれませんが、伝統的な舞踊ということでなにか響くものがあるのでは、と思いました。小玉さんの前作『坂道のアポロン』もアツいです。

29柴田絢加さん
『世界の祝祭日とお菓子』(プチグラパブリッシング)

「自分の広告」での柴田さんのアップルパイがすごく美味しそうでした。コロナで海外には行けませんが、こういう本を読んで世界各国の料理を作るのはありやなあと思っています。

30嶋崎ゆうなさん
『モモ』ミヒャエル・エンデ(岩波書店)

嶋崎さんは本の企画で「時間」についての企画を出されていたかと思います。あらためて紹介するまでもない名作かと思いますが、実はわたしは読んだことなくて(読んでないのにすすめてすいません)…コロナ禍の今だからこそ、読んでみようと思っている一冊です。

31清水啓那さん
『ぼくは運動おんち』桝野浩一(集英社)

対話の企画で「スポーツ嫌い」と言われていたのが記憶にあります。
この本は自伝的な小説なのですが、主人公は「運動音痴ですぐ死にたくなってしまう」というなかなか極端な性格です。作中「スポーツなんて全部、意味がわからない」という主人公の悲痛な叫びがありますが、清水さん共感できますかね… 色々書きましたが、読むと元気がでる青春小説です。

32じんぼぼんじさん
『捨てられないTシャツ』都築響一編(筑摩書房)

いろんな人のTシャツに関するエピソードを集めた本ですが、Tシャツの話を超えてその人の人生そのものに及んでるところとか、じんぼさんのぶっちゃけ履歴書に通じるところがあるのではないかと。あと、じんぼさんは捨てられないTシャツエピソード持っていそうっていうのもあります。

33菅沼彩実さん
『「その日暮らし」の人類学』小川さやか(光文社)

初めて読んだ時、これまで当たり前だと思っていたことが易々とひっくり返されたと思いました。その経験はなんだか痛快ですらあったのを記憶しています。文化人類学の面白さにあらためて気付かせてくれた一冊です。余談ですが、菅沼さんへのおすすめは最後まで『うんこ!』(サトシン・西村敏雄)にしようか悩みました。

34杉浦公則さん
『夜の木』(タムラ堂)

杉浦さんの「夜の森での一夜」のエピソード、すごくいいなと思いました。インドの神話をシルクスクリーンで描いている美しい絵本ですが、この本にカナダの夜の森とつながるものがあればとてもうれしいです。

35杉山真太郎さん
『自分の仕事をつくる』西村佳哲(筑摩書房)

杉山さんはまさに今、自分の仕事をつくろうとしている真っ最中かと思います。この本は(少し古いですが)きっと助けになる一冊だと思います。
余談ですが、『DAYS』なら「人生に迷ったらより難しい道を選べ それがもっとも美しい生き方だ」という水樹のおじいちゃんのセリフがいちばん好きです。

36鈴木悠紀さん
『つながりの作法 同じでもなく違うでもなく』熊谷晋一郎・綾屋紗月(NHK出版)

本の企画では同じグループでしたね。鈴木さんの言葉からいろんなことが想起されて面白かったことを覚えています。そこで触れた熊谷晋一郎さんの著書です。「周りに頼る」ってことが、世の中でもっと肯定的に捉えれていいような気がします。


37高崎祥子さん
『ミュージックマガジン2021年10月号』(ミュージックマガジン)

シンガーソングライター特集です。巻頭の九龍さんと松永良平さんの対談もおもしろかったです(知らないアーティストばっかりでしたが)。いつか、しょーこさんの名前をミュージックマガジンの誌面で見たいです。
応援してます!

38高味里帆さん
『プロミスシンデレラ』橘オレコ(小学館)

LiSAさんがドラマの主題歌を歌われてましたね。ドラマ主題歌を歌うって珍しいんですかね?原作もすごく面白いのでオススメしたいです。マンガワンっていうアプリでも読めますよ。

39田口裕也さん
『ぎおんご ぎたいご じしょ』(パイ・インターナショナル)

言葉の企画を形にされている田口さん、すごいなあと思いつつ、手助けになればと思って選んだのがこの本です。ちょっとかわった辞書で、擬音語擬態語ばかり集められたものですが、デザインや写真がとてもポップでかわいいです。

40竹内詩織さん
『岩木遠足』(青幻舎)

FACEBOOKで弘前出身というのを拝見しました。青森の岩木山を舞台にしたイベントについてまとめられた本をおすすめしたいです。二年前に一度しか見たことはありませんが、車で走っていて岩木山がぱっと見えた時の感動は今でも忘れません。弘前、大好きな街です。

41橘春花さん
『雨無村役場産業課兼観光係』岩本ナオ(小学館)

橘さんには背中を押してもらってばかりで感謝してもしきれません。岡山県の役場を舞台にした漫画ですが、すごーくゆるいなかにもグッとくるところがあって、きっと好きになってもらえるのではないかと思います。
いつか一緒に本屋巡りをしましょう。

42田中亜希子さん
『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』北村紗衣(書肆侃々房)

フェミニズム批評を専門とする著者の批評入門書です。正直わたしはミュージカル映画に詳しくないのですが、この本で田中さんの好きな映画も紹介されているのではないかと思い挙げてみました。作品をもっと深く楽しみたいと思っていた自分にはとても面白かった一冊です。
あと、タイトルがいい本は面白い、という持論があります。

43田中智也さん
『やっかいな男』岩井秀人(東京ニュース通信社)

劇作家のエッセイです。「キス我慢選手権ザムービー」にも出演していたし、田中さんに引っかかるところあるんじゃないか、と思ってました。
最近やってる「いきなり本読み」という企画も面白くて、佐久間さんと対談したりしてました。

44田中ゆき乃さん
『d design travel 岐阜』(D&DEPARTMENT PROJECT)

単純に岐阜県つながりということで選んでます…
しかも可児ですよね。だいぶ近い方が企画メシに参加されていたことにかなり驚きました。岐阜にもいろいろ面白いとこあるよなあと、最近になって思っています。

45田辺彩さん
『濡れた太陽』前田司郎(朝日新聞出版)

学生演劇いいですね。大人になってから演劇にハマったので、もういちど学生生活をやり直すなら演劇やりたいなあと思ってます。
この本は高校演劇の小説です。著者は五反田団の前田司郎。ちょっと長いですがすごく面白いです。それに、実際に演劇やってる田辺さんだったらもっとちがった読み方できるかなあとか思ってます。

46谷口享世さん
『世界をきちんとあじわうための本』(ホモ・サピエンスの道具研究会)
ラジオの企画で言われていたこと、まさに!って思いました。わたしたちは毎日毎日なにを見てるんでしょうね。この本は日常の「あじわい」をきちんと感じ取るための一冊です。

47玉田依子さん
『心はどこへ消えた』東畑開人(文藝春秋)

初回の感動メモで「フリーランスになってから嫉妬しすぎてしんどくなることが多くなった」と書いていらっしゃいました。嫉妬、しんどいですよね。これは心理士によるエッセイですが、この本が面白いのは心理士でも嫉妬に苦しんでいるところです。プロでもそうなんだって、なんか安心しました。
嫉妬には手軽な解決はなくて、時間をかけて付き合っていくしかないのかもしれませんね、面倒ですが。おすすめします。

48田山麗衣羅さん
『新解さんの謎』赤瀬川源平(文藝春秋)

Twitterか何かで新明解国語辞典ユーザーだというのをみました。わたしは新解さんユーザーではないのですが、この本読むと辞書だけどめっちゃ人間味があるように思えてきて面白かったです。田山さんが知っている何か面白い表現とかあればぜひ教えてください。

49土田悠輝さん
『わが星』柴幸男(白水社)

演劇に携わっているというのを知ったので、自分が衝撃を受けた演劇の戯曲をおすすめします。有名だからもう観てるかもしれませんが…観てなければちょうど今、配信やってるみたいです。ぜひ。

50土屋珠美さん
『ふらり』谷口ジロー(講談社)

(おそらく伊能忠敬をモデルとする)主人公がただ江戸の街をふらふらするだけの漫画ですが、めっちゃいいんです。伊能忠敬は勝手に元祖フッ軽だと思ってます。ところで、フッ軽って自由な感じがしていい言葉ですね。響きもいいです。

51土屋宙奈さん
『いつか僕らの途中で』柴崎友香・田雜芳一(ポプラ社)

ラジオの企画で朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の手紙の回にふれていたのを記憶してますが、この本も離れて暮らすふたりの恋人の手紙のやりとりで構成されています。
大好きな一冊ですが、もう絶版になってしまっているのが悲しいところです。

52土井鳳也さん
『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー(筑摩書房)

土井さんは感動メモで「伝える」が「伝わる」になることの難しさを書いていて、「伝わる」ってたしかに難しいよなあと。伝わらないことで思い悩むことばかりですが、山田ズーニーさんの本はヒントになるのではないかと思います。わたしも読み返します。

53徳山里沙さん
『ぼくのキュートナ』荒井良二(講談社)

本の企画で徳山さんに教えてもらったことですが、失恋関係のサービスがあんなにあることが驚きでした。自分だったら失恋のときにどんな本を読みたいかなあと考えて選んだのがこの本です。荒井良二さんの絵がとてもやさしく寄り添ってくれると思うのですが、大切な人に語りかける内容だから、余計悲しくなってしまいますかね。

54戸田妃世里さん
『コウノドリ』鈴ノ木ユウ(講談社)

これは全然おすすめではなくて、むしろ戸田さんから教えてもらったみたいな形になるのですが…気になっていたコウノドリをちゃんと読んでみようと思っています、という報告でした。

55中原優さん
『ごろごろにゃーん』長新太(福音館書店)

「エンジンだけあればいい」というフレーズがキャッチーすぎる中原さんには長新太さんの絵本をおすすめしたいです。意味とかストーリーとかを置き去りに、「ごろごろにゃーん」と飛んでいくネコたち。爽快です!

56仲村直宏さん
『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』福井県立図書館

司書さんたちすごいですよね。最近出たこの本を読んでいるとあらためてそう思います。利用者さんの覚え違いのタイトルを集めているんですが、「人生が片付くときめきの魔法」とか…おしい!さっと読めて笑えます。

57西村圭祐さん
『へろへろ』鹿子裕文(ナナロク社)

西村さんは地元の福岡のことをたくさん発信されていて、「街」に興味がある自分にとってはかなり気になる存在です。
福岡の老人介護施設「よりあい」に集う人たちを描いたこの一冊は、鼻血が出るほど刺激的な面白さです。福岡の本屋さんのブックスキューブリックとかも出てきますよ。

58西山生成さん
『BEASTERS』板垣巴留

西山さんの好きなオオカミ(ちょっと気弱)が主人公の漫画です。「こわいものいじめ」という概念にもつながってくるところがあると思ってます。実を言うと、わたしは原作は読んでおらずアニメだけなのですが… アニメ面白かったです。

59野口祥子さん
『きょうのできごと』柴崎友香

おすすめしたい、というか一緒に読んでほしい本がありすぎてなかなか選べなかったのですが、こないだ話題にのぼった行定勲監督(熊本出身!)が映画化した原作小説を推すことにします。柴崎友香さん、大好きな小説家なのですが周りで読んでいる人がおらず…一緒に読んでもらいたいというお願いです。

60野村彩香さん
『珈琲時間』豊田徹也(講談社)

珈琲好きの野村さんにはオススメしたい漫画です。短編集なのでさっと読めます。珈琲のおともにぜひ。
個人的には登校拒否の姪が伯母と生豆を焙煎するエピソードが好きです。

61配島海音さん
『奇跡の本屋を作りたい』久住邦晴(ミシマ社)

かつて札幌にあったくすみ書房という本屋さんについての本です。個性的な店主さんによる「本屋のおやじのおせっかい」フェアとか、高校生の時に出会えていたらと思ったものです。海音さんには札幌にこんな本屋さんがあったということをお伝えしたかったのと、これからいろんな本に出会ってほしいという思いから、この本を紹介しました。

62秦野優子さん
『差別はたいてい悪意のない人がする』キム・ジヘ(大月書店)

本の企画でXジェンダーを取り上げていらっしゃいました。秦野さんの関心とは外れるかもしれませんが、自分がマジョリティであるということに気づいていなかったということを最近よく考えています。秦野さんの「ニュートラルな人」という表現もなぜか印象に残ってます。そういう名付けによって何かが見えるようになるのかも、とも思いました。

63林啓輔さん
『異性』穂村弘・角田光代(河出書房新社)

MOTTO RADIOのリスナーとして、毎週やっしーさんとかなこさんの掛け合いを楽しみにしていました。それが聴けなくなると思うとさびしいかぎりです。
掛け合いの妙ということで、歌人穂村弘さんと作家角田光代さんが、恋愛について男性女性それぞれの立場から考えた一冊をオススメします。わたしは男女の絶望的なわかりあえなさを感じましたが、やっしーさんはどうでしょうか。

64東愛実さん
『武士道シックスティーン』誉田哲也

ひがしさんオススメの『倒れるときは前のめり』で有川さんも取り上げていた小説です。めっちゃアツいので、きっとひがしさんにもハマるはず!

65東佳菜子さん
『異性』穂村弘・角田光代(河出書房新社)

やっしーさんのところでも書きましたが、ふたりの掛け合いになんども笑わせてもらいました。MOTTO RADIO復活の折には、ぜひおふたりの恋愛観を聴く回をお願いしたいです。

66福みずほ
『オヤジ国憲法でいこう!』しりあがり寿・祖父江慎(イーストプレス)

「自分の広告」のときに福さんからもらったコメントがは本当に励みになりました。ありがとうございました。
あのときの考えはほぼこの本の受け売りと言ってもいいほど、大事にしている一冊です。よかったら読んでみてください。

67藤川陽介さん
『緑の祠』五島諭

藤川さんには日頃から本の話をしているので逆に悩みました。なので、自分もまだ読んでない本にしてみました。
「物干し竿長い長いと振りながら笑う すべてはいっときの恋」
藤川さんが興味を持つきっかけとなった短歌が収められた歌集です。よかったら一緒に読みましょう。

68藤野紗依子さん
『カレーになりたい』水野仁輔(イーストプレス)

カレー愛溢れる藤野さんへおくりたい一冊。東京カリ〜番長の活動で知られる水野仁輔さんの著書です。カレー好きを通り越して、「カレーになりたい」という愛の深さ… 藤野さんとは音楽についても語りたいです。

69本間あやさん
『月面からの眺め』芹沢高志

『宇宙船地球号操縦マニュアル』の翻訳者である芹沢さんの著作ですが、これは内容ではなく、完全にブックデザインから選びました。本間さんの先生である立花文穂さんが手がけたデザイン、めっちゃかっこいいです。

70松本すみれさん
『まんまるがかり』おくはらゆめ

ネコ好きの松本さんには、安直ですがネコの絵本を。おくはらゆめさんの描くどうぶつってなんかいいんですよ。そして「まんまるがかり」っていうネーミングもかわいすぎます。

71村瀬敦樹さん
『砂漠』伊坂幸太郎(新潮社)

麻雀好きな村瀬さんにはぜひ伊坂幸太郎さんの『砂漠』を。大学生の4年間を描いた青春小説ですが、要所要所で麻雀が登場します。高校生の時にこれ読んで麻雀勉強しよ、って思いました。

72目黒智将さん
『来てけつかるべき新世界』上田誠(白水社)

目黒さんのラジオでヨーロッパ企画の名前が出てきて「おおっ」てなりました。そんな目黒さんには岸田賞を受賞した演劇の戯曲をおすすめします。実は作品自体は観てないのですが、戯曲だけでもめっちゃ楽しめて上田誠さんすげえってなったのを覚えてます。

73森裕貴さん
『石川くん』桝野浩一(集英社)

森さんがどこかで偉人たちのクズなエピソードに注目されていたのが面白かったのですが、この本は石川啄木の短歌を現代語訳して「石川くん」のダメっぷりをあらわにするっていうものです。石川啄木って「働けど働けど わがくらし らくにならざり」とか言ってるけど、実際はそんなに働いてなかったらしく、「じっと手を見ている」場合じゃないぞ!!みたいな、そんな感じの本です。
あと、自分も趣味特技欄は悩んでしまいます。

74諸崎そよかさん
『人の居場所をつくる』西村佳哲

ランドスケープデザイナー田瀬理夫さんについての本です。著者は働き方研究家である西村佳哲さん。諸崎さん、ガーデニングが趣味というのをどこかで見たので、ランドスケープにも興味があるのではないかと思い紹介してみました。あと、田瀬さんが「アクロス福岡」のランドスケープデザインも手掛けられているというのもおすすめポイントです。アクロス福岡、途方もなくかっこいいですよね…

75泰永麻希さん
『LIP的台湾案内』LIP(リトルモア)

泰永さんとは関心領域が重なりまくってておすすめしたい本が多すぎたのですが今回は台湾についての本にしました。これ、ガイドブックなんですが、造本も凝ってて気に入ってます。今度台湾カルチャーについて語りましょう。あ、もう一冊だけ。『ひらやすみ』(真造圭伍 小学館)という漫画に「街で暮らすこと」の面白さが描かれている気がして、泰永さんと語りたいです。

76山田奈那子さん
『くちぶえサンドウィッチ』松浦弥太郎

「自分の広告」での山田さんが作ったサンドウィッチ、美味しそうでした。ということで、松浦弥太郎さんの随筆集をオススメします。「サンドウィッチ」で強行突破という感じですが… 日曜の朝とかに読んでほしい一冊です。

77山田真紀さん
『常識のない喫茶店』ぼくのマリ

まわりに対して心配りができる人ほど、見せていないだけで実はイライラしたりモヤモヤしたりしているのかなと思ってます。
この本はとある喫茶店の日常を描いたエッセイなのですが、「働いている人が嫌な気持ちになる人はお客様ではない」とか、「よくぞ言ってくれた」という言葉がてんこ盛りでした。個人的今年のベスト5に入る一冊です(先に言ってしまいましたが)!

78吉川梨沙さん
『愛の本』菅野仁

キカクの夜市で井村桃子さんから教えてもらった一冊です。本の企画で吉川さんが「愛すること」について考えられていたことをみてオススメしたいと思いました。
書きながら、阿部さんが解釈代理店とのイベントで言っていた、「好きになれなくても愛することはできる。愛することは覚悟がいること」という言葉をふと思い出しました。

79吉田舞優さん
『プリンセスメゾン』池辺葵(小学館)

吉田さん「社会からの期待に応えられなくても、あなたはあなたを好きでいていい」という本の企画がとても印象的でした。池辺葵さんの作品は、登場人物が淡々とした日常の中で自分を認めていく過程を丁寧に描いてとても好きです。この作品も独身の20代女性が自分の持ち家を購入するという過程で、不動産屋や家族や近所の人といった周囲の人に影響を与えたり、与えられたりします。自分を認めるってすごく難しいことだけど、この本にはなにかヒントがあるような気がしています。

80吉益麻紀さん
『人生ミスっても自殺しないで、旅』諸隈元(晶文社)

『BACKPACKER』という雑誌で編集をされているという吉益さんには旅のエッセイをおすすめしたいと思います。自殺しようと思って旅に出た著者が、旅の終わりには生きようと思って帰ってくる、って筋書きだけ書くとなんかいい話っぽいんですが、道中サッカー観戦したりバスタブについてのこだわりをみせたりあんまり緊迫感はないです。でも、旅って人生をちがう側面から見せてくれるよなあ、とあらためて気付かされました。あと、多分著者は吉益さんの大学の先輩です。

81和田千聖さん
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』大前栗生(河出書房新社)

和田さんとは結局お話することがなかったですが、Twitterでのお父さんとのぬいぐるみのエピソードとかから、やさしい人なんだなあというイメージを勝手に持ってます。おすすめする本は(タイトルだけですべて言っているような感じもしますが)ぬいぐるみサークルに所属する大学生の話です。仕事以外ではあんまり本を読まないとどこかで書いておられたかと思いますが、そんなに長くなくて読みやすい小説だと思います。


阿部広太郎さん
『聲』石原弦(あさやけ出版)

養豚を生業とする詩人の手になる初の詩集です。コピーライターも詩人も、身の回りの声にならない声に耳を傾けることを生業にしている人たちではないかと、この本を読みながら考えました。とても美しい本です。

平賀めぐみさん
『北極百貨店のコンシェルジュさん』西村ツチカ(小学館)

平賀さんとはタムくんの話ができたのがとてもうれしかったです。タムくん好きならきっとこの作者も気に入ってくれるのでは、と思うのですがどうでしょうか…?
あと、平賀さんは企画生にとっての頼れるコンシェルジュなのではないかと考えたのも選書ポイントです、ちょっとこじつけみたいですが。

山本理さん
『町田くんの世界』安藤ゆき(集英社)

「勤勉で熱心なメガネの奴」という山本さんの自分の広告からパッと思い浮かんだ本です。町田くんはフィクションの登場人物のなかで、わたしがもっとも好きなメガネの奴です。映画もおすすめです。

一言にするつもりが、だんだん楽しくなってきてとても長くなってしまいました。あらためて選書を振り返ってみると、本当にいろんな方たちが参加していたんだなあと思います。

近いうちにゲスト講師の関連書と、企画生のおすすめ本についても紹介していきます。

とりあえず今回はこのへんで。

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