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守備は仕事、攻撃は遊び。

生徒の「ことば」が響くとき

 サッカー部の生徒が書いた、チーム内で大切に言われている言葉の一つを紹介します。ある日、校内で目に留まったのは、手書きでポップなイラスト風に描かれていたボードに、チームのコンセプトや大切な言葉をいくつも書き記したものでした。その中で、さりげなく書かれていた言葉。

守備は仕事、攻撃は遊び。

 妙に響きました。すぐにイメージができました。(私はサッカーのド素人だけれど…)
 サッカーの試合中に、それぞれのチームで指示される様々な「作戦」。広いピッチ上に11名のチームメイトがどんな風に配置されるかのフォーメーションはもちろんのこと、どんな風にボールを回すか、どんな風に動いて周りの選手が関わるか、今は引いて守るのか・ボールを取りに行くのかなど、本当に多岐に渡る「作戦」が刻一刻と変わる状況に応じて指令されて、それに沿ってチームの選手が動いて成り立つ競技の一つです。その「作戦」の中でも、チームとして「これだけは絶対に守ってもらわなきゃならん!」というレベルで全員に求められるのは、攻撃よりも守備の面だと思います。
 だって、攻撃はミスしても0を+1にするチャンスを失うだけだけれど、守備をミスすると0を-1にするダメージを与えてしまうから。

 ちょっとシビアな表現をすれば、
・【仲間の期待を裏切る】のが攻撃のミス、
・【仲間に迷惑をかける】のが守備のミス、
とも言えます。得点を競う競技、しかも引き分けでも勝ち点がつく競技ならではの優先順位を考えると、やっぱり守備のミスを無くすことがより重要視されるのは当たり前のことですね。
 だからこそ、守備は【仕事】であり、みんなが必ずルール通りにこなして守っていくもの。サボらずにしっかりと与えられた役割をこなしてこそ、チームが成り立つもの。攻撃は【遊び】であり、自分の魅力を存分に発揮したり高めたりするためにも、思いきり工夫して自分らしさを表現するもの。【仕事】がちゃんとできた上で、【遊び】に目を向けられる選手が多いチームは、強いですね。

私たちの【仕事】と【遊び】

 この話を、私たちの生活に置き換えて考えてみましょう。

例1)友人関係
駅で10時に待ち合わせて映画に行くことにしているAさんとBさん
【仕事】
・約束の10時に指定された場所にいること
・映画館に向かうまでのルートや上映時間、料金等を調べておくこと
・万が一、時間に間に合わなくなりそうなトラブルがあったら、分かったその時点で早めに連絡を入れること
【遊び】
・この間行った旅行のお土産を準備してくること
・誕生日を控えたAさんにサプライズでプレゼントを準備してくること
・より楽しい一日になるように、オススメのカフェに案内すること

 一つひとつを考えてみると、「コレをやらなかったら怒られる」とか「コレをしていなかったら困る」のが、【仕事】に入っています。一方で、【遊び】に入っていることは、別にそれがなくても怒られるようなことではありません。どちらかと言えば、「コレがあったら喜ばれる」とか「コレでより良い関係になれる」というものです。

例2)学校生活
オリエンテーションで様々な内容を聞き、学校生活がスタートしたCさん
【仕事】
・校則や生徒心得を読み、身だしなみや言動のルールを逸脱しない
・時間割通りに準備し、時間を守って行動する
・指示された内容を聞き、締め切り内に必要な提出物を出す
【遊び】
・授業内で積極的に発言して、授業を盛り上げる
・クラスの雰囲気を見て、みんなの居心地がよくなるように働きかける
・授業以外にも、自主的に問題集を準備して学習を進める
・部活動

 適切かどうかは分かりませんが、やはり最低限度やるべきこと=【仕事】と、更にそれ以上に良くしていくことを目指すこと=【遊び】となっているはずです。まずは【仕事】、出来ていますか?

生徒としての【仕事】と【遊び】

 冒頭の言葉に戻ると、集団生活を送る一人の生徒として、校則を守ることも時間通りに生活することも、つまりは【仕事】です。【仕事】をしっかりやり遂げることで、私たちは周囲から信頼を得ることができます。【仕事】をちゃんとやることによって、周りの環境がフツウに回っていきます。もしも、【仕事】を怠ったり手を抜いたりしてしまったら、その時は周りに迷惑をかけることにも余計な手間をかけることにもなります。だから私たちは、【仕事】をサボったら怒られます。

 もちろん、皆さんは【仕事】だけをしに入学してくれたわけではないと思います。『自分を高めたい!』『充実した3年間を送りたい!』『夢を探して叶えたい!』などなど。語弊はありますが、その最低限の【仕事】よりも上に成り立っているものは、【遊び】に当てはまります。言葉通りの【遊び】ではなく、皆さんの魅力を高めるために自らの気持ちで動いて成し遂げるもの。サボっても怒られないし、そもそも『怒られるからやらなきゃ』というわけじゃなくて、好きなことだから自然にやろうと思うもの。それこそが【遊び】です。皆さんが真剣に打ち込む部活動も、ここで言う【遊び】の一つだと言えます。

 まず、今日からはいよいよ通常の学校生活がスタートします。1年生は、ペースに慣れることが第一。その先に、理想的な環境として、みんなが【仕事】にせっせと励んで、みんながそれぞれの【遊び】にも真剣に打ち込んで輝ける学年にしていけたら、素敵ですね。

Thank you!!