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自己重要感 〜人を動かす唯一の方法〜

 カーネギーは、「人を動かす唯一の方法は、相手の自己重要感を満たすこと」と言いました。「自己重要感」とは、自分自身を重要な存在として認める自己認識のことです。どうすれば、相手の自己重要感を満たすことができるのでしょう?



自己重要感を満たす方法

 1つめは、ポジティブフィードバックです。相手が重要な存在であることを認める言動を行います。人は他者に認められたいと思っており、認められることで自信を持ち、相手に対して好意的になる生き物です。まずは相手を認めることで、こちらも認めてもらうことから話は始まります。

 2つめは、相手の立場に立つということです。相手がどんな価値観で、何をしたくて言動しているのか?自分がどういうコミュニケーションを取るとポジティブに感じるのか?相手の立場に立って考えることで、自己重要感を高めるために必要なアクションが見えてきます。

 3つめは、「YES BUT」のスタンスです。まずは、相手の言い分を受け入れましょう。人にはそれぞれの立場があり、正論があります。議論が対立していたとしても、双方が正論を主張しており、捉え方の違いである場合は多々あるものです。仮に間違いがあったとしても、少なくとも当人は正しいと思って主張しているわけなので、批判的な態度を取ってしまっては泥沼化してしまいます。まずは相手の言い分を受け入れた上で、議論を広げていくことが重要です。

 人と向き合うとき、私たちは思っていることを言語化したり、正しいロジックで相手を説得することに躍起になりがちですが、そうした思考による対話を始める前に必要なことがたくさんあるように感じます。相手の気持ちを尊重し、いきもの脳を平和に地ならしすることが重要です。


自己重要感と自己肯定感

 自己重要感と似た言葉に自己肯定感があります。自己重要感は、自己肯定感+他者承認と言われます。そして自己肯定感は、自己受容+自己価値と言われます。簡単に言うと、自己肯定感は自身による肯定的な捉え方である一方で、自己重要感には他人の承認が追加で必要になるということです。

 例えば、自己肯定感の中にはナルシスト的なものも含まれますが、それは他人の評価はさておき、自分で自分を高く評価している、勘違いに似た状態です。それに対して自己重要感は、他人も同様に評価している必要があります。更には、本人が自己肯定感が高まっていない状況でも周囲がポジティブフィードバックを行うことで自己重要感は高まります。他人の評価を受けて、自分で自分を認められるようになるというのは、よくある状況のように思います。マネジメントにおいては、この点に有効に働きかけていくことが重要です。


自己重要感を阻む呪縛

 マネージャーとしてメンバーに対してポジティブフィードバックを行うことで、自己重要感を高め、組織の中で主体性を持って活躍する働きかけを行うわけですが、中にはなかなかポジティブフィードバックを続けていても自己重要感が高まらない人がいます。自分に対する評価が低過ぎる場合にそのような事態は起こります。

 他者との間に築く情緒的な絆を愛着(アタッチメント)と呼びます。私たちは幼少期に親との間にアタッチメントを形成し、成長すると友人との間に形成するようになります。例えば幼少期に親の愛情を十分に受けることがなかったり、学校でいじめのような扱いを受けたりすると、アタッチメントを形成できず、どうせ自分なんて...といったように自身に対する自己評価が低かったり、他人の評価をまっすぐ受け入れられないことがあるそうです。

 それでも自己重要感を高めていくためには、アタッチメントや他者評価の上書きを行なっていく必要があるので、しっかりと時間をかけて、丁寧に向き合っていくことが重要になります。

 誰もが自分に自信を持ち、組織の一員として主体的に仕事に向き合っていけるよう、マネージャーはメンバーの自己重要感を高めていくことが大切です。そうして能力を高め、自分の仕事に誇りを持ち、世の中のためになる働きができることは、とても素晴らしいことだと思いますし、そこにおけるマネジメントの役割はとても価値があるものだと思います。


後輩 竜野が思うこと

 メンバーの自己重要感を満たすには、マネージャーがメンバーに興味を持つこと、そしてそれに時間とエネルギーをかける覚悟を持つことが大切なんだなと改めて思いました。

 成果はもちろん、メンバーの良いところや良い取り組み、良い振る舞いに気づいて、ポジティブフィードバックをする。メンバーの価値観や考え方を知ろうとし、相手の立場を想像する。ますメンバーの話を聞いて受け止めてから、こちらの話を聞いてもらう。

 これらを面倒くさがったりショートカットしても、急に組織の雰囲気や業務進捗に影響するわけではないというのが、怖いところです。すぐに分かりやすい何かが起きるわけではないからこそ、後々ボディブローのように効いてくると信じて、メンバーの自己重要感を上げるための土壌をサボらず整え続けようと思います。


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