アタリマエじゃなくなるトキ

アメリカの大学は今の時期が学期末のテスト。
それが終わると寮を出て、みんな自分の家に帰る。

そうして色んな友達が去っていく。みんな友達同士でハグをしたりする。みんなは夏が明けたらまた会う。
でも、僕はもう日本に帰るから、その殆どの友達とはもう一生会わないのだろう。

色んな人と、最後の日になる。

何とも思ってなかったと思ってたのに、別れ際に、胸につっかえるなにかを見つける。ああ、あの時助けてもらったなあ、あの時は笑ったなあ。
ふとよみがえるあたりまえの中のその記憶たちは、いまここに当り前じゃなくなろうとしている。

ああもっと、もっと伝えておけばよかったなあ。そんな後悔が頭をよぎる、だから最後の最後だけでも、最高に心を込めて、Thank You、って伝える。

伝えると、それはそれで、本当に終わりの気がして苦しくもあるんだけど。

それでも、僕は、この出会いに感謝して、この出会いが僕の今を作ってくれたことに感謝しながら、また日々を過ごしていく。

過ごしたアタリマエの日々はいつも、アタリマエじゃなくなるときにしか気づけないなあ。

伝えたくても、最後の時には意外と言葉は出てこない。

それがもどかしくて、悔しくて、悲しくて。

だから、もっと日ごろからもっと伝えたいなあと思うんだ。

まだ会える人には、しっかり言っておくんだ。どれだけ救われたか、好きか。

あと、いつもなんだか恥ずかしくて言えないけど、I love you. っていまだから言えるんだよね。

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(そんな学期末は、見慣れたキャンパスの広場から日が行くにつれ、人影が少なくなっていく。この感じは、すこしずつ散っていく秋の葉っぱのような、いわれのない寂しさを思わせる。

また、来学期、そこには若葉のごとく元気な人達であふれるのだろうが、そこに僕はいれない。そういった思いが相まって、切ない思いが埋め尽くす。

ああ、歩くこの時間が止まればいいのに。

そう思って誰もいないキャンパスを歩くと、時が止まっているよう。)


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