社会の厄介者? 覚書き 2018/10


「脆弱性は社会的害か」というお話を聴いてきました。

「長期にわたって社会に労働力を提供できない人(恒常的依存者)は社会にとって害だけを与えているのか。そういう人でも、社会にとって、役に立つこと(社会に与える報酬)があるのではないか」と考えて、先生は、調査研究を行ったとのことでした。

そこで、恒常的依存者の代表的な存在として、特に長期にわたる精神障害と言われる統合失調症の方を対象にし、介護者(ケアする人)とケアされる人の間で、互報酬となっているのか、簡単に言えば、ケアされるばっかりじゃなくて、ケアしてくれる人に何かを与えてくれているのかを調べたそうです。

この調査は、精神障害者へのケアが上手くいっていると言われているフランスで調査をしたとのこと。

その結果、恒常的依存者をケアすることにより、介護者は「人間をよりよく理解できるようになる」、そして介護者は、「「人間らしさ」を獲得する」という報酬を得ている、とのことでした。

この「人間らしさ」を先生は、「ユマニテ(Humanite←フランス語?eの上に’あり)」と呼んでいました。

つまり、恒常的依存者の脆弱性は、ユマニテ(人間らしさ)を産出して、介護者と恒常的依存者との間には互報酬が成り立っていると。

だから、恒常的依存者は単なる厄介者、「害」ではなく、ケアに対するお返しをちゃんとしている、社会に必要な存在であるとのことでした。

ただ、介護者と恒常的依存者との間では、そういったギブアンドテイクが成り立つが、その費用を負担する社会一般の人には、やはり単なるやっかい者とされるのではないか。費用負担者に理解が得られるような、社会に対する報酬(お返し)を恒常的依存者ができていると証明していくことは可能なのかが今後の課題とのことでした。

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