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【神経心理学】百合と学ぶ神経心理学(失語編1)

   誰が見るんだというテーマですがやっていきます。今回は失語症について。1回の記事だけでは終わらないので何回かに分けていきます。百合も無理やりねじ込むぞ!(ガハハ)。

1.失語症とは

   辞書的に定義を掲げるなら「いったん獲得された言語機能の操作能力低下、ないし消失」です。わたしたちって普段何気なく会話をしますけど、それは姉妹百合や主従百合なんかの百合作品を繰り返し摂取することで獲得された言葉の理解力、口頭言語能力があるからこそなんです。それではその膨大な百合作品から得た言語能力は脳のどこに保存してあるのでしょうか?ざっくりとした領域を以下の赤と青の丸印で示しました。

図1.言語領域の分布

赤丸=ブローカ野(Broca)
青丸=ウェルニッケ野(Wernicke)

   赤丸と青丸で示したところがいわゆる言語野と呼ばれるところです。小人的に言えば赤丸のブローカ野が口、青丸のウェルニッケ野が耳です。正確には赤丸と青丸の間に弓状束と言われる経路がありそれを含めて言語野と呼びますが、また後々。ではこの言語野が脳卒中や外傷により損傷を受けると何が起こるか書いていきます。

2.ブローカ失語の病態

◇ブローカ野
   順番に説明するとまず赤丸がついたブローカ野は言葉の表出、つまり喋る時に必要な領域です。ここが損傷するとブローカ失語という、主に喋ることに障害が残る症状が出る場合があります。この喋ることの障害は口部の運動機能になんら問題がなくても起こる、あくまでも内的に言葉を紡ぐことの障害ですから、食事をしたり口笛を吹くなどは基本的に問題は無いです。ではこのブローカ失語の喋りについて、ブローカ失語のRocaさん(女さんに思いを寄せる女子大生)を例に説明していきましょう。

【例.1】
女さん「こんにちは、いい天気ね」
Rocaさん「......えーと...、お、こぉんぎ?こんい?ちは」
女さん「ねえ、今日はどこに行くかちゃんと覚えてる?」
Rocaさん「...う、うい、かえ、ゆりカ↓フえ↓いく」
女さん「覚えててくれてうれしい!今日うち泊まるでしょ?」
Rocaさん「...」コクコク

   こんな感じで言われたことは理解出来ていますが言葉の表出はかなり特徴的ですよね。自分の声を模索しながら発声し、試行錯誤的に喋ります。Rocaさんの喋りに見られる症状を1つずつ紹介します。

①構音障害
   言葉を音として口から表出することの障害。表記できないような音の歪み、音から音への渡りの悪さが基本的な症状で、喋る時に通常以上の努力を要します。口を動かす能力の障害(口部の麻痺)ではないため運動障害性構音障害(口部の麻痺による)とは機序が異なり、同じ音でも作れる時と作れない時があるのが特徴です。

②非流暢性発話
   発話量の減少、句の長さの短縮、プロソディ(抑揚、イントネーション)の障害からなります。Rocaさんは頑張って喋っているんですが、基本的に女さんより無口で、文節が短い会話しか出来ていませんね。また単語や文章のプロソディに異常があるため聞き手からは本来の意図が分かりにくかったりします。本当は構音障害も非流暢性発話に入るのですがここでは区別するようにしてます。

【例.2】
女さん「カフェのオムレツ美味しかったね〜」
Rocaさん「2人、また行く。次、行く決める」
女さん「もうつぎの予定?どこか行きたいところある?」
Rocaさん「...えっと、あの.....あ〜...あれいく」
女さん「...?」
Rocaさん「病院、じゃない。あ〜、えんそうじ?」
女さん「せ?」
Roca「浅草寺!!」
女さん「三社祭、他の友達も呼んで行こうか〜」
Rocaさん「......😭」

   今度のRocaさんは構音障害は目立ちませんが何だかカタコトだったり、変な名詞の言い間違えをしてますね。これはどういう症状でしょうか。

③失文法
   助詞や助動詞などの機能語が欠落する(動詞も欠落することがある)。これがカタコトっぽく聞こえる時があるんですね。

④喚語困難
   言いたい名詞が出てきません。話し始めが特に難しく、基本的には「あ〜」とか「えっと」のような停滞や、「あれ」のような代名詞が多くなり表現が迂遠になります。また言い間違えであるところの錯語も出ます。Rocaさんが言いたかったのは「浅草寺」なんですが、最初「病院」と言っていますね。このように単語そのものを取り違えてしまうのを語性錯語といいます。次に「えんそうじ」と言いますが、単語の中の一部の音韻を間違えてしまうのを音韻性錯語といいます。

3.ブローカ失語まとめ

   以上がブローカ野を損傷したケースの病態です。ただこの領域のみを綺麗に損傷することは稀でほかの領域にも病巣が広がっていたり、また脳は当然1つの実質であるので例えブローカ野の病巣でも上記に記したこと以外様々な症状がでることもあります。今回お伝えしたのはいわゆるブローカ失語とは、というところに限定しているということです。

4.つづく

   思ったより文が長くなったのでウェルニッケ野の失語については次回以降に書いていきます。たくさん書いて疲れたのでアサルトリリィ見てうひょひょってなろうと思います。(・ω・)ノシ

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