今日のヒント20:発達障害のグレーゾーンという考え方
日本精神神経学会総会でのセッションー発達障害のグレーゾーンについて
前回に、引き続き、北海道で行われた日本精神神経学会総会での
セッションを聞いて、私なりにまとめてみました。
大人の発達障害については、ここ数年かなり世間でも理解がされるようになってきました。
しかし、実はその診断は、なかなか難しいのが現実です。
「過剰に、診断されすぎている」と、問題視されていることもあります。
診断基準があったり、スクリーニングするための心理テスト(質問に対して〇をつけて、合計点数で判断の材料にする)はありますが、なかなかそれだけでは、難しいことがあるのです。
もともと発達障害は、生まれ持った特性なので、大人になった出てくるものではないのです。
発達障害の特性が、強い人は、子供時代に診断されることが多いです。
➡一方で子供時代は、そこまで目立たない人が
大人になって、社会での要求レベルが高くなることで
問題が表に出てきて、病院を受診されることがあり
そこで診断が出るのです。
例えば、実はADHDで多動傾向が強い男の子でも、
やんちゃな男の子とみられて
そこまで問題視されないできた。
大人になって、職場での不適応やうつ状態などを、
きかっけで病院受診したことから、実は発達障害がありそうだということになることも多いのです。
最近では、大人の発達障害が、認知度が上がったり、ネットで自己診断できることもあるので、そこから病院を受診される方も増えています。
発達障害を専門にみてくれる病院も、なかなか予約がいっぱいで
受診するのも苦労されることあります。
できれば、専門の心理テストや情報収集のために時間をかける必要があるので、専門の病院の初診枠が少ないのです。
発達障害のグレーゾーンとは
私も外来診療をしていて、症状が長引いたり、生きづらさを感じる患者さんたちがいらっしゃいました。発達障害の観点からみると、患者さんの困っている点の説明が、しっくりいく方がいることを経験しました。
数年前まで、発達障害は、子どものもので大人の発達障害があるという
理解は、医学界でも一般的ではありませんでした。
大人にも使える、発達障害のお薬が出て、大人の発達障害という理解が広まっていきました。
診断基準をばっちり満たすようなバリバリの発達障害の患者さんではない方が、意外に多いのです。
診断には、診断基準をとても重視します。
診断基準を満たさないと、診断を付けることは基本的にはNGです。
しかし、診断基準を満たさないけど、
発達障害の部分的症状を持っているために、
日常生活に支障をきたしている方がいるのです。
➡そのような人たちを、ーーと言ってもよいのではないかという、提言でした。
発達障害傾向と言ってもよいと思われます。
発達障害グレーゾーンと思われる人たちには、下記の人たちがいると思われるとのことです
・診断基準の満たさない
・単なる未診断
・診断すべきか迷うケース
A病院では発達障害(-) B病院では発達障害(+) といわれる
本人は、診断基準は満たさなくても、日常生活に苦労を感じている
・自称発達障害という人ー実は、しっかり発達障害である事も。
別の診断名の付く可能性もあり
グレーゾーンの背景には
A環境依存的
環境が、本人にあっていなければ、問題とならない
環境が、本人にあわないと、ストレスとなり問題が表面化
B個体要因
特に日本人は周りに合わせよようと努力をしたり、
自分をころしてカモフラージュしてあわせるので分かりにくい
―特に女性に多い
(女性はカモフラージュ能力が高い分、本来の自分を抑制してしまう)
無理して、周りに合わせているので、問題はみえにくい
本当の自分を生きていない感じで苦しいと感じている
-過剰適応型
-自動操縦型 周りを真似して取り入れる、パターンでおぼえたりしている
しっかり診断基準を満たす発達障害の人と
発達障害としては軽症と思われる発達障害グレーゾーンの人
どちらが、日常生活に苦痛を感じているでしょうか?
実は、グレーゾーンと言われている人の多くは
周りに合わせ、目立たないようにカモフラージュしている。
周りの人を見て、多くの人は「こうするものだ」と、パターンで覚えたり
真似をしていることもあります。
変に思われないように、ミスしないようにと、陰で努力をしている人が
多くいます。
他の人には、わからないような苦労も多くあります。
頭の良い人や、医師にも、発達障害の人やグレーゾーンと思われる人が多くいます。知的なもので、カバーしている人もいます。
中には、「本当の自分を生きている気がしない。」
「本当の自分がわからなくなってしまった。」
と苦しさを語る人もいます。
自分なりの努力が、通じないときに、心がへこんでしまうこともあります。
特に、新しい環境は、苦手なこともあります。
能力がある人と思われているけど、新しい環境では、自分なりのシステムを作る必要もあるので、大変なんです。
同時に、いくつもの役割をこなすのも大変です。
家事に加え、子どもが生まれ初めての子育ては、うまくこなすのは
大変です。
期待されたとおりにできない自分にも、落ち込むかもしれません。
とかく日本は、個性があってよいと言っていても、
まだまだなんでもみんなと同じようにできるオールマイティーを
求めらることが多くあります。
能力の凸凹のある発達障害のある人には厳しいときがあります。
発達障害の人でも、特別な才能がある人も、多くいます。
得意、不得意を理解して、得意を伸ばせる世界が大切ですね。
ニューロダイバシティー(神経の多様性)と呼ぶようです。
多様性が受け入れられる社会ー誰にとっても行きやすい社会ということですね!
これからも、NOTEで発達障害について書いていきたいと思います。
理解することで、生きやすくなることが、沢山ありますから。
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