七海礼奈と黄昏のワルツ【前編】
あらすじ 四年前に事故で両親を亡くした少女・礼奈。二十二歳の「僕」は、おじさんに頼まれ、彼女とともに、命日の墓参りをすることになる。彼女が幼い時を過ごした大切な場所。失われた人々、時間、記憶。それは彼女のための旅でありながら、しだいに「僕」の心をも揺さぶりはじめる。
※この小説はゲーム『雀魂』の二次創作作品です。ゲームをプレイしていなくてもお読みいただけます。
1 三月の風が僕たちの頬を撫でた。生き物のような湿り気とあたたかさを帯びた風だった。風は無言のまま僕の指や彼女