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優しさとは異常である

優しさは誰もが求める。
優しさは誰もが欲しがる。

優しさを求めない人はいない。
結婚したい人の条件に優しさが無いひとはいない。

どうしてそんなにも人は優しさを求めるのか?
単純なこと。
優しさが普通じゃないから。
優しさは常にないから。

優しい世界とは言うけれど。
優しさが当たり前なら、だれも優しさは求めない。
当たり前にあるものに、感謝など誰もしない。

空気があることを求める人はいない。
空気はいつもそこにあるから。
常に、当たり前にあるから。
だから、「空気が欲しい」という人はいない。
欲しがるのは酸素ボンベなしに海に飛び込んだ人くらい。
当たり前にあるものを、人は求めない。

優しさはどこにでもあるわけではない。
常にそこにはない。
だから求める。
優しさが欲しいと、人は欲する。

優しさとは異常である。
通常ではない。
普通でもない。
優しさは異常。
優しいことは異常。
優しさとは、有難いこと。

だから、優しさは貴重。
人のやさしさに触れることができたのなら、それはきっととても貴重な瞬間。
次また、その優しさに触れるのはいつになるのか、誰にも分からない。
優しさを感じることができるのか、ごくまれ。

世界は優しくない。
優しくない世界だから、優しさを感じることができる。
空気にふれている今、空気を感じることができないように。
水に常に触れていないから、水に触れているのがわかるように。
優しさが無い世界だからこそ、優しさがわかる。

この世界は優しさに満ちているという人もいる。
本当にそうか?
ぼくは、世界に優しさは無いと感じる。
常に優しさがそこにあるなら、ぼくは優しさなど感じることはできない。
空気がそこにあるように優しさがそこにあるなら、ぼくに優しさは分からない。
優しさがわかるということが、優しさが常にそこに無いという証明。
優しさは、世界に無い。あふれてなどいない。

優しさは異常。
だから、優しさは貴重。
常にあるものではない。
そこにいつも、ない。

優しいと感じることも、優しいひとも、貴重。大切。
優しいにありがとう、を。
優しいに感謝を。


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