癒しとリラックスの場を作りたくて12
Nさんの場合:好きでたまらなくなる催眠
(前回から続く)
この日、催眠を掛けたお相手はもう一人いました。
大人の魅力が素敵なNさんです。しっとりとした雰囲気でとてもいろっぽいのに、いつもにこにこしている明るい方でした。
やはり催眠に興味があるということで同じように掛けようとしたのですが、特に頭に残っている嫌な記憶はないとのこと。それではと、別の方法を試してみることにしました。
目の前の対象が好きで好きで仕方なくなってしまう催眠です。先程はRさんを相手に失敗しましたが、再チャレンジです。
といっても、さっきは例の小さな木製の壺で失敗したばかりです。他になにか、良さそうな対象物はないか……。
ありました。
Nさんの前にかざした、僕の手です。
さっきと同じように人差し指をくっつける被暗示性テストを行ったあと、彼女の顔の前に僕の手をかざします。
「では、嫌なものではなく好きなもので催眠を掛けましょう。いま目の前にある僕の手を、じっと見てください。見ているうちに、あなたはこれが大好きになってきます……」
じーっ。
真剣に僕の手を見つめるNさん。はたして掛かってくれるのか?
これもさっきと同じように、深い呼吸で誘導していく催眠導入を続けます。暗示に掛かりやすいNさんは、順調に全身が脱力していきました。
今度は椅子ではなく後ろがフラットなマットになっている座席だったので、そのまま後ろに倒れてもらいました。首の後ろを支えてゆっくりと倒すと、Nさんはぐったりとマットに横たわります。
もうだいぶ催眠に掛かっているので、仰向けになって目を閉じている彼女に、僕の手をとらせました。
「さぁ、覚えていますか? これがあなたが大好きになったものですよ」
仰向けで目を閉じたまま、どこかうっとりと僕の手を撫で回すNさん。
すごい。ここまで暗示に掛かりやすいとは。
実は大好き催眠が成功したのはこれが初めてだったんですが、目の前の女性が僕の手を愛しそうに両手で包み込んで、さも愛しそうにしている姿には、ちょっと感激してしまいました。これは間違いなく現実です。
ちょっと意地悪をしてみました。
「これ、もう要らないんじゃないですか? どこかへ持っていっちゃいまししょうかね」
そう言って手を引こうとすると、Nさんは「んー」と顔をしかめて、僕の手を離すまいと、ぐっと引き寄せます。
「やだ。持ってかないで」
これは完全に掛かってるなぁ……。
今日のところはこれで十分でした。
自分がちゃんとこの催眠を掛けられることがわかったし、悪用するとヤバイなということも理解できました。
その後はいつものように、ぐったりとした体を元に戻してあげて、目を覚まさせてあげます。やはりすっきりした様子で起きてくれました。
実はこの催眠の後に、ちょっと言葉で性感をくすぐってみたんですけど、それはいまここでは書けません。言葉責めについても同じように実践していることは、いずれどこかで書くかもしれません。