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癒しとリラックスの場を作りたくて21

Tさんの場合(カウンセリングから泣く癒しまで)

note21 4コマ

■カウンセリング

癒しの催眠を標榜して活動している以上、体験者さんを癒せないと話になりません。
今回はそれを本格的に行いました。まずいま抱えている問題を把握した後、それに対するTさんの対応、改善するために今後どうしたら良いかを一緒になって考え、そのうえで、いまのストレスやモヤモヤを催眠によって頭から追い払う、というカウンセリング重視の方法をとりました。

まずはストレスの原因となっている、いま抱えている問題を訊くことから始めます。
守秘義務があるので詳しいことは書けませんが、職場での人間関係がストレスの原因のよう。訊いている僕にも覚えがあるようなことばかりでした。まったく、嫌な奴というのはどこにでもいるものです。

職場でストレスを感じたときの対応や、それを誰かに相談しているかといったことを徐々に訊き出していきます。カウンセリングというものは短時間でさっと問題把握ができるものではなく、何回か面談を重ねて話し手と聞き手が信頼関係を深めていくものですが、僕とTさんの間には既にそれが築かれているので、最初から打ち解けて話をすることができました。

職場で嫌なことがあったときにTさんがとる反応は決して間違ったものではなく、ご自分なりに懸命に対応している姿勢も伝わってきましたが、それでもストレス回避が難しいのは、どこの職場でも同じなのでしょう。

「そういった職場環境はよくわかります。それは本当に辛いですよね……でもその状況の中で、よく耐えてらっしゃると思いますよ。現場での味方が少ないのに」

話を進めていくうちに、Tさんはうつむいてしまいました。思い出して辛くなり過ぎるといけないのであまり細かいことは聞かなかったのですが、問題の全体像は見えました。

「大丈夫です。その辛さはちゃんとわかったので、僕が半分持って軽くしますから。これからもう少し心を楽にしていきましょう」

ハグすると啜り泣き。やっぱり辛かったんですね。ティッシュをいっぱい使ってしまいました。

■泣く癒し

「とりあえずいま話した辛さとか嫌な思いとかを、頭から追い出しましょう。催眠状態でいっぱい泣いて、涙と一緒に出してしまいましょうね。終わったらすっきりできるように」

ハグしたまま額に手々を当て、くいっと押すと、Tさんはそのままスッと眠りに入りました。普通の催眠導入に必要な振り子も、一点をじっと見つめることもなし。もう何度も僕を信頼してくれている故の催眠状態です。

横たわってすやすやと寝ているTさんの額に再び手を当てて、潜在意識に直接語りかけます。
「いまからあなたの頭の中にある嫌なものを、この手が全部吸い取って外に出します。この手が離れた後はすっきりと爽快な気持ちで目覚めますよ。そのときあなたの世界から嫌なものは消え去っています。いきますよ。ひとーつ、ふたーつ……」

三つ目で手を離し、起きてもらいました。ぼんやりしているTさんに僕の手のひらを見せ、「ここにある嫌なものを拭って捨てちゃいますね」と、ウエットティッシュでこすって、ぽいっとゴミ箱に捨てました。

「どうですか。さっきまで話してた嫌なこと、いまはもう思い出せないでしょ?」
「ほんとだ、思い出せません……」

ただし、と大事なことを付け加えます。これは一時的なもので、時間が経てば残念ながらまた甦ってきます、と。
しかしながら、一時期でも辛さを忘れることができたこと、嫌なものが消えた世界があるのだということは、やはり本人にとって救いになると思うのです。ずっと苦しみ続けるのは辛すぎますから。

「これから先、また嫌な思いをしたときのために、できるだけ心が傷つかないよう、その場でできる対処法を伝えておきますね」

自分の体にちょっとした刺激を与える、とっさに考え方を変える、といった対処療法はいくつかあります。その中から簡単で役に立ちそうなものを伝えました。僕自身も試しているものです。
カウンセラーはアドバイスをするのではなく本人の問題解決に寄り添う存在なのですが、これくらいはいいでしょう。

涙と一緒に、嫌な思いを頭から出す癒しの体験。
僕はこんなふうに行っています。

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