OPERATION: NO PLAN - OXYMORPHON

 ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!と言う深夜番組の企画に「どうせお前こんなん好きなんやろ?選手権」というものがありました。
メンバーやゲストに出演者がそれぞれプレゼントを持ち寄り、1番好みを理解している者を競う企画でしたが、OXYMORPHONのデビューアルバム、OPERATION: NO PLANは僕にとってはまさしく「こんなん好きなんやろ?」のど真ん中、どストライクな作品です。

 OXYMORPHON(OXY)は結成して間もないバンドではありますが、メンバーは歴戦の猛者とも言える経歴の持ち主。そのため、新人バンドと呼ぶのは語弊があります。メンバー全てのexを聴き込んでいるわけではないため詳細な紹介は控えますが、ロックミュージックリスナーであればバンド名は一度くらいは聞いたことがあるかと思います。

まずはフィジカル開封の儀。表ジャケット。


裏ジャケットはめちゃシンプル。

歌詞カード背面もシンプル。

ディスクレーベル面もとにかくシンプル。

このトレイは久しぶりに見た。最近は大体クリアが多いイメージ。

トレイを外すとこんなサプライズが。こういうの大好き。

 今作は懐かしくも新しいという言葉がドンピシャなアルバムです。ゼロ年代前後のニューメタル、パンク、ラウドロックを踏襲しつつも、最近の流行もちゃんとおさえているため古臭さが微塵もありません。

 M1.KILL THE MAGICから、アクセル全開で超絶に振り切る爽快感たるや。炸裂するドラミング、ヘヴィにウネるベースとザキザキとしたギターに、キャッチーでシンガロング必至なコーラス。狂奔するガチャガチャなラウドとしての完成度がズバ抜けて高く、名刺代わりの一曲目として、これ以上のものはないと思います。
 M2.PAINT IT BADは少しテンションを抑え、ゴシックホラーな打ち込みのイントロからザクザク刻んでいくパンキッシュなブリッジに。コーラスはラップメタルよろしくフックが効いたメロディ。ミクスチャー感溢れていて大好きな一曲です。
 続くM3.WARNINGあたりから、今作に込められたテーマの一つにホラーがある気がしてきます。アルバムジャケットからも「もろに」という印象はありますが、バンドメンバーに怪談・ホラー好きがいらっしゃるので、自然と含まれた要素だったのかもしれません。M2と比べて更にゴシックホラー色が強い楽曲で、コーラスは一転してとてもキャッチー。このギャップがなんとも心地良いです。
 M4、M5、M6は今作以前にデモとしてリリースされていた作品からの楽曲。各曲、何かしらの手が加えられているのが嬉しいような、悲しいような。
 M4.MOLLYはハードコアパンクな楽曲で、非常に攻撃的。2番目のヴァースでのキレ散らかしたスクリームがめちゃくちゃかっこよく、ソロ部もギターがザックザクに刻み込んでいてソリッドに仕上がっています。
 M5.MAKE YOUSELFは聞き取り不能なイントロから始まり、初めて聴くとかなり不気味に感じます。真相が知りたければ、デモ集を買うといいと思います。ブリッジからコーラスの流れとそのメロは今作で1.2を争うほどエモーショナルで、ラウドロック好きには堪らないのではないでしょうか。
 アルバム後半戦のトップバッターM6.XANNYは、バンドとして一曲目にリリースされた楽曲です。デモ音源は荒削りでアンダーグラウンド感満載なミクスチャーロックで、僕はそれを聴いてOXYに興味を持ちました。今作ではゲストヴォーカリストが入り、曲の雰囲気がガラッと変わっています。音の分離が良くなり、コーラスのハモもはっきりと聞こえてカッコいいですし、最後の一言の力強さが今のバンドの状態を表しているようにも聴こえました。ただ、欲を言えば現在の環境でレコーディングした形も聴きたかったなという思いもあります。
 M7.ALIVEはトライバル感のあるパンクナンバー。イントロはノイジーなギターとポコポコ鳴っている太鼓からミクスチャー味が感じられますが、続くヴァースは高速ハーコーパートでその高揚感は抜群です。
 M8.WAKE UPはまたも不気味なイントロからスタートします。朗々としたキャッチーなメインコーラスの直後に激重なギターリフが炸裂し、ガチャガチャとしたとしたラウドパートに雪崩れ込みます。メロの良さが今作のウリの一つだと思いますが、スクリーモなどにも通ずる開放感のあるコーラスです。
 アルバムも終盤に差し掛かったM9.FIREは最初にMVカットされた楽曲。メロウなロックバラードかと思いきや、ブリッジのやけくそ気味なバックコーラスが中毒性高過ぎ。ナーナナナナナナ!!このコントラストが絶妙で、一辺倒じゃないサウンドで振り幅の広さを見せつけます。ナーナナナナナナ!!!
 M10.FEARも、イントロだけ聴くとまたゴシックサウンドかなと思いますが、直後にドヘヴィなギターリフが放り込まれ、最後の最後までテンションそのままに突っ走ります。胸糞エンドな映画のエンドロールの如く、終末感あふれる楽曲で完全に救いがない楽曲です。

 ○○に似てる!とか、××っぽい曲、みたいな感覚が無いと言えば嘘になります。でもそれはOXYのもつ独特で強烈な世界観の前には刹那的なものでしかありません。この手の音楽を聴いて育ってきた人間としては、久しぶりにパンチのあるのが来たなという感覚ですし、初めての方もとっつきやすく纏まってるなと思います。自分の中でのミクスチャーラウド・ランキングが更新される日が来るとは正直思っていませんでしたし、今後の活躍もめちゃくちゃ期待しています。もっと広告を打っていいと思います。このサウンドを気に入る人は多いはず。
 OXYのライヴはまだ未体験。初めてのバンドのライヴほど興奮するものはありませんが、殆どの曲がライヴを意識しているでしょうし、実際の演奏を見るのも非常に楽しみです。

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