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ギア京都10周年記念限定公演

去年のクリスマス公演、私は初めてギアを見に行った。
3年前から存在は知っていたし、絶対に行きたいとも思っていたがなんとなくタイミングが合わずずるずると去年まで延びてしまっていた。

3年前、私が現在に至るまで7年推し続けている女の子がギアの舞台に立った。
私は当時遠く離れた地で暮らしており、彼女の公演を見に行くことは叶わなかった。
その時はそれでもよかったのだ。
こんな衣装を着たのね、こんな感じのステージなのね、すごいね。と、そう心穏やかに見守っていられた。

初めてギアを見た時、それは一変した。
多彩な動きで観客を魅了するおもちゃ工場のロボットたち、そしてストーリーの鍵を握るドール。

初めてエンディングを見届けた時、感動と同時に襲ってきたのは激しい後悔だった。
素晴らしい舞台だった。大好きな終わり方だった。ドールちゃんがめちゃくちゃ可愛かった。あんなにキラキラしたメリーバッドエンドは初めて見た。
夢のような時間だった!
・・・・・・

あの子はどう演じたんだろう。
あの子はどう解釈して、どんな終わりを演じたんだろう。
どんな表情をしたんだろう、どんな動きで、どんな風に踊ったんだろう。

考え出すと止まらなくなった。
彼女の公演は3年前の一度きり、東京での限定公演だった。
もう、見られない。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、私はその時絶望した。
彼女は正キャストじゃない。DVDにもなっていない。もう二度と、彼女の演じたギアは見られない。

それからも何度か劇場に通った。
ギアという演劇は本当に素晴らしかったから。
私の周りの人にも知って欲しくて、友達を誘って見に行ったり、京都のおすすめを聞かれたら迷わずギアだと答えた。

いろんなロボットたちを見て笑顔になって、いろんなドールを見て感動した。
でもそこにピンキーはいなかった。

見る度に思いが募っていった。
そんな矢先、10周年記念公演の告知が出た。
彼女のツイートだった。

彼女の演じるドールが見られる。
本当に嬉しかった。何回も感謝を口にした。
やっとの思いでチケットを取って、目一杯のお洒落をして、7年応援した女の子に初めて会いに行った。

ピンキーはそこにいた。
何度も焦がれたドールの姿をして立っていた。
めちゃくちゃ可愛かった。語彙が弾け飛んだ。

物語は進む。時折私がこれまでずっと見てきたピンキーの表情が覗く。
ドールを全うする彼女は綺麗で可愛くて、本当に凄かった。
軸が全くブレない。静止した瞬間に周りの空気まで巻き込んでしまいそうなほどの緊張感を持っていた。
ドールとしてそこに立つプライドと責任感を感じた。
そんな中でも本当に心から楽しそうに笑い、踊り、ステージを楽しんでいた。
ピンキーは一人の役者だった。

ラスト、私はピンキーがどんな解釈をしたのか瞬きもせずに見ていた。
私が見たドール全ては解釈が全く異なっていたからだ。
ドールの演じ方でこの演劇は意味が変わるとすら思っている。
ピンキーの解釈はどこまでも優しかった。
そうか、こうやって演じたのか、とようやく納得して、初めてギアを見てからの身を焦がすような熱がゆっくりと落ち着いていくのを感じた。

ピンキーはアイドルだ。
私にとって、生まれて初めて心から応援しているアイドルだ。
もしもこの先、ピンキーがアイドルとは違う道を選ぶことがあったとしても私は彼女を応援し続けようと思った。

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