吸入麻酔

吸入麻酔薬の作用メカニズムを解明 2020-04-24

シナプス前末端における伝達物質放出量の減少が、個体の意識レベルの低下をもたらす。
麻酔薬は生命の維持に必要な低周波信号を温存しながら、高周波信号を遮断することによって麻酔作用を引き起こす。
シナプス前末端に活動電位が到達すると、カルシウムチャネルが開き、カルシウムが細胞外から流入して小胞タンパク質のカルシウムセンサーと結合し、小胞タンパク質と末端タンパク質の共同作業によって小胞膜と前末端膜が融合して開口放出が生じる。
イソフルランにはカルシウムチャネルをブロックする作用と、開口放出を直接ブロックする作用があるものの、小胞再利用には影響を与えないことが分かった。
シナプス前末端活動電位の発火頻度が低い時には、麻酔薬は専らカルシウムチャネルをブロックして伝達物質の放出量を減少させるが、高頻度発火によってカルシウムが大量に細胞外から流入すると、麻酔薬は開口放出機構にも作用して、伝達物質の放出を更に減少させる。

全身麻酔の目的には、意識の消失、無痛、筋弛緩、有害反射の抑制の4つ
麻酔薬(意識を失わせる)、鎮痛薬(痛みを取り除く)、筋弛緩薬(骨格筋を弛緩させる)の3つを組み合わせて実現

近年のバランス麻酔では良好な鎮痛と覚醒を得るために、吸入麻酔薬(鎮静目的でのみ用いる)や
プロポフォールなどの鎮静薬を少なめにしてオピオイドを主体とした全身麻酔を行うことが好まれる
レミフェンタニル(アルチバ)は短時間で作用し、長時間多量に使ってもただちに効果が消失する、理想的なオピオイド
しかし術後鎮痛が新たな問題

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