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『いつの間』
私はブーツの埃をブラシではらう
いい匂いがした
いつの間にか
つぼみの蝋梅が玄関にあった
私はブーツにオイルを塗った
いつの間にか
蝋梅のつぼみが膨らんでいた
いつの間にだ
いつの間に
咲くつもりなのだろうと
私はじっと見ていた
蝋梅もじっとしたまま私を見ていた
私はブーツを布きれで磨いた
いつの間にか
ひとつぼみの蝋梅のいのちが「ぶつり」と終わった
膨らみきれないままのつぼみだった
私はそれを拾うと
片方のブーツの中に入れてみた
私と蝋梅との間に
いつの間もない
奇妙な間があった
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