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『フラレ師』

クロサキナオさんの企画に参加してみよう。
癌のことばかり書いているからね。明るい話題がいいだろう。

もう、十年以上も前の話になる。忘れていたけれど、ちょうど、5月1日に私は、『フラレタ』のだった。私は心のなかでたぶん言った「ちょまてよ」、そのものまねギャグが当時すでにあったかどうかは、わからない。でも、それに準ずる「ちょまてよ」が、私の心を動揺させていた。

そして、あろう事か。私は、一瞬、バイクの運転方法を忘れた(本当にだ)。ギアチェンジがギクシャクしていた。「あれ、あれ、あれれれ」、私は、安全のためバイクを側道に寄せた。二つ折りケータイで『バイク 運転 ギア』とか『バイク 運転 クラッチ』と検索したことをいまでも覚えている。こういう非常時に人間の本性はあらわれるものだ。私は冷静に対処して『フラレ事故』を未然に防いで見せた。
そもそも。『フラレタ記念』でバイクの運転方法を忘れてはいけないのだが。それほど、ショックだったという事だ。

「はいはい、わかります、わかりますとも、こうね、こうね」と、ケータイの文字をなぞりながら、過呼吸気味になりながらも、『声に出すフラレタ日本語』で動揺を抑えた。同時に、バイクの運転方法と私を取り戻す事に成功した。「頭が真っ白になることってあるんだね」と、はじめて認識した。というより頭が「パンっ」と弾けたような感じでもあった。私は、こうしてGWに『フラレ師』の能力を上げる事に成功した。

ケータイ一本の連絡で、「サクッと」でフラレるものなんだな。
そうだ、栄養を取ろう。私はコンビニに寄って、思い出したてのバイク運転能力で『キットカット』を購入した。「パリッと」ふたつに割って「サクっと」食べた。これほど、『フラレタ記念』に相応しいチョコ菓子があるだろうか。みなさんにもお勧めしたい。私の頭に糖分がまわり、こうして私は落ち着いた。


それからというもの、毎年、GWには決まって震災後の東北にキャンプツーリングに行くようになった。当時はまだ、キャンプブーム前夜といったかんじで、それほど東北のキャンプ場も混雑していなかった。
最初はGWの東北の気温がわからなくて眠れない夜を過ごした。最低でも、夏の道北、道東の北海道ツーリングくらいの装備は必要だった。それ以上でもいいくらいだ。キャンプギアも、今ほど、安価ではなかった。底冷えで、腹が冷えて、夜中に何度もトイレに通った。
『身体が弱いキャンプ好き』も世の中にはいるのです。それが私です。

毎年恒例の『東北キャンプツーリング』も、天気次第では無理をせず、宿で連泊をして、身軽な装備で東北を縦横無尽に走るようにもなった。歳相応の走り方を覚えたのだ。

なぜ、東北に毎年行くのかを書き忘れていた。震災後の復興の一助にでも
なれば、という気持ちと。東北の道がバイクで走るのに最高だからだ。道も空いている。適度なワインディングもある。北関東からの交通の便もいい。そして、景色がいい。まだ雪を被った鳥海山。磐梯山。岩木山。遠野。あまたあるキャンプ場。ただ、海辺の道は混雑しますので、私は避けます。

そして、東北を南下して北関東の自宅に向かう道すがら、『フラレ記念道』を通り、キットカットを食べて。胸がきゅううううっとなるのを、高見から楽しむのです。もう、バイクの運転方法を忘れる事はない。スマホもある。大丈夫だ。

写真は2023年のGW。東北ツーリング中のカワサキW650です。
この後、よそ見してコケます。もしくは、コケた後の写真です。どっちだったか忘れました。いや、コケたのは2022年だったか。失念した。右のサイドボックスに申しわけ程度に塗った傷隠しのペイント跡があるように見える。

今年は、なかなかロングツーリングに行くチャンスがない。日帰りツーリングで何処かへゆこう。



🍀この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です🍀
#クロサキナオの2024MayMuses
https://note.com/kurosakina0/n/ndf3a3c7b1328


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