カウンセリング理論より

理論とは?に一番しっくりきた回答をみつけたので以下記載。

「カウンセリング理論」、國分康孝氏の書籍からの抜粋。


 わたしたちの世界には、まず「現象」というものがあります。
 現象の背後には「ふだんは隠されている事実」というものがあります。
 研究者は、「分析」という手段を用いて、「現象」の背後に「事実」を発見します。

 たとえば、「離職」というものが「現象」だとします。
 もし、この「離職」という現象が、「年齢別」によって異なる傾向を示しているならば、これが「事実」です。
 離職という「目に見える現象の背後」に、「目に見えない傾向がある」。これが「事実」です。
   
 ところで「事実」のなかには、一定程度、「共通する原理・原則」というものが出てくる場合があります。そこで生まれるのが「概念」です。
  
 たとえば、先ほどの流れを引き継ぐのであれば、昨今、話題になっている「介護離職」というものは「概念」です。親の介護という突発的事態によって、50代の働き盛りの社員を離職に導いてしまう傾向のある「事実」が、一定程度、世間一般に見受けられるので、これを「介護離職」と名付けます。
     
 そして、こうした「概念」が、ある程度、集まって形成される(ゲシュタルト)されるのが「理論」です。
 理論とは、概念があつまって、「世の理(ことわり)を説明するストーリー」のようなものと考えられます。たとえば、先ほどの「介護離職」を含みうる、「現代のビジネスパーソンの離職一般」を説明する理論がもしできたのとしたら、それがたとえば「離職ほにゃらら理論」と呼ばれるようになります。
       
 かくして、わたしたちは「理論」を手にします。
 理論が素晴らしいのは、効用をもつからです。
 理論の効用とは、下記の4点において説明できます。
    
 1.結果を予測することができる
 2.ある「事実」を説明・解釈する手がかりを得ることができる
 3.ある現象を「整理」することができる
 4.仮説を生み出す「母体」になることができる
   
 こうした効用によって、わたしたちは「無駄な体験」や「とてつもない試行錯誤」を避けることができます。
 体験主義、経験主義を標榜し、「這い回る経験主義」や「試行錯誤地獄」に陥ってしまうくらいなら、片手に「理論」をもっていたほうがいい。僕も、そう思います。
   
 これが「理論」についての説明でした。
  
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 予測のつかない現場に戸惑っていたり、目の前に解釈不能な「事実」が横たわっていたり、現象がこんがらかってわけがわからない状況に陥っていたら、ぜひ、片手に「理論」を。もし、あなたが現象や事実を目の前に「整理」することを望んでいるのでしたら、ぜひ、「研究」を。
   
 理論は「とてつもない成功」をあなたに保証しませんが、「整理」することができます。
 そして「経験する必要のない無駄な失敗」を回避することができると思います。

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