揺らぎ

私が惹かれるのは、完成されたものではない。
昔からそうなのだが、いわゆる
『完璧で隙のないもの』に対しては
全く興味が湧かないのだ。

きっと私は日本型某アイドル事務所のように、
まだ完成されていないものが
その人の努力やファンの後押しによって
完成されていくのを見るのが好きなのだ。

一生懸命に、でも楽しそうに努力するのを見て、
一緒に喜べることが嬉しい。

ドラマ体感予報の放送が発表されて、
もう1年になるらしい。

私はもう1年もの間、
このドラマに狂ってきているのか……と
自分でも呆れるが、
まだまだ正気に戻れる気もしないし
戻るつもりもない。

そもそも私が最初、ドラマ体感予報を見たのは
TVerで遅れて見た『美しい彼』が
あまりにも素敵な作品だったので
新しく始まるBL作品なので、
まぁ見てみよっかなぁ。くらいの
軽い気持ちだった。

いざ体感予報が始まってみると
1話目があまりに濃厚で
BLにまだそんなに耐性の無かった私は、
これ最後まで見れるのかなぁ?と
思ったのを覚えている。

きっと演技力だけで言うと、この時点で
もっと上手な人はたくさんいたと思う。
実際、それ以降たくさんのBL作品が
公開されているが演技のテクニックは
どれも素晴らしいと思う。

ただ、ここだけは
この2人じゃなきゃダメだったというものがある。

それは『役と本人の境目の曖昧さ』
(特に幸平くん)

葉を見る目の優しさが
オフショにも滲み出ていて、
きっと収録中は本当に葉を
瑞貴として愛していたんだろうなって言うのが
特典映像からもひしひしと伝わってくる。

増子さんの方が役との境界線は
ハッキリしているように見えるけど、
(カットがかかった時の表情の変化が
増子さんの方が分かりやすい)
天性の『人との距離感の近さ』が
幸平くんを瑞貴へより近づけていたのではないか?

そしてその幸平くんの距離感に
増子さんの演技も押し上げられたのではないか?

要するに演技に『生っぽさ』や
『瑞々しさ』を感じる作品がわたしは好きなのだ。
(美しい彼も利久くんに勇征くんが引っ張っられてるのと同時に、勇征くんの瑞々しい演技によって、利久くんの演技がより押し上げられてる気がする。)

逆に言うとそれはまだ
演技と自分を切り離せていない、
演技においてまだ未熟な部分があるからできること。
(中には憑依型のベテラン俳優さんもいらっしゃるとは思うが)

役者として完璧に完成されていないからこそ
その時しか見る事のできない
『揺らぎ』のある演技。
その時期ならではの空気感のある作品だったから
あんなに熱狂し没頭できた。

あの後2人とも色んなお仕事をして
たくさんの経験をしているから
きっと体感予報の時期があの時ではなく
今だったとしたら
あの生っぽさや瑞々しさは
もしかすると薄くなっていたかもしれない。

私は体感予報以降、そんな没頭してしまう
作品に巡り会えていない。
と言うか、体感予報から目が離せないから
他の作品が目に入らないと言うのが
正しいのかもしれない。

そろそろ1年。
私はいつの日かこの作品以上に
熱を持った作品に出会えるのだろうか?







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