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一杯やりながら書きます。文春と松本人志の裁判を見て考える、「合意形成」とは何か。

 今夜は夫が泊まりで仕事です。
こんな日は昔なら、誰か誘って飲みに行ってたけど、結婚してから10数年経つ今では飲み友達的な相手とは結構疎遠になってしまったなあと思う。飲み友達とは、お互いに気が向いた時に、呑みに行かない? と誘える関係である必要があって、自分が都合のいい時だけ一方的に誘うことしかできなくなるとなかなか難しい。
 こういう時、行きつけの飲み屋でもあればいいんじゃないかなと思うんだけど、なんかそういう感覚で久しぶりにnoteに書いてみたくなった。
 一杯やりながら書きます。つまみはサラミと昨日作った菜の花のからしあえ。

唐突ですが、松本人志の件。

 3月28日、松本人志が週刊文春を名誉毀損で訴えた裁判の第一回口頭弁論が行われたというニュースを読んで、思うところがあった。記事によれば松本本人は出廷せず、代理人の弁護士が裁判からマスコミ対応まで、全て相手をしたようだ。裁判に注力するために芸能活動を引退したという、松本人志の注力とはなんなのだろう。弁護士の陰に隠れて震えて過ごすことに注力しているのか、それとも、金の力で弁護士を雇って後はふんぞり返ってそいつの働きぶりを観察することに注力しているのか。
 そもそも注力する気なんてあるのか?
 こんな言い方はキツすぎると感じる人もいるかもわからないけども、私はこれまで家庭裁判所と簡易裁判所で2度、当事者として裁判を経験した事があり、2度とも何故か相手の当事者が裁判に一度も出てこなかったという経緯があります。

合意形成とは何か

 私が裁判だとか合意形成だとかいうことに、関心を持つようになったのは十数年前、亡くなった両親の遺産分割請求の申立てをしてからのことです。弟と内縁の妻(のちに入籍)が、亡くなった両親の家に住んだまま、死者名義の家に住み続け、遺産分割するよう何度連絡をしても応じず、最終的には連絡を無視するようになったため、私は裁判所に調停を申し立てた。しかしその後の調停もひどいものでした。弟の雇った弁護士から「本当は(私は弟に)家をあげるつもりだった」的な意味の謎の長文の書面が提出され、意味不明に全く関係のない私の書いたブログ(介護施設で働いていた頃の利用者さんとの思い出について書いたものとか)を何故か引用として添付しているし、その上調停員や私の弁護士からすら私は非難された。調停員からは謎に「あなたは相手に罰を与えたがっているように見える」などといかにも遺憾ですみたいな表情で言われ、自分の雇った弁護士からは「自分の兄弟との揉め事すら自力で解決できない」などとなじられ、「弁護士は依頼人の意見を聞く必要はない、私の言うことを聞け」などとキレられた。その弁護士はクビにしたけど、クビにした後もしつこく成功報酬くれとかほざいてきてうざかった、訴えてやるとか次は法廷で会いましょうとか言ってたくせに、十数年経って未だに法廷から呼び出しないんだよなあ。ていうかそもそも手付金詐欺だろお前。
 調停室では何時間も閉じ込められて和解案に合意するよう強要され、なんなら警察に相談した時も「遺産分割とかそういうのはお姉さんが率先してやるべきなんじゃない?弟にやらせるのはお姉さんがさせないと」とか言われた。
 いやそんなん言ったらお前らなんのためにいるんだよ。罰を与えろとかも言ってない! やるべきことをやらずにぬるーっと人のもん取ろうとするやつ、これどうすんの。
 人権を侵害されてる側の人がなんでさらなる人権侵害受けるの。

 かくも私の周りには、勝手に私が合意していると思い込んだり、合意とは何かを理解していない奴が多すぎて、しかしこれが日本の中枢である霞ヶ関の裁判所でもそんな調子なんだから、これは日本全体の問題でもあるとも思った。

合意とは
ごう‐い〔ガフ‐〕【合意】 の解説
[名](スル)互いの意思が一致すること。法律上は、当事者の意思表示が合致すること。「—に達する」「離婚に—する」 

goo 辞書より

合意のない性交は性犯罪。な、はず。

 何故か法律の文言では、「不同意」となっているけど、合意じゃなく同意って文言になったのはなんでなんだろうなあと思う。不同意性交罪は割と最近改正されてできた法律だけど、昭和の遺物みたいな爺さんが考えたんだろうか? 明治のミイラが作った法律から昭和の老いぼれの作った法律に変わっただけ、みたいな?
 不同意がNGというと、性行為はお互いにそうしたいという意思による合意によって至るのではなく、どちらかの(立場の強い側の)要望に従って、こくりと頷いたら同意だからアリみたいな感じにもとれる。実際には、立場を利用して強要するのはNGって条文もあるんだけど、タイトルである「不同意」にはやはり強い印象がある。どうして「不合意」ではなかったのか。

刑法第百七十六条 不同意わいせつ罪
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法第百七十七条 不同意性交等罪
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

内閣府のHPより引用


 さて、長くなったし夜もふけて、私も酔っ払ってきた。
 松本文春の裁判は、あくまで名誉毀損の裁判だが、私も含め多くの人は「誌上で松本が行ったとされる性的行為の加害性」について関心があると思う。
 この辺りを裁判所がどう判断し、世間がどう判断するのか。特に「これまで男っていうのはそういうもんだと思ってきた」「芸能界ってそういうもん」という思考がベースにある人たちによって支えられてきたであろう松本人気が、どこに着地するのか。男女のことや性的合意、不同意性交罪というものをどう受け止めるのか。社会がどのようにアップデートされるのか、あるいは後退するのか。非常に興味がある。

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