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腰痛解消かわら版 第4号

腰痛発生のパターン

 今年の夏は暑かったですね10月に入ってもエアコンが必要な日もあったのではないでしょうか? エアコンも省エネ設定では汗がどんどんにじんできますが、お腰にはこれくらいの方が良いようですよ。
 今回は、腰痛発生のさまざまなタイプについて解説します。

 腰痛経験のある方は、何をしていて腰が痛くなったか、また、どのような時に腰痛が出ることが多いか、自分の過去を振り返って見てください。おそらくこれから紹介するいくつかのパターンのうちのどれかに該当するのではないでしょうか?


A.一撃必殺型

 これは、たとえば事故などで強く尻もちをついたり、極端に重い荷物を持ち上げようとしたりした時のように、極めて強い負荷が急激に腰に加わったような状況を指します。大きな負荷が急激に腰椎に加わることで腰部の組織が損傷し、腰痛が発生します。
 この過負荷パターンは、病院や介護施設においてよく見かけます。これは、専門用語(?)で「花さかじいさん」や「こぶとりじいさん」アクシデントととしてヒソヒソとささやかれています。
例えば、車椅子からベッドに移乗させる時に、予期しない重量が急激に加わり腰を痛めるケースや肥満により身体を支持し難い症例を介助しようとした時に痛める場合などです。
「花咲かじいさん」は、車いすからベッドなどに身体を抱きかかえて移動させようとした時に、患者さんが手で車いすの肘置きをつかんではなさなくなり、車いすの重さも加わって、解除者が悲鳴をあげて思わず「(手を)離さんか!じいさん。」→「花咲かじいさん」という笑い話。
「こぶとりじいさん」は文字道理、小太りの人は、見た目より思いことがあり、解除する時には、気を付けないと腰を炒めるということ。

 又、日常生活においても片付けをしていて、重いタンスを持ち上げようとした瞬間「ズキーン!」と魔女の一撃をくらってしまった、なんていうのも典型的な過負荷パターンといえるでしょう。

B.馬車馬労働型

 このタイプは、荷物を何百個もトラックに積み込む作業のように、極端に重い荷物ではないけれども、腰への負荷を繰り返すような作業をした時に発生するパターンです。
 これは、腰痛発生の典型的な3つの型を示しています。腰への負荷のタイプと負荷が積み重なって大きなストレスに増幅されていく様子を描いています。1回の作業ではまったく問題は発生しなくても、反復することで、腰部への累積ストレス量が増加します。このストレスの加重を無視して同様の動作を続けていると、腰痛が発生します。このタイプの負荷もさまざまな仕事の場面で日常茶飯事に見受けられます。介護施設の仕事を例にあげると、入居者さんをベッドから車椅子に移乗させる動作、ベッドの上で身体をずらして布団を整える。そのうちにまたお呼びがあって、オムツ交換を....とはてしなく腰への負担労作が続きます。1回の介護による腰への負荷強度は、軽度~中程度であっても、反復していくうちにストレスが加重され、腰痛発生のレベルに到達してしまいます。反復負荷により ① 腰の筋肉が疲労し筋肉痛が発生する。 ② 筋疲労により筋肉が十分に機能することができなくなり、腰部の安定性が低下し、腰部の組織の損傷が起こり腰痛が発生する、などのメカニズムで痛みが惹起されます。

C.坐ったきり型

 これは草引き作業のように腰を曲げた不良姿勢を長時間続けたり、事務職の方がコンピュータ操作などのデスクワークを長時間行ったりした時に発生するパターンです。
 筋肉は、比較的弱い収縮であっても、休息なしで力を入れ続けると案外早く疲労してしまいます。たとえば、荷物を持った時に、片方の腕だけで持ち続けていると、すぐ力が尽きて持てなくなってしまいます。ところが、荷物を左右交互に持ち替えるようにすると比較的長い時間持ち続けることができます。筋肉は、収縮と弛緩を交代させることが重要なのです。また、次のような例もあります。編み物の習い始めの時期やパソコンの初心者に肩こりが多いというのをよく耳にします。手先の作業を行う際には、肩甲骨や肩周囲の筋肉を使って腕を固定し、手先を微妙にコントロールしています。習い初めは手先が思うようにうまく使えないため、過度に緊張し肩周囲の筋肉を持続的に緊張させてしまいます。そのために肩周囲の筋肉の筋疲労を起こし、疲労物質を蓄積させて痛みが発生し、肩こりとなって現れてくるのです。同様のメカニズムでコンピュータなどのデスクワークの仕事に集中しても腰の筋肉を持続的に収縮させてしまったり、不良姿勢により腰部の軟部組織を持続的に緊張させてしまうことにより、腰痛が発生することが多いようです。
 このように低負荷ではあっても長時間持続することで累積ストレスが増加し、腰痛を惹起してしまうことがあるのです。

D.なんでそうなるの型

 朝なにげなくうつむいた瞬間「ギクッ!」と痛くなったり、特に何もしていないのに急に痛くなったりすることも少なくありません。でもこれは実際には上記の3つのストレスがベースにあることが多いのです。

 腰痛を予防するためには、これらの腰痛発生のパターンをよく理解し常に頭に入れておき、ストレスの型にあてはまらないようにしておくことが大切です。たとえば、一撃必殺型の過負荷刺激を受けないように注意したり、反復負荷については、作業の方法を工夫することにより1回の負荷を軽減させたり、筋疲労を遅らせるようなリラックス運動を導入し、ストレス蓄積を予防すること。また、坐ったきり型については、小まめにダイナミックなリラックス運動や作業内容の転換を取り入れ、ストレス蓄積を遅延させるような工夫を行うことなど、工夫しだいで予防できることも少なくないと思います。
 日常生活を振り返り、何が腰に悪いのかじっくりと考えてみましょう。
 ご一読いただきありがとうございました。次回は、座位姿勢についてです。

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