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「陽当たり重視の日本人」


日本人は陽当たりへの執着が大変強く、そのため、午前中により多く陽が当たる部屋を「一番よい部屋」と表現します。知人の家におじゃましたときなど「陽当たりのいい部屋ですね」と言うことが、最高のほめ言葉なのです。

陽当たりのいい部屋」とは何かを考えてみます。

出生率の低下と高学歴編住主義等により、子供に過度の愛情を与えることが「甘やか〇」として問題になっていることも驚きです。しかし、小さい頃から子供に個室を持たせるとコミュニケーションが欠けてしまい、人間関係を円滑に図れないようになるというのが定説です。そこで、家族とのコミュニケーションを失わない子供部屋の設計が大切になりますが、そのことは後記事で投稿したいと思います。

ここでのテーマは、親は子供のためと思って、個室を南側にもっていこうとするのか。

私の場合も、最初のヒアリングで、この「南側子供部屋」を希望する親が多いのです。
日本の家は元来、南に居室を持ってくるのが一般的な形態ですが家族構成などを考慮して間取り設計をした結果、建築家が子供部屋を北側にもってくる案をだしたとします。

すると親は
「陽当たりの良好なところで勉強させたい」というのです。

受験に備えて、環境良好な勉強部屋は、古くからの日本の常識により、すなわち「陽当たりのよい部屋」と考えてしまうわけです。
南側の部屋は室温も上がり、そのため睡魔に襲われ、勉強部屋には適しないケースがあるのです。また、夏は暑く、冬は寒いのが当たり前だということを身体で感じることができない部屋は、五感が刺激されず、自律神経の働きも悪くなり、病気への抵抗力低下、不眠症などの原因となります。

子供は大人と違い、環境への適応性も高いことから、親が考えるほど北向きの部屋は悪い環境ではないのです。

頭が最も働くのは摂氏四度とも言われるほどです。

また芸術家などは、自分のアトリエを北向きに取ることが多いのです。何故ならば、光量が一定であることにより芸術作品の制作に適していることは当然として、医学的にも集中力を高める作用があるとも言われているからです。
また、数寄屋建築などの庭を見ても北側につくるのが作法です。こんことは、花も木もすべて南を向いて成長しますから、北の窓から花木が成長する姿を正面から見ることができるため、庭の眺めが最も美しいからだ、という学問的な研究がなされています。

このようなことからも私個人の意見としては、もっと北側の特性を重視して、活用すべきです。

次回予定記事:「陽当たり重視の日本人」下 予定

建築家、家相家として「建物」と「生活」のあいだをデザインしてます。
一級建築士事務所 生空感建築研究所URLはコチラ

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