クラヴサンで描かれる『異国趣味』
本記事は2023年3月3日に宝塚ベガ・ホールで開催の「宝塚ベガ・ホール いにしえのひびきにのせてチェンバロコンサート "チェンバロで描かれた『異国』」公演、および2023年5月28日に大阪 Salon deぷりんしぱるで開催の「中之島楽友協会サロンコンサート 中田聖子チェンバロコンサート「チェンバロの時間『クラヴサンで描かれた劇場音楽〜ラモーとロワイエ〜」公演、この二公演に寄せて書いたプログラムノート二稿です。
(プログラムノートもコンサートの入場料に含まれてご提供しているものですので、有料記事といたします。ご了承ください)
「宝塚ベガ・ホール いにしえのひびきにのせてチェンバロコンサート 〜チェンバロで描かれた『異国』〜」でのプログラム
J.-Ph.ラモー: 「《優雅なインド》より 序曲」「ソヴァージュ」「エンハーモニック」「エジプティアンヌ」
F.クープラン: 「第27組曲」
J.-N.-P.ロワイエ:「アルマンド」「センシブル」「スキタイ人の行進」
「チェンバロで描かれた『異国』〜異国趣味の音楽〜」 中田 聖子
15世紀から17世紀にかけての大航海時代を背景に、ヨーロッパ世界には異国文化が流入しました。17-18世紀の絵画や調度品には、シノワズリ(中国趣味)やトルコを介したオリエンタリズム(東洋趣味)をはじめとする「異国趣味」が見られます。これは当時のヨーロッパの人々の「遠い異国への憧れ」。この「異国趣味」は18世紀前半のフランス音楽にも現れました。
本公演の最初に演奏するのは、ジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau(1683-1764)の音楽。ラモーは、ディジョンのノートルダム大聖堂やクレルモン大聖堂などのオルガニストを
務め、素敵なクラヴサン(チェンバロ)のための作品を数多く残しています。また彼は音楽理論家としても著述を残し、劇場音楽作品の作曲家としても活躍していました。
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¥ 150
関西を拠点に演奏活動を行なっているチェンバリストhttps://www.klavi.com