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精巧 市場連動生産ストーリー(1)

精巧 市場連動生産ストーリー(1)                  

◆アパレル業界の大量生産・余剰在庫問題

こんにちは近江です。

東京の両国に本社がある、Tシャツ、ポロシャツ、トレーナーなどカットソーアイテムを製造するメーカー精巧株式会社の代表です。

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私たちが従事するアパレル業界では長年、過剰在庫問題がありますが、最近、大量過剰生産による売れ残り在庫問題がクローズアップされています。

多くのメディアが取り上げるようになったので、アパレル業界の関係者でなくても、多くの方がそんなニュースを見たり聴いたりしたことがあると思います。

私たちもこれまで、過剰在庫に苦しめられて来ましたが在庫による自転車操業や経営危機を乗り越えた経験からこれから何回かにわけて、当社なりの解決策を提言して行きたいと思います。

◆アパレルビジネスではなぜ過剰在庫を抱えてしまうのか

ご存じのように、毎日身に着けるアパレルには気温の変化による「季節性」があります。

生活者は冬が終わり、暖かくなれば厚い上着を脱いで薄手の春物を着るようになりますし、暑くなれば、長袖から半袖の夏物服に着替えます。
涼しくなれば、薄手の上着を羽織り、寒くなれば厚手の上着を重ね着します。

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このように気温に応じて、装いを変えて行き、その都度新しい服が欲しくなるものです。

気温だけでなく、そのシーズンごとの流行り(トレンド)がありますので

気温xトレンド

を予測しなければならないのがアパレルビジネスの前提です。

アパレルのシーズンごとの販売期間は春・夏・秋・冬それぞれ2-3カ月ですが、商品をつくるには

1年前から素材の準備をし、
半年前にデザインを決め
3-4カ月前には需要予測をして
つくり始めなければならない、

というのが一般的な業界サイクルです。

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実際、毎シーズン、店頭販売が始まると、こんなことが起きます。
人気商品はすぐに売り切れ、不人気商品はずっと売場に滞留します。それを放置して、人気商品の欠品が増え、品揃えの中の不人気商品の構成が増えると売上が伸び悩みます。
慌てて人気商品を追加注文しても追加生産している間に市場には、人気商品に気がついた競合他社が用意した人気商品で溢れており、なおかつ、追加商品が揃うころには残された販売期間は短く、売れ残ってしまい、結果として過剰在庫を抱えることになります。

毎年、7月や1月、シーズン末のバーゲンセールで値下げ処分で売り切れれば、まだましですが、売れ残り在庫となれば、資金繰りを圧迫し次のシーズンの新しい商品を仕入れづらくなるという悪循環に陥ります。

毎年そんなことを繰り返しますが、時には気温がアパレル販売に味方をし、人気商品の売れ行きが重なって販売好調なシーズンもあるので、そんな時に得た利益を原資にして過去の売れ残り在庫を処分するというようなことを繰り返すことによって生き残って来た企業が多いようです。

需要予測の精度を高められればよいのですが、この半年後の需要を予測するのが難しいのです。

昨今、AIで次シーズンのトレンドと需要予測をするということが話題になりましたが、過去にもとづき、その時点で次シーズンの予想は出来ても半年先の未来の市場環境の変化と業界競合関係、そして、それらに影響される顧客心理までは予測しきれず、多くの企業が断念されたようです。

当社もお取引先のアパレル企業や専門店の方々と共にいかに需要にあわせて、過剰在庫を抱えないようにと長年苦労をして来ましたが、長年の経験から、この問題を解決するには勘による、博打的な需要予測には頼らず、シーズン初めはできるだけリスクを抱えないように、販売スタートに必要十分な、確実な量だけ商品をつくり、実際に需要を見極めてから素早く、つくり足す「市場連動生産」が有効であるという結論にたどりつきました。 

※「市場連動生産」は当社の造語です。

なぜ、そんな結論に至ったのか、それは理屈だけではありません。
それは私たちが苦労をした原体験にあります。

次回は、勘に頼って、過剰在庫を抱えることの怖さについて、実際の経験から身をもってお話しをしたいと思います。


精巧株式会社のHPはこちら http://seiko-co.co.jp/


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