お金のお勉強~投資とは~

こんにちは、令です。

今日はお金のお勉強と題して記事を書いてみます。

昨日、とある記事へのリプライとして、「新NISA等が話題になっているけど、今みたいなド高値で買う必要はない」って書いたらそこそこ反響がありました。

そこで、今回は投資に対する考え方を、まだ投資をしたことがない・日が浅い方向けに書いてみました。

1.何故投資をするの?

まずここからですね。何故投資をするのか。お金を増やして余裕資金にしたいという漠然な考えを持っている人もいれば、「子供の将来資金に」「老後の資金に」その人の年齢・ライフプランによってもここの目的のところはまちまちだと思いますが、その目的ははっきりしておきましょう。それを踏まえて、次に進みます。

2.目標額・目標期間は?

前述の「目的」があった上で、次にくるのは目標額・目標期間ですね。例えば「子供の私立大学進学費用」を想定しており、その目標額が1,000万円であり、それが10年後であるならば、
運用期間:10年
目標利益:1,000万円
となるわけです。
ここの部分は、はっきりしておくべきです。例えば
・1,000万円を使ってある個別株に投資
・高値で買ってしまい、5年後、運用損益が-500万円になってしまった
・10年後の運用損益は-200万円。この時点で大学進学費用が必要であったので全て解約。
・仮にあと5年持っていれば、運用損益は+1,000万円になっていた
いかがでしょう。
結果論ではありますが、この人は「高値」で株を買ってしまい、その高値は15年後には更新され、利益が出ていたわけです。しかし、この人にとっての運用期間は10年(子供の大学進学というゴールがあるから)であり、そこまでに目標利益を達成したかったにもかかわらず、10年後の時点ではマイナスであったわけです。なので、投資としては「失敗した」という結論になります。
このように、投資をする上では「運用期間」「目標利益」の設定は必須です。いくら高値で掴んで、その株価が後に高値を更新したとしても、それが自分が天国に行ってしまった後では、意味がないですから。

3.意思決定

前述の1.2があった上で、最終的に「じゃあ本当に投資をするか?」という話になります。
そして本来、ここで投資に関する知識や、金融に関する知識をフルに活用することとなります。
まず、絶対に知っておいた方が良いのは「現在価値」という概念です。これ、初等教育で学ぶべき事項だと思うんですけどね。

分かりやすい例を挙げましょう。

先日、大谷選手がドジャースと契約し、年俸の大半を引退後にもらうこととしました。ここでクイズです。大谷選手は
①得をしている
②損をしている
③もらう総額は同じだから、変わらない
どれでしょうか。

答えは、②です。
仮に今年100億円をもらうのと、10年後に100億円をもらう。この2つを比べてみましょう。
今年100億円をもらったとします。世の中には、投資をせずとも(もしくは、投資したとしても極めて低リスクで。例えば日本国債や、米国債など、国がデフォルト(つぶれ)ない限り安全であるもの)金利で利益を得られるものがあります。最も身近なものが貯金です。(銀行の破綻抜きにすれば)普通貯金であっても(日本はめちゃめちゃ低いですが)利息が付きます。アメリカならドル金利が高いので、預金金利ももっと高いです。

上記の例で、仮に10年後まで、米国の普通預金の金利が2%だったとします。
今年もらった100億円は10年後には約122億円になります。(複利計算)
つまり、簡単に言うと「安全に運用しても10年後には122億円になるのに、10年後に100億円をもらう選択をすれば、お金の価値としては自然に22億円損をしている」ということになります。この「現在価値」の考えは、とても大事です。

そのため、日本で典型的な「運用するのは怖いから、現金で持っておけば安全だね☆」というのも誤りで、上記の現在価値の考えが理解出来た方なら、簡単だと思います。金利がプラスである限り、持っているお金は時間の経過とともに価値がどんどん減少しているのです。数十年前は1万円が大金であったように、今持っている1万円の価値は、10,20年後には低下している可能性が高い、ということになります。

じゃあ、絶対投資をした方が良いのか、ということになります。
今、銀行や証券会社はインフレ→投資のセールストークをよくします。上記の現在価値の考えで「現金で持っていると実はインフレで損しているんですよ。だから投資しましょう!」

ここで注意点が1つ。「投資の運用損益については、一切触れられていない」ということですね。
お金の価値が時間経過とともに減っているという事実と、運用で確実にお金を増やせるか。これは全く別問題です。つまり、選択肢は3つあり

①現ナマで持っておく(タンス預金)
②銀行に普通・定期預金で預ける(多少金利が付く)
③運用する

のいずれかです。
確かに現金や預金で持っておくと、金利は0か、ほとんど付きません。
しかし逆に減りもしません。
運用すると金利以上に増やせるチャンスがありますが、減るリスクもあります。もし仮に運用損益がマイナスなら、
・運用損益のマイナス
・前述の、時間経過によるお金の価値の減少
が解約時にダブルパンチでのしかかってくるので、ダメージ大です。

つまり、結局のところこれまで書いたような
・現在価値の考え方を理解した上で
・自分のお金をどう「持って」おくか
という判断が、各人に求められるのです。

4.最初に戻って~ツイートで伝えたかったこと~

結局、私がツイートで伝えたかったこと。
「新NISA等が話題になっているけど、今みたいなド高値で買う必要はない」
の意図。

今、日経平均は35,000円を超え、バブル後高値に位置しています。
投資初心者の中には「もっと上がるかも!今このチャンスを逃したくない!」と年明けさっそく新NISAの口座開設をした人もいるかもしれません。

株価が上がるかどうかは、誰にも分かりません。
私が書いた「ド高値」という表現に対し、「それが分かれば誰も苦労せんよw」というリプもありました。
確かにそうです。

「ド高値」という表現を使った理由は2つあります。
・事実として、バブル後、30年ぶりに「一番高い位置にいる」という意味で
・テクニカル的に(ここでは割愛しますが、相場分析には「テクニカル分析」というものがあります。日経平均については、基本的に多くの指標が多くの時間軸において「買われ過ぎ」を示しています。)
上記2つの理由です。相場高騰時には上記のテクニカルを無視して、株価が上がり続けることもあります。そのため、テクニカル的に買われ過ぎだからといってこの後下がる保証は1%もありません。但し、事実として、数学的には「買われ過ぎ」となっている、ということです。

なので、仮に日経のインデックス運用をするならば、購入者の判断は
・テクニカルを無視して上げ続けそうだから、買おう!
・一旦落ちそうだから、様子を見よう!
いずれかの判断となります。(下がると利益が出るインバースというものもありますが、ここでは割愛)

そして、もう一つの事実。
相場には「波」があります。絶対に下がらないチャートなんてあり得ません。以下の米国のハイテク株指数であるナスダックのチャートが一番分かりやすいでしょう。

ナスダック指数

2000年ごろ、ナスダック指数はピークの5,000ポイント付近を付け、その後ITバブルの崩壊とともに2,000ポイントを割るレベルにまで低下しました。仮に5,000ポイントの時点でナスダック指数に投資している人がいたら、ものの数年で保有資産が半分以下にまで低下している計算となります。
その後株価の回復とともに、ナスダック指数が最高値を更新したのは2015年頃、実に15年の歳月が流れています。

最初の「運用期間」の話に戻ります。
2000年の最高値で投資した人が、15年持ち続けていたとすれば損はしていません(それでも損益は0であり、現在価値の考えからいくと損ではありますが)。しかし、15年の間に様々な理由でお金が必要となり解約してしまった人、損失額からもうこれ以上は無理だと考えて解約してしまった人などは、運用損益マイナスで終了、ということになります。15年後に株価が戻ったとしても、それは「そこまでずっと持ち続けられていれば」という話です。

相場には、波があります。
上記のナスダックのチャートでも、2008年頃にすこし株価の凹みがあります。この長期チャートではちょっとした凹みにしか見えませんが、ここがリーマンショックで、リーマン前高値の2,800ポイントから1,400ポイントまで急低下しています。仮に最高値で投資していたとしたら、運用損益は実に-50%、あっという間に半分になってしまう計算です。

また、リーマンショック以外でも、このチャートの見えない部分で5%,10%くらいの減少は年に何回も発生しています。

リーマン後も、コロナ後も、結果として株価は戻しています。
相場は波です。今上がり続けている相場も、いずれはどこかで幾分かは下落します。(もし直近の例を見たい人は「ビットコイン チャート」と検索してみてください。ビットコインも一度バブル崩壊した後、先日まで高値更新していましたが、ここ数日で20%弱下落しました。また上がる可能性もありますが、どのチャートでも、こういった「波」は絶対にある、ということです)。

日経平均の連日の高値更新を見て、早く投資してみたい、そう思うビギナーの方もいるでしょう。
でも、上記で書いた「「ド高値」という表現を使った理由」のとおり、テクニカル的にも買われ過ぎ、と多くの指標で出ています。

もし「今後も日経平均が上がる!」と思っている人も、どうせ買うのであればちょっと足踏みして、相場の大なり小なり「谷」が見えた時に買うべきだと思います。仮に上のナスダックに積み立て投資したとします。上げの天井付近(ピーク)で買うよりも、下げのタイミングで定期的に積み立て投資した方が、平均の取得単価が抑えられます。仮にその後も下落が続き、撤退するにしても傷が浅く済みます。平均の取得単価が抑えられるということは、イコール損をせずに撤退出来る可能性が高くなるということです。これは投資の世界で非常に大切なことです。投資信託にしろ株にしろ、買ったものを売れば利益(損失)を確定できるわけですが、損失を確定することってメンタル的にも・意思決定するにも辛いものなので。

例えば投資信託を毎月25日に1万円ずつ積み立てていたとしましょう(日経インデックスの投資信託想定)。
1/25:10,000円投資
1/26:日経500円下落
2/25:10,000円投資
2/26:日経500円下落
運悪く1月、2月共に26日に500円下落してしまったとします。この場合、いずれの月においても「高値で買ってしまった」ということになります。無論、長期投資、積み立て投資においてはそれくらいの額気にすることないかもしれませんが、500円の下落って2%弱なんですよ。1,000万円投資している人ならそれだけで20万円損するわけです。投資信託の手数料(信託報酬)が年0.50%ならば、それだけで4年分の手数料にも該当するわけです。

ならば、ちょっと知識をつけて、「毎月1万円投資するよ」と決めている人でも、積立投資でなくスポット(適宜買うこと)投資(NISAで言うならば好きな時に買える成長投資枠のほう)を活用して、「日経が前場で300円以上下がった日に買う!」や、テクニカルに詳しい人は「日足RSI30以下になったときに買う!」等ルールを決めて買った方が良いのでは、と思います。
これは逆張りすべきという提言でなく、長期投資するにしても、少しでも「安い≒下がった」タイミングで買った方がいいよね、という提言です。
※専門的な話になりますが、国内資産に投資している投資信託は、概ね15時前(証券会社により異なる)に買えばその日の基準価額で購入できます。つまり「日経下がっているから日経インデックス買おう」と出来ます。海外資産が混じっている場合は基本的に翌営業日(その日の海外マーケットの影響を受けた価格)の基準価額での約定となります。詳細は各証券会社HPや投資信託の目論見書等ご覧ください。

また、これまでの記述は全て「新規投資をする人」向けに書きましたが、投資戦略として、下から買って既に利益の出ている人が、上げ局面で更に利益を得るためにあえて上昇局面で積み増しするのはもちろんアリだと思いますし、賛成です。あくまで、「ビギナーだけど投資やってみたい!日経最高値?40,000円、50,000円突破しそう!今こそこのビッグウェーブに資金ガッツリ投入して乗りたいぜ!」と思っている人へ、その前にちょっとだけ目を通して欲しい話、として書きました。

最後になりましたが、読んで下さった皆様の投資が少しでも上手くいくことを祈っております!

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