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男酒日記 99日目「女の習い事 男の修行」

敬愛する作家が「何事も100日やると質的に変化する」といっていた。この言葉の意味をいま実感している。
断酒100日ーーこの間得たことは、酒癖の克服どころではない。
仕事の仕方、家庭の営み方、今後の生き方から自己の確立まで、この100日は私にとってまさに革命であった。取り組んで本当によかったと思う。
古来、執着を断つことは修行の王道である。僧侶は女色、酒や肉食などを遠ざけ、挙げ句、五穀を絶って生きながら仏と化そうという豪傑まで現れた。
彼らの足元にも及びもしないが、その精神のかけらには接触できたような気がしている。
荒行というものは、周囲の者からすれば痛々しくもあり、ときにはバカバカしく見えるものである。
だが、当人にしてみれば、これほどエキサイティングな体験はなかなかない。私もかつて経験したことのない快感と満足感を得た。
だが、その感じ方に性差があるらしいことがわかってきた。
男女の超えがたさというものは、まさに「行」というものに対するスタンスの違いに凝縮されるのではないか。
自分を痛めつけてニンマリする。そんな男はたくさん知っているが、そんな女はいるだろうか。私の知るかぎり思いあたらない。
むろん例外もあろうが、この傾向が厳然と存在することを私は確信した。
習い事と修行。一見似た両者であるが、希求するものはどうやら根本的に異なるようである。

写真:こんな本が書棚にあった。おもしろかったが、なんか違うなあという違和感があった。その理由がようやくわかった。

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