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アレルギーの原因と治療法|耳寄り健康講座⑭

 常磐病院の新村です。今回は「アレルギー」をテーマにお話ししていきたいと思います。

 【アレルギーとは?】

 私達の体には病気を引き起こすウイルスや細菌から身を守る「免疫」という仕組みが備わっています。この仕組みが特定の異物に対して過剰に反応してしまい、さまざまな症状が身体に現れる、このような反応を「アレルギー反応」と言います。

 【アレルギーの原因】

 アレルギーの原因となるもので、花粉のほかによく知られているのが「食物アレルギー」です。卵・牛乳・小麦・そば・ピーナッツ・甲殻類・果物などがあります。また空気中に飛散しているアレルギー物質としては、スギやススキ、ブタクサなどの花粉のほか、ハウスダスト・ダニ・ペットの毛・カビ菌などがあります。

 【アレルギー性の病気とその症状】

 よく知られているアレルギー性の病気としては、花粉症、ぜん息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などがあります。

 症状としては、湿疹や蕁麻疹などの「皮膚症状」、くしゃみや鼻水、目や喉のかゆみなどの「粘膜症状」、腹痛、下痢、嘔吐などの「消化器症状」、呼吸困難などの「呼吸器症状」、血圧低下、意識障害などの「全身症状」などがあります。

 特に最後の血圧低下、意識障害などの症状が出てしまったアレルギー反応を「アナフィラキシーショック」と言い、早めに処置を施さないと命の危険に繋がる恐れがあります。

 【アレルギーの治療】

 アレルギーの治療は、薬物療法が主となります。アレルギーの症状を抑える薬やアレルギー症状を引き起こす働きをブロックする薬を内服したり、他にも点鼻薬や点眼薬、皮膚から有効成分を吸収させる貼り薬などがあります。

 その他、極微量のアレルギーの原因物質を舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく「舌下免疫療法」や、「IgE」という抗体と結合する薬剤を注射することで、アレルギー反応を元から抑える治療法などもあります。医師の指示に従い、ご自身のお体に合った治療を行うようにしましょう。

 【命の危険があるアナフィラキシーショック】

 「アナフィラキシー」は、アレルギー反応でも特に危険な状態であり、「アレルゲンなどの侵入により複数の臓器に全身性のアレルギー症状が現れて生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されています。この過敏反応の中でも、血圧・意識レベルの低下、失神などを伴うものを「アナフィラキシーショック」と呼び、急いで治療を行わないと命を落とす危険性があります。

 アナフィラキシーショックによって返事がないほど意識が低下していたら、すぐ119番へ連絡し、救急車を呼んでください。また、近くに医療従事者がいないか、声を掛けてください。嘔吐している場合は喉の詰まりを避けるため横向きに寝かせるなどの対応も必要です。

 なお、これまでアナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、「エピペン®」といったアナフィラキシー補助治療剤を常に携帯するようにしてください。「エピペン®」は、アナフィラキシーの症状が出た際、症状の悪化を抑えます。ご自身のほか、保護者の方なども注射を認められています。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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