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【福島県】許されない公務員ボーナス通常支給

民間企業は無給・大幅マイナス必至


 民間シンクタンク発表のリポートによると、新型コロナウイルス感染拡大による景況悪化で、今夏の民間企業のボーナスは昨夏と比べ大幅な減少になる見通しという。一方、公務員は何事もなかったかのように、ボーナス(期末・勤勉手当)が支給されることになるのだろうが、そんなことが許されるのか。


 日本総研が4月10日に発表したリポート「2020夏季賞与の見通し」によると、「新型コロナで1人当たり支給額が大幅マイナスになる」としている。

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/11686.pdf

 同リポートの概要は次の通り。

 ①今夏の賞与を展望すると、民間企業の1人当たり支給額は前年比マイナス6・4%と、リーマンショック以来の大幅なマイナスとなる見込み(厚生労働省「毎月勤労統計」事業所規模5人以上ベース)。

 ②背景には、第1に、2019年度下期の企業収益の低迷。経常利益は、2019年10~12月にかけ3四半期連続の減益。非製造業は堅調を維持したものの、製造業が世界的な設備投資の抑制や自動車の販売低迷に伴い不振。第2に、年明け後の新型コロナウイルスの影響。世界的感染拡大を受けた輸出の減少、感染拡大防止に向けた休業の広がり、外出自粛に伴う国内消費の冷え込みにより、製造、非製造業ともに急速に業況が悪化。先行き不透明感・雇用不安の増大により、今春闘では、製造業でベアゼロ回答が続出するなど、賞与額のベースとなる所定内給与(基本給)の伸びも鈍化。

 ③大手企業では、3月以降の情勢悪化の影響が反映されるのは年末賞与となる見込み。インバウンドの激減と休業で打撃を受けた百貨店でも、プラス支給で妥結の例も。

 ④支給総額は、前年比で8・2%の減少となる見込み。1人当たり支給額の低下に加え、支給を見送る企業の増加により、支給対象者数が減少するため。

 ⑤一方、国家公務員は、前年比で0・7%の増加となる見込み。夏季と年末の支給割合の平準化の影響を含む支給月数の引き上げ(プラス0・05月分)と月例給の引き上げ(プラス0・09%)が押し上げに作用。

 一方、みずほ総合研究所が5月25日に発表したリポート「2020夏季ボーナス予測」は、日本総研より1カ月超後にまとめられ、その間の動向などを踏まえたこともあってか、さらに厳しい予測となっている。

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp200525.pdf

 ①2020年夏の民間企業の1人当たりボーナスは、前年比マイナス9・2%とリーマンショック後以来の大幅マイナスを見込む。新型コロナウイルス感染拡大による企業収益・雇用環境の急速な悪化が背景。

 ②公務員の1人当たりボーナスは、年間(夏冬)の支給月数の均等化などの特殊要因もあってプラスを維持するが、伸びは鈍化。

 ③マクロでみたボーナス支給総額も前年比マイナス9・5%の大幅減。2020年冬はさらに落ち込むとみられ、緊急事態宣言解除後の消費回復ペースを阻害する要因に。

 1人当たりの平均支給額は、日本総研のリポートでは35万7000円(事業所規模5人以上ベース)、みずほ総合研究所のリポートでは34万6000円(同)とされ、いずれも、「リーマンショック以来の大幅なマイナス」と予測している。

 さらに、「大手企業では、3月以降の情勢悪化の影響が反映されるのは年末賞与となる見込み」(日本総研リポート)、「2020年冬はさらに落ち込むとみられ……」(みずほ総合研究所リポート)とあり、今冬のボーナスはさらに厳しいとの見方を示している。

無給決めた幸楽苑

 県内ではラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングスが今夏のボーナスを支給しないことを決めた。以下は福島民友(5月2日付)より。
 《新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、東日本を中心にラーメンチェーン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD、郡山市)は1日、役員報酬と社員の給与を3カ月間減額し、従業員の夏のボーナスを支給しないと発表した。緊急事態宣言を受けた休業や営業時間の短縮などにより、売り上げが大幅に減少したことが要因。5~7月の3カ月間、会長と社長の報酬を月額50%、このほかの役員報酬を20~30%、社員の給与を20%減額する。社員給与の減額とボーナスの不支給は1997(平成9)年の上場後、初めて。

 同HDによると、感染拡大によって外食を控える傾向が強まったことから、3月の売上高は前年同月比22%減。4月上旬からは全国の店舗で順次、休業や短縮営業の対応を取っており、売り上げが大幅に減少している。現在は、全国の幸楽苑419店のうち県内を含む42店で休業、376店で営業時間を短縮している。このほか「いきなり!ステーキ」など業態転換した店も同様の対応を取っている。

 こうした状況を受け、同HDは「従業員の雇用と稼働の適正化を図るため、社員給与の削減と従業員への夏季賞与の不支給を、労働組合と協議の上決定した」と説明。資金繰りについては「追加の資金調達の協議が順調に進んでおり、現時点で懸念点はない」としている》

 同社は昨年10月の令和元年東日本台風に伴う被害で、郡山市の工場が操業停止したほか、2017年からフランチャイズ展開していた「いきなり!ステーキ」の不振などの要因もあったが、やはり今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、大きな損害を受けた。同社は、言わずと知れた東証一部上場企業で、県内では優良企業と認識されているが、前述のような事情から今夏のボーナスを支給しないこと決めた。

 同社のほかにも、新型コロナウイルス感染拡大の影響をモロに受けている業界や、中小・零細企業などでは、ボーナスの大幅カット、あるいは支給しない(できない)ところも相当数出てくるに違いない。そのくらい、景況は厳しい状況にあるということだ。

公務員ボーナスの概要

 一方、公務員はどうか。

 公務員のボーナス(期末・勤勉手当)は6月末に支給されるが、特別職や議員に関しては所々でカットするとの報道が出ている。

 例えば、福島市は市長50%、副市長30%、そのほかの管理職20%を減額する。いわき市は市長50%、副市長、教育長、水道事業管理者、常勤の監査委員が10~30%の減額。病院事業管理者は、医療・防疫体制維持の観点から減額なし。これに倣い、議員も一律20%減額するという。

 ただ、一般職員については5月末時点でカットなどの話題は出てきていない。

 ちなみに、公務員のボーナスはどのくらいのものか別表(前頁)にまとめた。表①、②は昨年6月29日付の福島民報から、その前日に支給された昨年の県関係のボーナス、県内6市のボーナスを整理したもの。

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 表③は総務省2019年度「地方公務員給与実態調査」より、県と県内市町村のボーナス支給額をまとめたもの。表③で示した数字は2018年の年間支給額で、およそ半分ずつ夏(6月)と冬(12月)に支給される。

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 自治体によって若干のばらつきはあるものの、これらの数字から分かるように、公務員には70万円超のボーナスが支給され、前述のように現状カットなどの話は出ていないから、おそらく今夏も同程度が支給されると思われる。

 公務員の給与は「民間準拠」が原則とされるが、県内経済がかなり深刻な影響を受けている中、平時と同じようにボーナスが支給されるというのは理解できないし、許されることではない。県民の中には、自粛要請などに伴い、収入を断たれ、生活苦に陥っている人が大勢いる。緊急時なのだから、それに見合った対応をすべきだが、そういった話が出てこないのは信じられない。

 思えば、東日本大震災・原発事故のときもそうだった。被災・避難自治体の住民の多くが収入を絶たれ、財産を失ったにもかかわらず、公務員には平時と同じようにボーナスが支給されたのだ。首長判断で、あるいは職員団体などが呼びかけ、自主的にボーナスの一部を返上し、被災地・避難者に寄付する、復旧・復興に充てるといった動きがあってもよさそうなものだったが、そうした動きは全く見られなかった。「国難」「緊急時」という意識が全くと言っていいほど感じられなかったことには怒りを通り越し落胆した。

 今回も同様で、本来ならボーナスに限らず、議員や公務員の人件費をカットして予算を捻出し、コロナ問題に立ち向かうことが求められるが、国にも、首長・公務員にもそういった考えはないらしい。

 繰り返しになるが、いま多くの人が苦しい生活を強いられている。その痛みが分からない人たちが行政を担っているようでは、コロナ不況から国民・県民生活を守ることはできない。


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