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「春の花粉症」対策|耳寄り健康講座24

 常磐病院の新村です。まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では3月はもう春ですね。この時期は「花粉症」でお困りの方も多いかと思います。今回は、そんな花粉症について取り上げていきたいと思います。

 【花粉症とは?】

 花粉症は、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれ、植物の花粉が原因でアレルギー反応を引き起こす病気です。一般的に、鼻や目などから花粉が体内に侵入し、その結果、免疫の過剰反応が現れ、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの症状が引き起こされます。花粉は春や秋に増加し、今の時期は、スギやヒノキが原因の花粉症が多く見られます。

 【花粉症の歴史】

 日本で初めて花粉症が報告されたのは1961(昭和36)年とされています。戦後アメリカから持ち込まれたブタクサが繁殖し、その花粉が原因の花粉症が確認されました。63(昭和38)年にはスギが原因の花粉症が初めて報告されました。60年代から日本でスギの植林計画が進み、その結果、スギ花粉が原因の花粉症が増加したようです。

 環境省のホームページに掲載されている「花粉症環境保健マニュアル2022」によると、花粉症の有病率は、1998(平成10)年19・6%、2008(平成20)年29・8%、19(令和元)年42・5%で、10年ごとに約10%増加しています。今やおおよそ2人に1人が花粉症を発症している状況です。

 【花粉症の対策(セルフケア)】

 花粉症を予防するには、何より花粉を避けることが大切です。花粉は、主に目・鼻および口から身体に侵入するため、花粉防止用のマスクやメガネ、帽子などの着用をおすすめします。今の時期に多いスギ・ヒノキの花粉は3~4月にピークを迎え、おおむね5月末まで飛散します。晴天で湿度が低く、風が強い日は花粉が飛散しやすくなりますので、注意が必要です。また、花粉を家の中に侵入させないことも大切です。帰宅時、家に入る前に服についた花粉を払い落とす、洗濯物を取り込む際に払い落とすなどの対策をおすすめします。こまめな床掃除、帰宅後すぐの入浴なども良いでしょう。

 【花粉症の受診先と治療法】

 花粉症は、一般的には内科で診察しますが、目のかゆみやくしゃみ・鼻水などの症状によって、眼科や耳鼻咽喉科などを受診すると良いでしょう。症状が重い場合は、アレルギー科がある医療機関の受診をおすすめします。

 治療法としては、対症療法として点鼻薬や内服薬などの服用、レーザー手術などがあります。また、根治する可能性がある免疫療法として、花粉エキスを舌の裏側に滴下する「舌下免疫療法」が注目されています。

 【最後に】

 花粉症の症状として、微熱が出ることもあります。今の時期は、新型コロナやインフルエンザなどの感染症も流行しています。感染症を拡大させないため、くしゃみなどは他の人から顔をそむけ口と鼻をおさえる、鼻をかんだティッシュは専用の袋に入れて捨てる、などのご配慮もお願いいたします。


しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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