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有限会社高塚かまぼこ店(東伯郡東伯町八橋)

 昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年5月25日号より、有限会社高塚かまぼこ店をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。

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【事業所めぐり21】有限会社高塚かまぼこ店(東伯郡東伯町八橋)


高塚社長の祖父の代からということだから、創業の歴史は古い。しかし、法人化して本格的に操業を開始したのが、国道9号線沿いの現在地に店を構えた50年5月からというから業界でも指折りの急成長会社ということができる。

社長所有の田んぼを埋め立てて設立したという現本社工場は、こうした製造業には珍しくしゃれたモダンな外観を備えており、バスやマイカーを利用した観光客などの立ち寄る姿も見られるなど、店頭販売促進にその外観が一役買っている。

しかし、製造卸売りを主体とする同社の強昧は、なんといっても競争相手が比較的少なく、西は米子から東は倉吉まで中•西部一帯をシェア下に収めることができた点にあるといってよい。また、こうした生鮮物の生命である新鮮さを重視する同社は、一日生産量4800本の全自動機械で即日売りを原則にして、製造直売店の利点をフルに発揮し、好評を得ている。同社製品の評判をききつけ、指名で来る客も多いらしく、結婚シーズンを迎える秋口から翌年の5月ごろまでは、婚札料理の注文が大半を占めるということだ。特に大安の日の注文は重なる場合が多く、さばき切れなくて仕方なく断わることもあるという。

だが、問題点もある。その中で最も頭の痛いのは例の200カイリ専管水域の設定でスケソウダラの漁獲が半滅することが予想され、かまぼこの原料である冷凍すりみが昨年ごろから三割以上値上がりしていることだろう。その点について、同社高塚馨社長は「冷凍すりみは倉庫に入れてあるわけだから、現実には在庫量はまだ同じようにある筈なんですが、やはり先行き不安で上がっているんです」と、国際問題だけに手をこまぬくよりほかにどうしようもないといった口賑り。

「企業努力でなんとかカバーしようと頑張ってきたんですが、ウチもこの6月から2~3割のアップを考えています」と、あまりの原料高に値上げをせざるをえないという背景を説明する。

しかし、そうはいいながらも既に県内では大手に成長した同社の製品に対する信頻度は高く、来年度売り上げ目標を50%アップの1億5000万(昨年実績1億円)に置く高塚社長の口調は自信満ち溢れている。また、この5月25日から八橋名産「アゴ竹輪」の発売も始まり、シーズンの終わる8月上旬まで、再び同社の店頭に活気を呈すことになりそう。(昭和52年5月25日号)

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