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多領域に渡る技術者を束ね独自の価値を生み出す映像・音響サービス業(前編)

 設備とそれを制御するプログラムを組み合わせ独自の映像・音響サービスを提供する技術者集団。彼らを束ねるのは鳥取市出身の山根社長だ。独自性の高いサービスとそれを実現する組織について伺った。


ジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社
代表取締役社長
 山根浩二
聞き手:北村真吾/中小企業診断士

取材:2019年2月13日 掲載:旬刊政経レポート2019年3月5日号)



御社の事業内容を教えてください。

 当社は、映像・音響設備とそれを制御するシステムの構築、設計、施工、保守を手がけています。複数のカメラマンが撮影する映像や音声をオペレーターが切り替えながら巨大スクリーンに映し出す仕組みを提供しています。設置場所は、多くの人が同時に映像を見る場所です。例えば、スタジアムや公営競技場、展示資料館、大学、商業施設、野球場などがあります。


どのような実績がおありですか。

 茨木市にあるエキスポシティ内にデジタルTV放送局「EXPO TV」を作りました。関西テレビからの依頼でした。カメラ台数、フレームレート、設置位置などについて彼らと打ち合わせを繰り返し、実際に使用できる放送局を約1年がかりで完成させました。
 他には、競艇場での審判用の判定システムがあります。各ボートがコースを外れていないか、他者の進路を妨害していないかを、カメラが複数のボートを追尾しながら録画します。レース後に審判が録画された映像を見て判定するのです。ボートの速度は時速100キロを超えます。映像機器の選定や設置に加え、カメラがボートを自動追尾するプログラムも当社が開発しました。


専門性の高い事業内容ですが、御社の独自性はどこにあるのでしょうか。

 映像機器とプログラムを組み合わせたシステム設計やコンテンツ開発の他にも、設置後の運用や保守もやっています。これらをワンストップで提供できることに当社の独自性があります。
 広島平和資料館の展示映像はいい例です。モニターとプロジェクションマッピングで、当時の広島の町を模したミニチュアに原爆が投下される瞬間を表現したものです。
 通常、この手の展示映像を表現しようとすると、映像を作る会社、ディスプレイやプロジェクターを設計する会社、それらを設置する会社と、依頼主は複数の会社にまたがって依頼することになります。もし、機器を設置して映像を映した時にうまくいかなければ、機器の位置を変えてみたり、映像を修正してみたりと、複数の会社と何度もやり取りせねばなりません。しかし当社であればこれらを自社でできる上にメンテナンスも引き受けますので、お客さんからすると便利なのです。

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(プログラムが表示されるパソコンの前に座る山根社長。ご自身はプログラムがまったく分からないという。)

社内体制はどのようになっていますか。

 当社のスタッフは主に、ソフトを作るプログラマーと、現場で機器の設置や運用をする工事担当者と、設計者で構成されています。彼らの技術職ならではの高いプロ意識に、私はいつも敬意を払っています。
 制作や現場が立て込んでいる時期に、私がさらに営業活動を進めようとすると、品質が下がることを恐れる彼らは反発することがあります。そこで私は、技術職である彼らに直接お客さんから連絡が入ってくる仕組みを作りました。私が「やれ」と言うと反発することであっても、お客さんからの依頼であれば受け入れられるものです。今では、見積りを作ってお客さんに出すのは彼らの仕事になっています。
 技術職のスキルの高さが当社の品質の高さを生み、それが売上につながっています。


後編では経営者としての取り組みと起業を目指す人へのメッセージをお聞きします。


(後編へ続く)


 
ジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社
代表取締役:山根浩二

事業内容:映像・音響サービス業
所在地:大阪市中央区今橋1-6-19
従業員数:25人
資本金:1000万円


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