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皆生グランドホテル(米子市皆生温泉)

 昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年4月25日号より、皆生グランドホテルをご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。

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【事業所めぐり16】皆生グランドホテル(米子市皆生温泉)


ことしでちょうど創立10周年を迎える。山陰の名所として台頭著しい皆生温泉の中にあって常に業界をリードする形で急成長を遂げてきた同ホテル。

その特徴はなんといっても従来の「旅籠」的経営感覚から容易に抜け出せないでいた他業者に先がけて、お客を「待つ」商法から積極的に「誘致」を重視した経営方針をいち早く確立した姿勢にあるといってよい。

昭和42年10月にオープンして以来、増築に次ぐ増築を重ねて山陰随一といわれる諸施設を完備した同ホテルの収容客数は650人、皆生温泉全体の収容能力が5000人といわれる中で実にその15%近くを占める。

父君、定𠮷前社長の後を継いでことし、新たに社長に就任したばかりの伊坂博社長は、低成長時代を迎えたホテル経営のむずかしさを「ウチの場合、低料金の大衆旅館としてスタートしたわけですが、今日の多様化したお客のニーズにどうこたえるか。以前のようにただお湯に入って泊ってもらうというだけでなく、それ以外の付帯設備というか、演出を充実させて層も多様化したお客の要求にどうこたえていくかが問題だと思いますね」と、この不況で宿泊料金以外の金使いが渋くなったといわれる旅行客に照準を当てる。

同ホテルの場合、昨年一年間の宿泊者がおよそ12万人、その収入の約五割が宿泊料金以外の付帯収入だという。そのため、山陰初のレストランシアターを開設したり、これも山陰で唯一といわれるヤングプラザをオープンしたりして企業努力につとめている。

その努力は、たとえば忘・新年会の際にも如実に示される。塚田敏美総務部長によれば「シーズンが近づくとウチの場合、販売部だけでなく役員から女中さんまで全員セールスという方針のもとに知人、親類・出入業者などあらゆる人間関係を駆使して勧誘に努めます。そのお陰でだいたい12、1、2月は三割近くに客足が落ち込むのが普通なんですが、ウチは七割近くまで実績が上っています」と、その営業努力の成果を誇る。

とはいえ、低成長時代を迎えて全体に利益の薄くなったといわれる旅館経営の前途は、決して平坦ではない。その辺を見越してか、この4月1日には「ヴィラ大山」を買い取り、新たに”大山グランドホテル“としてオープン。近くのゴルフ場とタイアップした「ゴルフパック」を売り出すなど新しい客層開発にも積極的に乗り出している。(昭和52年4月25日)


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