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(合名)堀田石油店(境港市相生町)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年11月15日号より、合名会社堀田石油店の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。



【事業所めぐり56】

創業は大正3年、初代昇氏、二代目利治氏に続いて昭和35年に代表に就任した靖郎氏で三代目ということになる。

鳥取の光商会、米子の永瀬石油などと共に県下でも屈指ののれんを誇る同社の年商は今年度決算でおよそ40億円、税込み利益で6400万円あまりを計上した。現在、境港、米子をはじめとして松江、大阪など八ヵ所に直営スタンドを有すると同時に20店の小売り業者を持つ卸し元としても活躍、境港でも屈指の優良企業として金融機関の信用は抜群。

油業界の現況について堀田社長は「円高が続いてメーカーが為替差益を得ていることは事実だが、特約店への価格は下がっていない。そのうえにスタンドは乱立気味で供給過剰。山陽方面に比ぺればまだ良い方だが、情勢は厳しい」と需要停滞へ加えての競争激化に経費節減など合理化で対処したいと語る。

昭和30年代から、それまでの海上輸送燃料中心を陸上へ転換、現在では数量的には依然として重油が三倍近くを占めているとはいえ、売り上げでみればガソリンの方がより多く比重を占めるようになってきた。また、同社では日本石油特約店としての油燃料のほかに宇部興産とのセメント、日本油脂とのペンキ、日石瓦斯とのプロパンと業務を拡張、多角化を図っている。「日本経済の伸長に伴って顛調に発展してきたが、こうした減速経済下で石油需要も頭打ち状態。今後は石油以外の分野のウエイトも重視、将来的には総合商社的なものに育てていきたい」と堀田社長は抱負を語る。

一昨年7月に竣工した鉄筋二階建ての本社ビルは、漁港の乱雑な建築物の中では出色だが、「奉仕、友愛、飛躍」を社是に「堅実経営に徹したい」とする同社長はこうした経済現境での基本的な経常姿勢について「まず、過大投資は絶対にしないこと。それと、できるだけムダを省いて合理化に努め、体力をつけることが基本」と資本金30万円で創立以来、一度も増資することなく内部留保を二億円あまり蓄積している企業の代表らしく堅実である。

前記のごとく油燃料のほかにペンキ、セメント、LPガス、それに厨房電機器具なども取り扱い、業務を拡張しつつあるとはいっても年商の約80%は石油。特に創業以来、すっと船舶燃料を主流にしてきた同社だけに、境港に停泊する船舶のおよそ3割をそのシェア下に収めている。(昭和52年11月15日号)




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