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ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その3️⃣【力の入力とその反発を感じ取る手の使い方】

人体に変容を与える手法には、外部から「力」を入力するという方法があります。

状態を確認するだけなら、前回解説した等速運動の概念を使ったハンドリングで良いのですが、等速運動は常に両者の価値が等しいので状態が変化することはありません。しかし、外部から力を加えることでその等価の関係が崩れて変容が生じます。

力の入力と入力した力を感じることは、評価にも治療にも使える重要なスキルです。その力の加え方や加えた力の感じ方を知ることが今回の記事の目的です。


♦︎作用ー反作用の法則を知ろう

作用ー反作用の法則とは、物体に力を加えると同じ力を押し返されるという法則です。セラピストが患者の身体に触れると力が入力され、セラピストの手には患者の身体から同じ力で押されます。

この押す力と押される力は常に同等の力になります。それを感じないのはお互いの重さに違いがあるからですね。スケートリンクの上で体重が同じ2人に押し合うとお互いが遠ざかりますが、体重に大きな差がある場合、体重の軽い方だけが遠ざかります。

このように、力を入力すると力を受けるとることができます。この力の入力と受け取りを評価に応用していきます。

♦︎力を入力と反発をベクトル(矢印)でイメージする

セラピスト自らが力を入力するとき、ベクトル(矢印)を発生させるイメージを持ちます。例えば、大腿四頭筋の圧迫するとき、直接手が触れいている点から圧迫した方向に向かって矢印が出ているイメージを持つんです。

その時、手は大腿四頭筋からも圧迫を受けます。その圧迫は手の皮膚の歪みなどで感じ取ります。筋を圧迫する場合は、セラピストも母指球などの軟部組織が多いところで行うとわかりやすいです。

肋骨や手根骨、足根骨など骨に力を入力する場合は、指の骨など筋腹の部分を使って圧迫すると力が伝わりやすく、かつ皮膚のズレや歪みが感じられます。

圧迫する対象が筋でも骨でも力の入力の際に矢印をイメージし、力が返ってくる時に矢印が発生しているイメージを持って介入すると、今自分に触れいている部位や方向などの解像度が上がります。

♦︎力を入力する方向を変えた時に返ってくる力の変化を探る

評価・治療のとき、力の入力方向を変えてみると新しい発見がある場合もあります。ある方向で圧迫して時には、作用ー反作用のバランスが一定だったにも関わらず、同じ部位でも圧迫する方向を変えると、途端に押し返される力が大きく増えるような感じです。

他にも、圧迫した時に皮膚がズレるような反応を感じたり、圧迫した力をゆっくり解除する時に力の変化を感じたりとさまざまな反応を感じることができます。

「こっちの方向に押した時には力のバランスが取れているのに、別の方に押した時には硬い感じする」といった条件と変えたときと反応の変化を見ていくと、今までとは違った視点で評価・治療をすることができます。

♦︎力の入力する時のコツ

患者の身体を圧迫したり押したりする時にあるコツがあります。それが、胸肋関節から力を生み出すイメージを見ることです。

ちょっとご自身でもやってみて欲しいのですが、2つの条件で前方リーチをやってみてください。
・手を前に伸ばすだけのイメージ
・手を伸ばそうとした時に鳩尾付近を土台としてリーチするイメージ

この2つです。そして両方の条件で、リーチした後の自分の肩甲骨の向きに上腕を移動させてみてください。そうすると、2つ目の条件の時の方が肩甲骨が前を向いているのがわかるかと思います。

つまり、押すときに肩甲骨関節窩を土台として骨を使った力の入力ができるようになります。これもまた作用ー反作用の応用になります。

かなり細かいことですが、このような積み上げが正確な評価につながります。ぜひ実践してみてください。




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