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ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その6️⃣【関節可動域と軟部組織の関係】

患者から、「戻るときが痛いですね」と言われたことありませんか?

関節可動域の評価は、アウトカムを数値を置くことがほとんどです。だから、「どのくらい曲がった」とか「どのくらいで痛みが出たか」という”行き”だけの評価にありがちです。

しかし、関節の周囲を覆う軟部組織は弾性という性質が重要でです。弾性とは伸びたら縮む力であり、トラブルを持つ関節は組織の弾性に問題がある場合も少なくありません。

だからこそ、最初の位置に戻るまでが関節可動域評価として考える必要があります。

♦︎軟部組織はその張力で骨の動きをコントロールする

関節、つまり骨と骨の間の動きは基本的に等速運動していると理解できます。これは別の記事で解説しているので参照したください。

軟部組織は関節として適当な方向に動けるように骨をコントロールしています。骨と骨が適切に等速運動できているなら、軟部組織にも負担のかかる力はかかりません。

基本的には骨の動きに伴い軟部組織の張力を発揮します。つまり、骨の動きが適切であれば軟部組織にも負担はかからないことになります。

しかし、外傷や術後、拘縮などがあると軟部組織が骨の動きに加速度を与えてしまい関節運動が等速運動ではなくなります。この等速運動からの逸脱が関節可動域を大きく制限することになります。

♦︎可動域は元の位置に戻せることが重要

ここまでの解説から、可動域の数値は現状を把握することができてもこのような軟部組織との関係を把握することはできないことに気がつくと思います。

特に、可動域はどのくらい動くかではなく、どのように動くかを考えると軟部組織の影響を解釈しやすいです。忘れられやすいのが、最終域と思われるところから戻すことなんですね。

足部や手関節、肩など、どの関節でも戻す時の意識が重要になります。

往路と同じルートで戻すと筋緊張が高まる場合、軟部組織の張力や弾性に問題があります。往路のルートを変えてみたりハンドリングの方法を変えて変化を出すことでその原因を判断します。

♦︎戻す時にも重要な情報が多くある

肩関節が足関節の可動域訓練時は特に弾性を考慮に入れる必要があります。肩の肩甲骨面挙上位から戻すとき、足関節背屈位から戻す時に周囲の筋緊張や手ごえたの変化に気を配ってみてください。

ハンドリングがセラピストの姿勢が重要なので、戻す時にセラピストがあえて往路と復路の姿勢を変えてみることも有効です。

手に返ってくる弾力に変化があったり、硬くなったり、動かしやすくなったりなど数値では表現しきれない変化をたくさん感じることができます。

このような感覚的な変化はとても重要で、数値だけ追っていてもこの状態を完全するためには何が必要なのかは見えてきません。


今回はここで終わりとなります。
毎日の臨床は確かに患者のために治療介入するのですが、セラピストがスキルアップするためにも重要です。

少しずつ変化を感じながら、感覚を磨いていってください。

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