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非課税世帯への現金支給は不公平で社会の意欲を削ぐかも。だが票は期待できる。

2023年9月26日に気になるニュースが配信された。

内容は住民税非課税世帯に現金やクーポンを配布するというものだ。このニュースでは住民税非課税世帯は1,600万世帯あるらしく、2022年に5万円を配布したときは8,000億円以上投じたらしい。日本には全体で5,000万世帯くらいあると思われるので、課税世帯は3,400万世帯くらいということか。つまり3世帯に1世帯は非課税なのだ。
これだけの規模の世帯に現金やクーポンを支給するとなると、もらえない世帯との不公平感は非常に大きいものとなる。そもそも住民税を納めていないとなると住民サービスに対する対価を支払っていないということだ(国と違って地方自治体は造幣できないので、ある意味家計に近い)。だが、実際のところ課税世帯と同等のサービスを受けているわけで、つまり通常でも課税世帯が非課税世帯の住民サービスの対価を肩代わりしているというわけだ。にもかかわらず、経済対策と称してさらに不公平感の強い給付を行うと、納税するだけの収入を得ていることが損な気がしてしまう。
こうなると勤労意欲の減退のみならず、社会の連帯感も損なわれる可能性がある。
今回の支給も国が支出するため、実際には税収にかかわらず支給できる(造幣すればよい)わけだが、しかし国は税収から支出を行っている建前でいる。であれば今回の給付にまわる税金はどこから出ているというのだろうか(増税?)

政府が給付を行う理由を推測すると、給付はいわゆる「餌付け」みたいなもので、直接的な恩着せ効果が見込めるということだ。減税では餌付け感が薄いうえに全世帯に及んでしまう。特定の世帯にのみ優遇することで、優遇された側は印象強く感じるし、少なくとも現状の政策を維持することを望むだろう(全世帯配付となれば自分への配分額が減ってしまう)。つまり、非課税世帯にとってこの給付方針は積極的に現政権を支持する動機となる。
投票率が低い日本においては、特定層の票を固めることはそれだけ選挙に大きく有利になるのだ。

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