気象情報の伝え方に疑問が

 お盆を迎えて、梅雨のような気圧配置になり(梅雨と秋雨は基本的には同じメカニズムでできている停滞前線だと、高校生の頃地学で学びました)、これまでに経験したことのない大雨が降り、広島市で大雨特別警報が出されています。テレビでは気象庁の記者会見が放送され、担当者が状況を細かく伝えています。「警戒レベル5」にあたる「緊急安全確保」の段階だから、今から避難所に行くことがかえって危険だ、その場で命を守る行動をとるように、例えば、土砂災害が予想される斜面と反対側の2階に避難するようにと伝えています。
 一つひとつの指摘になるほど、そうだと頷きながら、ふと違和感を覚えました。伝わってくる情報は話し言葉ではなく書き言葉なのです。気象庁の担当者は用意された原稿を読み上げているのです。その原稿は書き言葉で書かれており、耳から理解するにはちょっと文が長くて複雑なのだと感じました。しかも、専門用語も出てきます。ある程度専門知識を持っている人は理解できるでしょうが、あまり知らない人にとっては、専門用語がちりばめられた長く複雑な書き言葉は、理解しにくいと思いませんか。何より、下を向いて原稿を読む姿からは、危機感、切迫感が伝わってきません。
 命の危険が迫った時に、原稿を作ってそれを読むというのはいかがなものでしょうか。急いで作った箇条書きをもとに、自分の言葉で(話し言葉で)伝えるわけにはいかないのでしょうか。その方が視聴者にストレートに伝わると思うのだけれど。
 そういえば、国会でも議員は原稿を読むだけですね。特に答弁する大臣たちはずっと下を向いて、官僚が書いた原稿を一生懸命読むだけ。顔をあげない大臣もいます。時には読み飛ばしたりする猛者(?)もいます。これでは、心のこもった言葉にならない、つまり伝わらないと思いませんか。
 議員はともかく、せめて気象情報は伝わる言葉を使って、顔をあげて伝えて欲しいですね。

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