学ぶから関心を持つ、防災

 とある大学の講義で、気象庁の-learningを取り上げました。「大雨の時にどう逃げる」という学習教材です。実は、このビデオ教材の製作に私自身が関わっていたので、学生に視聴してもらっていろいろと感想を聞いてみたいなと思ったわけです。

 学生たちの感想文を読むと、かなりの学生たちが、自分の住んでいる地域のハザードマップをわざわざネットで調べて確認し、友だちや家族に伝えたいと書いていました(実践したかどうかは確認していません)。

 感想を読みながら、20年近く前に読んだ論文を思い出しました(少し協力したのですが)。阪神・淡路大震災の被災地で防災を学ぶ舞子高校環境防災科の高校生と学んでいない普通科の高校生、災害を体験していない地域の高校生の意識を比較する調査です。普段、テレビの防災番組や新聞の防災記事を意識的に視聴、講読するかどうかという問いに対して、高校生が答えたものです。

 結果は、視聴・講読率が高いのは防災を学んでいる高校生だけでした。8割程度が積極的に視聴、講読しているのですが、それ以外の生徒たちはあまりしていませんでした。被災地か被災地でないかという差は出ませんでした。防災を学んでいない阪神・淡路大震災の被災地の高校生と被災していない他県の高校生が、同じレベルでした。結局、学校が防災を教えているか否かが、生徒たちが災害や防災に関心を持つか否かにダイレクトにつながっているという結論でした。

 今回、大学生の感想文を読みながら、やっぱり小学校・中学校・高校や大学で防災を教える機会をきちんと持たないとだめだなと感じました。今、大学で防災の科目を設定するところが増えてきています。そんな大学がどんどん増えてくれればいいなと願っています。もちろん、保育園、幼稚園から小学校、中学校、高校も、ぜひ、防災教育を取り入れてください。そこで学んで、防災に関心を持ったこどもたちが、将来的には地域の防災の担い手になります。

防災は、やっぱり、公的な教育システムに取り入れないと。

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