未災地

「未災地」という言葉が定着してきたようです。時々、防災関係者以外からも、いい表現だと言われることがあります。

 この表現を思いついたのは、テレビで漢方薬のコマーシャルを見ていた時でした。病気でない人はみんな健康だというわけではなく、病気の一歩手前だという受け止め方が必要だという内容だったと思います。病気の一歩手前、「未病」という表現に強く惹かれました。

 この東洋医学の発想からひらめいたのが、災害の一歩手前の地域、つまり「未災地」です。「被災地」と韻を踏んでいるのもいいなと思いました。

 人はともすれば、自分は災害に遭わないと思いがちです。もし災害に遭遇しても自分は助かると思っています。そんな人たちに、被災していない地域は「被災しない地域」ではなく「被災の一歩手前」にいるという意識を持ってほしくて「未災地」という言葉を作りました。派生形には「未災者」もあります。

 たった一つの言葉だけれど、広く使われることで防災教育の広がりにつながればいいと願っています。

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