短歌人2015年6月号

2015年6月の月例作品です。

自転車の前かごに乗る幼子は春のいぶきを全身に受く
カーテンを明るい色に替えました十年続けて住んだ記念に
返された本のみどりの付箋から恋が始まる午後の図書館
泣き顔は見せたくなくて眠っているふりをしている(このまま帰れ)
電話から社名部署名略さないフレッシャーズのやや高き声
雨音は頭蓋(とうがい)砕く槌に似る打ちひしがれてひとり伏すとき

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