短歌人2018年4月号 同人1欄(3)

江東区内循環バスの「しおかぜ」は都バスとおなじ車体走らす
「雪降る街で」/柏木進二

わたしだけにわかる匂いの記憶撒く風はわたしの知っているひと
「雨でよかった」/高田薫

ことばといふあなたがいなくなつたならわたしもいなくなるのだらうか
「といふ」/西村美佐子

アマゾンでCDひと組買いたるを近頃最大の贅沢として
「さぼうる」/西勝洋一

草を踏んだ感触のこる足裏のどこだらう夢で歩いた土手は
「青梅霜月」/渡英子

「制服の胸のボタンを…」と口ずさむ昨日はわれが、今日はあなたが
「memo」/宇田川寛之

生きようと日記を買った 3年のを つぎおんなじの買い足すために
「手際がよくて」/斉藤斎藤

タングート族西夏文字の解読に費やすひと世あらばと口惜し
「風邪の邪」/斎藤典子

たっぷりと缶コーヒーを飲みほしてゆくときの電線や秋空
/内山晶太

しづかにも積もりはじめた雪を掻くあすの通学路 からだが火照る
「墨堤」/紺野裕子

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