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父 諏訪広勝、自信満々。Vol.51

第1話

この章「諏訪聖二、どうする父さん」では
父から譲り受けた諏訪商店を兄との兄弟経営の中で
数々の危機を父が大切に築きあげたものを
壊しまくって乗り越えてきたエピソードを
語っていきたいとおもいます。
壊していくなかで 父との会話は一切なし。
まだまだ元気に健在ですが
無言の会話に秘められた父への想いも含めて
全10話、全力で語っていきます‼️


ではさっそくはじめます❗️
自分が生まれた頃は諏訪商店は成長期に入っていた。家の隣が会社だった。
でも家で父をみることはほぼなかった。
だから正直、この頃は
父親として認識してなかった。
1番近いおじさんだ。
会社に行っても
父に話しかけて良い雰囲気はゼロだった。
タバコは1日100本、
コーヒーは1日10杯、
仕事は365日24時間、
マージャンは徹夜、
まさに昭和の男だ。


父が兄を叱ることはあっても
自分が叱られることは後にも先にも1回しかない。
以下こんなことがあっても怒られなかった。
・勝手に習字の塾に通ってる(もちろん月謝なし)
・気に入らない先生の車の鍵にアロンアルファ
・ケンカした友達に砂をたべさせて・・・
・毎日、おなかに油性ペンで落書き
・でんぐり返しで高価な壁に穴
・買ってもらったゲーム機を1回の使用で壊す
・新築の高級畳でおねしょ
・意味のない皿わりを連発
・高級シャンデリアにぶらさがってガッシャン
・ボールで窓ガラス壊しは10回以上
・300万以上の高級ソファに油性ペンで落書き
これでも怒らない父は相当、器がでかい。
勉強をしろなんて1度も言われたこともない。
どんなに悪いことをしても父から怒られたことは
1度もない。
勉強をしていると5分もたたないうちに
コーヒーを持ってきて休めと言ってくる。
商売のことは何ひとつ語ってもらったこともない。


3歳ぐらいの時
そんな父が
東京タワー近くの納品先に行くから
ついて来るか?ときいてきた。
自分は東京タワーをみたことがないので
「いく‼️」と即決。
ところが車で寝てしまい、目が覚めると
帰路の途中だった。
自分は「行ってない」と言い張る。
そしてその車内での出来事だ。
サザンオールスターズの桑田佳祐の歌が
ラジオから流れてきた。
自分は
👶「なんでこの人はこういう歌い方をするの?」
と父に聞くと
👨「歯がないんだよ」
と自信満々に一言。
自分はそれを信じて40年以上になる。

当の本人は言ったことも忘れているが
きっとウソをついたつもりもない。

フォークのことをスプーンの尖ったやつと言いきる
インターフォンと電話を間違えて本気で出る
チャーシューメンを頼んでチャーシューを残す。
カレー屋は嫌でファミレスに入りカレーを頼む。
お札を折るとお金に嫌われるからと折りたたみの財布はダメだと言っていたのに当の本人は現金ハダカ持ち。
チーズケーキは基本、腐ってるとおもってる。
ごはんは残すなと言ってたのに当の本人の茶碗には信じられないほどのご飯つぶが残る。
そこには笑いは一切なしでいつも真剣で
「自信満々」だ。


こんな数々の小さな話から
尊敬するところは見当たらないが
歳をとるにつれてわかったことがある。
経営者はみんなを不安にさせちゃいけない。
だから自信過剰なぐらい
自信満々であるべし。


だから自分もみんなに言い放つ。
どんなに危機だろうが
どんなに怖くても
「心配すんな、俺がいれば全部うまくいく」と。


勝手に自分のオリジナルだと思っていたけど
いつのまにか父に自信満々を
教わっていたのかもしれない。


『諏訪聖二、どうする父さん』Vol.51-Vol.60(全10話)


息子というのは父に似るところも多いとは思う。
でも父を反面教師にして生きていく部分も多いとおもう。結局のところ、父親は絶対的存在で道標なんだとおもう。









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