見出し画像

うまくいかなかった瞬間にここぞとばかりに引きずり下ろされる。vol.4

豆腐売場づくりで成功した自分は天狗になっていった。自分はできる。人とは違う。特別な存在だ。これは天性の才能だ。と自信過剰になっていった。今でもそうだけど基本は自信過剰だ。自画自賛は日常茶飯事笑。なおそうとおもってもこの性格はなおらない😅



当時、流行っていたテレビ番組 「あるある大辞典」「ためしてガッテン」「みのもんた」の影響力。番組の情報をおさえ、売れる商品を他のスーパーが発注をあげる前に工場の製造計画を独占的におさえて大量に仕入れて売った。他のスーパーが欠品をするなか自分のお店が潤沢に商品を揃えた。豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズなど次々に予測が当たって売れた。我ながらナイスアイデアだった。ところがある日、納豆の放送予定だったのに大きなニュースで「あるある大辞典」でやるはずだった納豆の特集が延期になった。先回りして注文した納豆はキャンセルが効かず、次の日、店舗に3連になった納豆が3000個納品された。1日100パックぐらいの販売量なのにだ。


何事もうまくいってるうちは自分1人でも何とかできる。実力がなくてもうまくいってるうちはなんとかできる。でも 問題が起こった時や不測の事態が起こった時は自分1人では何もできないことをこの時、知った。


日頃、天狗だった自分を誰も助けてくれない。
うまくいかなくなった瞬間から「ほらみたことか!」とここぞとばかりにいろいろな人にけなされた。味方は誰もいなかった。


できたことは納豆を50円に値下げして赤字で売ることぐらいだった。冷蔵庫には大量の在庫だ。許された時間は賞味期限から考えると3日のみ。ダンボールに本日納豆特売50円と書き、朝から駅の改札に立った。声を出すとJRの人に怒られた笑。だから黙ってダンボールを掲げて立った。これが想像以上に恥ずかしい。


すると自分の会社のバイヤーやスタッフが通勤で前を通った。笑いながら近づいてくるが事情を聞くと真顔で「何してんだ?お前は?」と呆れられた。携帯電話でパートタイマーの人に連絡をして明日の納豆の注文をしなくて良いと指示をだし、どんどん弱気になっていく自分が顔を出した。
途中、仕事でお店に戻らなきゃいけなかったけど昼ご飯も食べず、夕飯も食べず、駅に立った。


2日目の朝、残り2500パックの納豆。
朝礼後、また駅に向かった。カラーで印刷した納豆の写真をダンボールに貼り、昨日よりは目立つようにした。昨日、呆れていたバイヤーやスタッフは声もかけてくれない。


3日目の朝、残り2000パック。
駅に立っているとバイヤーが近づいてきて メーカーに連絡を入れて「赤字にならないように価格交渉をしてやったぞ」と言われた。店にいったん戻ると納豆メーカーの営業担当者が店頭で試食販売をしてくれていてパートタイマーがそれを手伝ってくれていた。マイク放送もガンガンしてくれていた。レシートにも納豆大特売!と印刷されていて、店長もあと押ししてくれていた。売場にはみたことがないぐらいのPOPがいっぱいぶら下がっていた。肉売場にも魚売場にも野菜売場にも醤油売場(常温じゃん!)にも納豆が並んでいた。納豆はみるみる売れていき、残り500パックになった。ここまできたら最後は得意の必殺技「自腹」だ笑。手伝ってくれた人と納豆を買おうとしてくれた人にプレゼントした。


この経験がなかったら、2度と強気の発注もできなかっただろうし、売れる分しか仕入れず、売れる分しかつくらない、経営者になっていたとおもう。堅実なのも必要だけど自分にはむいていない。


この話には続きがあって
翌々週、あるある大辞典で納豆が特集されたとき駅の改札に立ちつづけたことが功を奏して
うちのお店は納豆メーカーも一丸になって追加、追加の注文で22000パック売った。
すごいでしょ?😬
でもまだまだ続きがあって「あるある大辞典」はその数年後、大人気の納豆の特集でねつ造をして番組がおわった。



ドラマみたいな話は
ドラマみたいなことをしないと起こらない。


諏訪聖二、房の駅を立ち上げるまで 
あと1年と6ヶ月。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?