運用レポート2020.7.25
週間為替市況
今週の寄り付きは止まらない米国の新型コロナウイルス感染再拡大を受けリスクオフスタート株価は下がり、リスク回避のドル買いとなった。
ドル円は東京仲値で107.50台まで上昇。このプライスが今週のドル円の高値となった。
その後、先週から難航していた EU の新型コロナウイルスによる経済立て直しのための復興基金の合意に向けて、返済義務無しの 7500 億ユーロの条件から返済義務無しは 3900 億ユーロ、低利子貸付 3600 億ユーロと折衷案を提案したことから合意に大きく近づいたということでユーロが持ち直す。
NY タイムに入ると英製薬大手のアストラゼネガとオックスフォード大学が開発しているワクチンが初期の臨床試験で強い免疫反応を確認したと報じられ、こちらも受け欧米株式が反応ポンドも大きく買われた。
オックスフォード大とアストラのコロナワクチン候補、有望な結果 -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-20/QDRSF1T0AFB601?srnd=cojp-v2
その後も新型コロナウイスのワクチン開発に関するニュースが続き株式市場は完全に持ち直し、Nasdaq 指数に関しては IT 企業の決算発表期待から大きく買われ史上最高値を更新した。
ドル円は方向感なく推移した。
翌火曜日
結局、EU 首脳会議で復興基金案合意
EU首脳、7500 億ユーロの復興基金で合意 倹約国の主張で補助金縮小 -ロイター
https://jp.reuters.com/article/eu-coronavirus-fund-idJPKCN24M0KQ
合意直後は利益確定売りでユーロ売りが見られたが、欧州時間にはいると一転
ユーロは徐々に買われ始め、ついに EURUSD は今年の 3 月 9 日にコロナショック初動のドル売りの際につけた 1.1495 ドル台をブレイク 1.15 ドル台で底堅く推移した。
また、コカ・コーラなど米主要企業の決算発表も概ね予想を上回り株価も続伸したが、夜間に入ると利益確定売りが目立った。
ドル円は EU 合意で欧州通貨が買われ、株式市場の利益確定売りも相まって、107 円台で持ち堪えていたが
106 円台後半まで下落した
水曜日
米国がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を決定。
対抗措置として中国も武漢市にある米総領事館の閉鎖を検討と報じられると一気にリスクオフとなった。
中国、在ヒューストン総領事館閉鎖へ-米国の要請受け ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-22/QDV0Y9T0G1L201?srnd=cojp-v2
欧州時間まではリスクオフの動きとなったが、NY タイムに入ると好調な米主要企業の決算発表と新型コロナウイルスのワクチン開発に関しポジティブな報道が相次ぎ株価が持ち直す
米、ファイザーなどからコロナワクチン 1 億回分調達 無償提供へ -ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-pfizer-idJPKCN24N205
今週はこの日の NY タイムからドル円と株価の連動回帰相場となった
ドル円は寄り付き時に先週から意識されていた年初来仲値の 106.60 円台を付けると反転
株価の持ち直しと共に下値を切り上げ 107 円台前半まで持ち直した。また、ユーロは引き続き底堅く推移。
結局EURUSD は 1.16 ドル台まで値を伸ばし、2018 年 11 月以来の高値となった。今週はユーロの存在感が強かった週ともいえる
焦点:EU復興基金合意、ユーロと欧州資産の「転換点」に ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/eu-euro-covid-idJPKCN24N06I
イタリアも置き去りにしない「復興基金」-EU共通の決意を市場好感 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-22/QDUJLMT1UM0W01?srnd=cojp-v2
翌木曜日
日中株価は堅調に推移したが、NY タイムに発表された米新規失業保険申請数が予想の 130 万件のところ
141.6 万件と 3 月の急増後初めて増加に転じ株価が失速
米失業保険申請件数、増加に転じる-3月の記録的急増後で初めて ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-23/QDX9KST1UM0Y01?srnd=cojp-v2
それと共にドル円も下落
その後、この日に共和党内で合意に至った 1 兆ドルの追加対策案に関し、ムニューシン財務長官が会見で「次の景気対策法案には給与減税は含まれない」と発言
米共和党のコロナ対策案固まる、現金支給追加 給与税減税見送り -ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-congress-idJPKCN24O20V
更に、アナリスト各地で再閉鎖が行われる中でアップルの今後の見通しを下方修正し、前日の決算発表を受けマイクロソフトのクラウド事業の成長鈍化も嫌気され株式市場に大きく利益確定売りが入り Nasdaq 先物は再び5 日移動平均線を割り込んで引けた
ドル円は何とか年初来仲値の 106.60 円台を割らずに引けた。
そして昨日金曜日
前日の流れを汲み引き続きリスクオフの展開となる弱く寄り付いた株価と共にドル円は下落。
とうとう年初来仲値の 106.60 円台を割り込み東京仲値で106.50 台まで下落した。
この日は欧州のPMI 発表デーで軒並み数字が良かったため、欧州時間には株価と共に若干持ち直す場面も見られたが、結局欧州通貨買いを呼びドルは売られた
NY タイムになるとリスクオフ色が一層強くなった
米中対立懸念、主要企業決算発表が思ったほど振るわず、頼みの綱の IT 企業のインテルでも期待されている新技術開発が予定より半年遅れる見通しということで、もともと高かった株価には一層利益確定売りが入り、ドルの上値を押さえ続け、結局ドル円は一時105.60円台まで下落。
また、安全資産の代表格である金価格もスポットで1900ドルまで上昇結果として今週最もリスクオフな一日となった
米国株続落、決算やコロナ感染が重し インテル大幅安 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKCN24P2MC
【米国市況】株続落、米中対立激化を嫌気-金スポットは 1900 ドル突破 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-24/QDZP4YDWRGG001?srnd=cojp-v2
前回2月後半からのコロナショックでは初動ではドル売りとなった。
だがその後、ドルが不足し大きなドル買いとなり、その後株価も類を見ないスピードで持ち直した。来週以降、今回も同じような動きになるのか注視したい
取引レポート
先週のレポートで
EURUSD は 1.15 ドル+10~20pips 達成でショート
Spot Gold は高いところでショート
株価インデックスは決算発表後上昇でショートとしたが、当たったのは株価インデックスのみ
EURUSD に関しては 1.15 ドル達成後に急落を見越したが全く下がる気配なし。そのためショートを見送った。
Spot Gold に関しては調整どころか火曜日には 2011 年 11 月以来となる 1800 ドルを達成
無類の強さに週前半は手も足も出ず、ただ高値を更新し続けるのを横目で見続けるしかなかった。
週後半に戦略を見直し。
リテールのショートが溜まりに溜まった EURUSD とGBPUDS をロングすることに切り替えた
EURUSD リテール売買動向
一向にショートが減らないし値が下がらなかった
GBPUSD リテール売買動向
EURUSD ほどではないがこちらもショートが捕まっていた
また、Spot Gold を夕方の押しでロングするという、いつもの戦略に切り替え2011年以来となる1900ドル台までロングをホールドできた
また、株価指数は事ある毎に Nasdaq と NY ダウをショート
結果、爆益となった…
どうも、やはり皆が苦手な相場のほうが私には合うらしい
来週は 7 月最終週
波乱の 8 月の前哨戦になるので各市場のプライスアクションを注視して 8 月大きく取るための戦略を練り上げたい。
来週からの戦略
完全に米国リスクオフモードで臨みたい
欧州通貨に関しては返済方法はどうであれ 7500 億ユーロ(約 92.5兆円)という今までユーロという共同体での発行をしてこなかったモノだけに未知の部分が大きいが、見ていると市場は大いに歓迎している様だ
EURUSD 特有の新値を取った直後に急落という動きが見られなかったところを見るとかなり強そうだ、前出している様にリテールのショートも捕まりまくっている。
そう簡単に無傷で帰す気は無さそうである。
昨日のロイターの市況レポートでは以下の様なコメントを記している
ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「新型コロナの感染第2 波が全国的な経済活動の低下につながっており、回復の可能性を抑制している」と指摘。「同時に世界の他の地域では比較的ポジティブな兆候が見られる」と述べた。
米国が局地的に弱いということか?
また、ドル円だが市況レポートで触れている通り、年初来仲値を下方向に割り込んでおり、リテールのロングもかなりのボリュームになっている。下を掘る可能性が高いと思っている。
ドル円リテール売買動向
やはりドル天井論は真実味を帯びてきた。
また株価だが、Nasdaq は、ダブルトップを形成しており天井を打った感が強い
他指数は完全に2番天井と解釈すると、米大統領選が終わるまで下値を意識した動きになるのではないか?
Nasdaq100CFD 一時間足
先物市場では先週既に 11000 ドルを達成していた
今週再チャレンジしてブレイク失敗してしまった、結果として教科書通りのダブルトップ形成
日足では 25 日移動平均線に接触して引けており、週明け下窓が開くようだと10000ドル割れを意識せざるを得ないだろう。
だが、IT 企業では期待のアマゾンとアルファベットの決算発表が 30 日(金)に控えている慎重なエントリーは心掛けなければならない
また、新型コロナウイルス感染再拡大は止まらない。ワクチン配布も最速で年内。
だいたい緊急時のためか知らないが、こんなたった何か月の臨床試験で本当にその安全性に太鼓判を押して良いモノなのか甚だ疑問だ、年内実用化は途中でひっくり返る可能性も否定できない。
なので、正直できることなら私は打ちたくない。
日本の政治家は新規感染者数が過去最大を更新し続けているのに「第二波」とハッキリ言わないが何に拘っているのかよくわからない、アホか。因みに香港は現在の感染再拡大を第三波とハッキリ言っている
先週もレポートしたが、8月発表される指標は軒並み悪いと予想される。更に、米中関係も相当キナ臭い
また、こんなニュースもある…
世界トップクラスの投資のプロたちが自社株買いを手仕舞っている… お客より先に利食うとは何という奴らだ…
企業内部関係者が株式売却、ブラックロックCEOも-天井接近示唆か ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-23/QDWY48DWX2PT01?srnd=cojp-v2
彼等が手仕舞っているのにいつまでも付き合ってやる必要も無いだろう…
来週水曜日深夜のFOMC は非常に注意が必要だ
金融政策余地は然程残っていないためとんでもないサプライズは無いだろうが、米国の現在の状況を鑑みると発表後のパウエルFRB 議長の会見では相当なネガティブな発言は覚悟しておいたほうがいい。
更に米国の追加対策法案だが共和党と民主党の溝は深く、法案可決に時間を擁しそうである長引けば長引くほど相場にはネガティブなインパクトをもたらすだろう
米コロナ追加対策、失業給付上積み延長の分離に反対=下院議長 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-pelosi-idJPKCN24Q082
CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)
シカゴの輩たちは利食っただろう
また、Gold が上値を伸ばすにはこれ以上無いほど舞台は整っている
米中対立、新型コロナウイルス感染拡大、各国金融政策で市場に資金は潤沢現在のプライスが 1900 ドルで心理的節目の 2000 ドルまでたったの 100 ドル
当然だが現価格が 1000 ドルの際の 100 ドルは 10%にもなるが 1900 ドルの際の 100 ドルは約 5%だ何かあれば一瞬で付けるだろう
金相場 1900 ドル突破-モビアス氏は「今からでも買う、買い続ける」 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-24/QDZ39FT0G1L301?srnd=cojp-v2
CFTC 金先物投機筋 NOP
ここで買うのが余程怖いと見える、たいして買えていない注意しなければならないポイントは
株式市場が暴落という事になると Gold の利益で損失を埋めようとする利益確定売りドル枯渇相場になった場合の利益確定売り
2000 ドル達成の際の利益確定売り
上記三点は常に意識しなければならない
諸々考えていくと、
もうどの市場も相場のいちサイクルの終焉に向かっている様に思える。
Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.
強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく
米国著名投資家・ジョン・テンプルトン
この一連のサイクルは良好な決算発表という幸福の中できえていくのか? 見極めの月末週となるだろう
従って来週はドルショート
株価指数ショート(30 日のアマゾンやアルファベットの決算発表後のプライスアクションは注視) 但し、原則逆張り、即ち引き付ける。
いつも通りだが、高いところを買ったり安いところを売らない。
間に合わなければ諦めて翌日再スタンバイというメンタルをシッカリと持って臨みたい。
また、このところ原油価格が先行指標として機能しているためシッカリ動きは見極めたい。という戦略で行きたいと思います。
今週もありがとうございました
来週もよろしくお願いいたします。
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