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『イカゲーム』にみる自己責任経済の残酷

 コロナ禍の巣籠もりが続いてすっかりNetflixの韓国ドラマにハマってしまい、気がつけば『愛の不時着』から『スカイキャッスル』、『ビンチェンツォ』、『ピノキオ』などまですでに13作を立て続けに観てしまっています。どうりで仕事が進まないはずです。1日は24時間しかありませんから。

 そして14作目は、遅ればせながら話題沸騰の『イカゲーム』。

 最初は宣伝を見てもそれほど心が惹かれませんでしたが、世界90カ国で視聴回数1位だと聞いて好奇心から観始めました。


 主人公はギャンブル好きで借金まみれ、妻にも離婚されたうだつの上がらない中年男ソン・ギフン。ある日、地下鉄のホームで謎の男に誘われて優勝すれば日本円で約45億円が手に入るというゲームに参加することになります。
 ゲーム自体は子供の頃に楽しんだ簡単な遊びばかりでしたが、じつは脱落者は次々と射殺されていくという血みどろのサバイバルゲームだったのです。そしてその裏には闇の商売が・・・。

 まだご覧になっていない読者もいらっしゃるでしょうから内容はこれ以上書きません。ただ、筋書きだけならどこかで見たような単純なデスゲームです。それなのになぜこうも空前の大ヒットになったのでしょうか。

 いくつか理由が考えられます。上位にランクされているNetflix韓国ドラマはどれもテンポが早く、ハラハラドキドキな予想外の展開が続きます。キャスティングが秀逸で俳優の個性が際だっていて演技も熟達しています。カメラワークもドラマチックで、タイミングよく流れる音楽も情景を引き立てています。

 しかし、「イカゲーム」がそれ以上に注目を浴びた理由があります。それは

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