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リンカーン大統領が死ぬまで髭を剃らなかった理由

 ある日、アメリカ大統領選挙で遊説中の候補のひとりに11歳の少女から一通の手紙が届きました。手紙にはこう書かれていました。

 「私には4人の兄がいます。そのうち何人かはあなたに投票するに違いありませんが、もしあなたが髭をはやすようにしたら、残りの兄弟もあなたに投票するようになるでしょうし、あなたの顔は頬がこけているからきっと引き締まってもっと良くみえるようになりますよ。髭が好きな女性は夫にあなたに投票するように言うでしょう。そうすればあなたが大統領です!」

 これに対して彼は律儀に次のような返信を送りました。

 「親愛なるお嬢さんへ。あなたの素敵なお手紙を受け取りました。私には残念ながら娘がいません。3人の息子がいます。17歳と9歳と7歳です。息子たちと妻、それが私の家族全員です。髭についてですが、今まで生やしてこなかったのに、もし私が髭を生やし始めたらみんながおかしいと思わないでしょうか」

 それから一か月後。少女の助言どおりに豊かなあご髭をのばした男は、それがトレードマークとなってみごと米国大統領に当選しました。もうお分かりでしょう。第16代大統領エイブラハム・リンカーンです。

 手紙の送り主はニューヨーク州に住んでいたグレース・ベデルちゃん。この少女が米国の歴史を変えたのかもしれません。なんとも楽しいエピソードではありませんか。

 調べてみると、リンカーンはチームワークづくりの天才だったようです。大抵の指導者は内閣の顔ぶれを支持者で固める者ですが、リンカーンの発想はまったく逆でした。なんと対立候補の3人を閣僚として迎え入れたのです。その理由は簡単でした。

 「彼らはこの国でもっとも能力のある立派な男たちだ。彼らの能力を奪う権利は私にはない」

さすが思慮深いリンカーンです。能力と関係の無い派閥争いをしている姑息な日本の政治家たちに爪の垢でも煎じて飲ませたいものです。

 それにしてもリンカーンはどのようにして一癖も二癖もあるライバルたちを手懐けてチームを組み立てたのでしょうか。その秘密は

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