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春を待つ

ちっちゃいころはあんなに元気に外を走り回っていたのに、今ではほとんど運動をしないので、体力や筋肉はどんどん落ちていき、身体がよわよわになってきている。もっと身体を動かしたいのだけど、なかなか続かないし、でもごはんは美味しいし、困ってしまう。

けれど今朝、父と母と一緒にほんの少しだけ身体を動かして、せっせと働いたのでよかったな。お寺の本堂の畳の上に敷いてあった、日に焼けて褪せた絨毯を新しくするために掃除機をかけたり、物を移動させたり、机や仏具を濡れたタオルで拭いたりした。新しい絨毯はすごくきれいな赤色をしていて、上を歩くとふかふかして気持ちがよかった。

父が笑いながら「これを次やるとしたら、君たち3姉妹がお寺で何かをするときだな」と言い、私は「そうね」と軽く聞き流したけど、それは一体いつになるのだろうか。そのころには父と母と3人では掃除できないかもしれないから、今日のことを心のどこかで覚えていようと思った。

もう3月になっていることに驚きつつ、少しずつあたたかい日が増えてきたことにむずむずとしたよろこびを感じている。梅の花が可愛らしく咲いているのを遠くから見てポップコーンみたいだなと思ったり、菜の花がなんとも元気な黄色で土手を彩っていたりして、もうじき冬が終わり、どこを向いても花が咲いている美しい季節が訪れるのだと思うと、なんだってできるような気がする。私は春を心から愛している。

そういえば、昨日は私の母校の高校の卒業式だったのだった。春から新しい環境に身を置くひとびとが、どうか健やかであるように願う。

昨日は『Summer of 85』と、『言の葉の庭』という映画を観た。今日は午後から、妹に勧められた『怪物はささやく』という映画を観た。観たい映画は多くあり、観れていないものも、もう一度観たいものもあるので、やや複雑。我が家は母と高校生の妹が映画通なので、あれこれ勧めてくれて嬉しい。

しかし、私はひとつの作品をじっくり味わって余韻に浸りたい性格なので、本当は1日に何本も初めての映画を観たり、毎日立て続けに映画を観るなんてことはあんまり向いていない。けれど、いつか映画を観たくても簡単には観られないほど何かに追われる日々が来るかもしれないから、今のうちにぽんぽん観ておこうと思う。

映画を観ることは、自分の内なる世界を広げ、深め、より豊かにすることにも繋がっていると思う。本を読んだり、音楽を聴くのと一緒だ。

だからもし皆さんのお勧めの映画(アニメでも、ドラマでもなんでも!)があれば、ぜひ気軽に教えていただきたいです。よろしくお願いします。

けれど私がのんきに映画を観ているうちにも、世界は大変なことになっていて、この前ある報道番組で、ウクライナのキエフにいる小さな女の子が、私死にたくない、と言って泣いている映像を目にした、それからずっとその子のことを考えている。

あたたかな布団とお腹いっぱいに食べられるごはん、誰ひとり欠けていない家族、きれいな洋服やたっぷりの水を手にしていること、家を捨ててどこかへ逃げたり隠れたりしなくてよいこと、あたりまえに続くと錯覚できる日々の尊さを噛みしめて、いまどこかで苦しんでいるひとびとに想いを寄せる。それくらいのことしかできなくてごめんなさい。

いつもと同じような今日を過ごせたことに感謝しつつ、春がみんなに等しく美しく訪れることを祈っている。

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