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タトゥースタジオの作り方

こんにちは、VOW TATTOOせいごです。
前回の記事から4年が経ってしまいました。

お久しぶりです。

4年はサボり過ぎました。オリンピックが開催され、うるう年がきて、大学を卒業し、こち亀の日暮熟睡男が目覚める周期。

今回は、そんな4年間で僕が取り組んでいた事を書こうと思います。

前回までの記事で、「教育」をテーマに決め、屋号を作るところまでをお話ししました。その後をまとめると、

・弟子できる
・弟子増える
・弟子卒業する

でした。


校舎と生徒

「教育」をテーマにした以上、まずは「校舎と生徒をつくる」だと思い、当時ワンルームマンションだったスタジオから4倍ほどの広さのテナントへ移転しました。
その後、弟子を増やし続け、現在では8名がVOW TATTOOに在籍しています。

業界的に8人の弟子というのは多い。1人1人との関係が希薄になるし、面倒をみきれない。
そんな先輩達からのアドバイスを聞き流し、弟子を増やし続けた理由は、僕が過去に経験した2つの出来事にあります。

静岡美術学院

これは僕が高校生の時に通っていた画塾の写真です。※画塾は美大芸大を受験する学生の為の予備校みたいなところ。
寡黙な学院長ナカナミ先生と、酔ったらギターを弾いてくれるアシスタントのモッチー先生。

お2人共、東京藝大を卒業されていて(たしか)めちゃくちゃ尊敬していたし、学びも本当に沢山あったけど、

県ワースト2位の偏差値の高校に通っていたオレには、先生方の話がむずかった。

そんな中、同塾に通う同期や先輩方の言葉は、僕の悩みや疑問に身近だったし、絵に対する姿勢が刺激されたのを覚えています。

2008年

大学生の頃、同級生とライブペイントグループを組んで活動していた時期があります。数メートルのキャンバスや壁に、メンバーが限られた時間内で1枚の絵を仕上げる。ざっくりそんな活動です。

メンバーでお金を出し合って借りたボロボロのアパートをアトリエと称して、そこで絵を描いたり、お酒を飲んだり、女の子を呼んだり。そんな日々を過ごしていました。
好きな絵も、描くスタイルも違うメンバーが1つのグループだったのは、「ライブペイント楽しいじゃん」という共通点があったからだと思います。

この生活を過ごせた事で、僕は画力の第二次成長期を迎える事ができました。

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つまり学びに必要な事は、立場は近いけど、共通点を持った格上の存在が共存する環境だと思いました。

物事を伝える順番が、
師匠→弟子1,2,3,4,5…ではなく、
師匠→弟子1→弟子2→弟子3→弟子4→弟子5…
グラデーションにした方が理解しやすい

そして、
師匠、弟子1、弟子2、弟子3、弟子4、弟子5…の全員が共通して好きな事がある

そんな感じです。


僕の弟子選び

2017年頃、本屋から「TATTOO TRIBAL」が姿を消し、その後タトゥーの情報発信はYoutubeをはじめSNSがメインとなり、2020年のタトゥー裁判勝訴をきっかけに彫師を目指す若者たちが増加していきました。この頃に世代の移り変わりがあった事は間違いないと思います。

アンダーグラウンドだったタトゥー文化が少しづつ大衆化され、職業彫師に憧れる若者が増えた事も事実だと思います。

たくさんの価値観が生まれた新しい世代の中から、どんな人材を集めようか考えましたが、とりあえず誰でもいい。が答えでした。
その結果、半数の人たちが去っていきました。

いくつかの失敗を重ね、「タトゥーが好きで、在籍アーティストと人間関係を築ける人」と採用条件を決め、残ったメンバーが現在の8名です。

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少し本筋から脱線しますが、多くの弟子を持つ事での副産物も発見できました。
在籍アーティスト達は、タトゥーが好きという共通点はあるけど、作品づくりや美的価値観はそれぞれ違っています。
今まで興味を持たなかったアメトラの事もエングレービングの事もy2kの事も僕はわからないけど、これらをスタイルとする弟子達と一緒に学ぶ事で、自分とは違うスタイルの彫師の生き方を体験できる気がしています。

分身が経験した事は本体にも蓄積される。ナルトの影分身てきなやつです。


彫師の価値

人数が集まった頃、スタジオの在り方について考えるようになりました。
どんな仕事でも、①お客さまを満足させ、②自分自身が仕事内容に納得できて、③それらをクリアし他者も感銘させる。が価値だと思っています。

彫師に置き換えると、
①お客さまのご要望に応え、相当の料金をいただく。
②術者自身がデザインと施術の技術に納得し、自己表現をする。
③作品を見た第三者に影響を与える。

弟子達に技術を教え、弟子達から新しい価値観を学ぶ日々を過ごす中で、教育を通じてその先になにを生み出せるのか。と悩み続けた数年間でしたが、上記の3項目を達成する事が目的だと感じました。

そして僕が生んだ理念は、「タトゥーで人々を豊かに。」です。

  • 個々にスタイルを持ち、スタイルの確立と技術向上を目指し、唯一のサービスと作品を提供する。

  • お客さまと自身に寄り添い、自己表現を大切にする。

  • 新しく、度肝を抜く作品を創り続けられるスタジオを目指す。

なんだかありきたりな気もしますが、ようやく地に足がついたような気がしています。

switchをするおれたち

そして今夏、

1番長く在籍してくれたYURIがVOW TATTOOを卒業します。
師匠として、あまりに未熟だった僕についてきてくれた事に本当に感謝しています。
この記事を最後に、4年間で教えられる事は教えたつもりです。彼の今後の活躍を心から祈っています。

さて!

そんな僕の4年間。長ったらしい文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

僕は今後も新しい価値観に触れ、度肝を抜く作品をつくっていく所存です。

みなさんのタトゥーライフが今日も明日も30年後も豊かでありますように。
じゃ、また!


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